私たち管理栄養士は「脂質」という言葉を使います。
脂質は
たんぱく質、
炭水化物、
ビタミン、
ミネラル
と並ぶ5大栄養素のひとつです。
栄養学的には脂肪ではなく「脂質」を使います。
例えば、食品に表示が義務づけられている
「栄養成分表記」
を観てみると、
このように「脂質」と書いてあります。
でも、商品パッケージを観ると、
脂質ではなく何故か「脂肪」と書いてあります。
そこで「消費者センター」に問い合わせてみました。
すると担当の人が消費者庁に問い合わせてくれるとの事で
回答を待つことにしました。
そして返ってきた答えは
脂質と脂肪は厳密に言うと異なる。
しかし「脂肪」という言い方の方が一般的だ。
なので例えば「脂肪ゼロ」という表記があっても
内容は伝わるので特に問題ないとしている。
*消費者センターからの内容を要約
というものでした。
「最近お腹に『脂質』が付いてきちゃって」とは言わず
「最近お腹に『脂肪』が付いてきちゃって」とは言いますね。
確かに一般的な会話に「脂質」は出てこないですね。
同じように
栄養成分では「エネルギー」とは表記されていますが
エネルギーの単位である「カロリー」という単語を
使った方が一般的だから
ゼロエネルギー ではなく ゼロキロカロリー
と表示されているのと似ています。
ちなみにこちらのヨーグルト、
『脂肪ゼロ』
と表記されています。
ゼロと表記されているので
本当に脂肪が全く入っていないのでしょうか。
栄養表示基準によると
脂肪ゼロ/脂肪0とは、
100g当たり脂質が0.5g未満
であれば表記できます。
10倍にすれば
1000g=1kgで脂質5gまでは
脂肪ゼロ/脂肪0と表記できるのです。
そして更に大切なことがあります。
脂肪ゼロ/脂肪0と表記されていても
エネルギーが「ゼロ」であるとは限りません。
つい「ゼロ」という表記にインパクトがあって、
脂質ゼロだからエネルギーもゼロでは?
と思ってしまいがちですが、違うのです。
飲食できるものの中で
唯一エネルギーが全くない=ゼロなのは
「水」だけです。
なお、興味のある人は
公衆衛生審議会健康増進栄養部会の
平成9年に行われた
脂質に関する栄養表示基準専門委員会議事録
というのを発見しましたので
読んでみてはいかがでしょうか。
http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s0331-1.html
議事録なので
会話形式で不謹慎ですが
とても興味深い内容です。
★わん!ポイント★
栄養成分表示は「義務」です。
なぜ義務なのかと言えば、
何がどれだけ入っているのか表示することで
正しい内容を知ることができ
食の安全を守ることができるからです。
それをきちんと利用するのは
私たち消費者です。
せっかくの表示、ちゃんと有効に使いたいですね。
最後に
消費者庁が栄養成分表示の読み方について
詳しく解説していましたので、
リンクを貼っておきます。
ー適材適食ー
小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は治療です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。