夏に実をつけるものは6月から7月まで、
秋に実をつけるものは8月から10月ごろまでが
いちじくの旬です。
このいちじくは福岡特産の「とよみつひめ」です。
とてもキレイなフォルムととても甘いいちじくです。
皮まで食べられるのが特徴のひとつです。
さすがブランド品種、とっても美味しいです★
いちじくには
100gあたりの食物繊維がなんと「1.9g」も入ってます。
これは水溶性食物繊維の「ペクチン」が
たくさん入っていて腸内環境を整えてくれるのです。
また、
消化酵素の「フィシン(フィカイン)」も含まれているので、
食後のデザートとして食べると、
消化を助けてくれます。
いちじくがお腹にいいと言われる所以です。
さて、いちじくですが
私たちが食べているのは「花」だということを知ってますか?
よく見るとわかると想います↓
内側に咲いた花と言ったら伝わるでしょうか。
食べる状態のものはまだ咲いていないのですが、
黄色い花が咲くそうです。
でも不思議じゃないですか?
どうしてわざわざ実の中に花を隠すのでしょう。
見えないようにいちじくの花は咲くのでしょう。
そこで調べてみたらとっても興味深い話が見つかりましたので紹介します。
内側に花が咲くということはどうやって受粉するのでしょう。
通常の植物の場合、風や昆虫が花粉を運んで受粉してくれますが、
内側ではそれはできません。
そこには
いちじくと「イチジクコバチ」という蜂との
「不思議な共生」という仕組みがあります。
いちじくには雄花と雌花があります。
私たちが食べているのは「雌花」です。
雄花は
イチジクコバチのメスが卵を産むために使います。
卵を産むためにイチジクコバチのメスは、
いちじくの中に入っていきますが、大変細い通路なので、
途中で羽や触角が折れてしまうのです。
そのため、
産卵のためいちじくに入ったメスは二度と外に出ることはなく、
そのまま雄花の中で死んでしまうのです。
メスの命をかけてまで産んだ卵からはオスとメスが産まれます。
何故か産まれた時からオスには羽がありません。
オスは同じいちじくの中で産まれたメスと交尾をし、
メスが外に抜け出すためのトンネルを
掘るためだけに産まれてくるのです。
交尾を済ませ、トンネルができると
メスはいちじくの花粉とともに外へと飛んでいきます。
雌花は
とても狭くイチジクコバチの卵を産む場所はありません。
間違って雄花ではなく雌花に入って来てしまった
メスは産卵できずにそのまま死んでしまいます。
イチジクコバチの卵を産むための場所が
雄花にはあり
雌花にはない
このことが雄花から雌花に花粉を運ぶ理由になっているのです。
いちじくとイチジクコバチは
互いにいないと困る関係=「共生」しているのです。
ちなみに。
『いちじくの中にイチジクコバチの死体が入っているのか!』
と思うかも知れませんが、
いちじくの成分「フィシン」という酵素が
イチジクコバチをタンパク質に分解してしまうので
大丈夫です。
さらに、
日本で栽培しているいちじくですが、
イチジクコバチがいません。
じゃあどうしてるのか?というと、
単為結果(たんいけっか)と呼ばれる
受粉しなくても実のなる品種に改良されているので
そもそも大丈夫なのです。
参考:
面白いし、不思議だし、凄いですよね。
しかも
「無花果」と書いて「いちじく」と読みます。
花がないのに実をつける、
でも本当は花はあって、
そこには生物の不思議な物語がある、
ってなんだかやっぱりスゴいです。
ここで話は一気に“人類の始祖”と言われている
『アダムとイブ』まで飛躍します。
旧約聖書の創世記にはこんなことが書かれているそうです、
アダムの創造後実のなる植物が創造された。アダムが作られた時にはエデンの園の外には野の木も草も生えていなかった。アダムはエデンの園に置かれるが、そこにはあらゆる種類の木があり、その中央には命の木と善悪の知識の木と呼ばれる2本の木があった。それらの木は全て食用に適した実をならせたが、主なる神はアダムに対し善悪の知識の実だけは食べてはならないと命令した。なお、命の木の実はこの時は食べてはいけないとは命令されてはいない。その後、女(エバ)が創造される。蛇が女に近付き、善悪の知識の木の実を食べるよう唆す。女はその実を食べた後、アダムにもそれを勧めた。実を食べた2人は目が開けて自分達が裸であることに気付き、それを恥じてイチジクの葉で腰を覆ったという。
そう!
いちじくが出てくるのです!
しかも二人が食べた「禁断の果実」は
リンゴではなく、「いちじく説」があるんだとか!!!
ということで
意外ないちじくの話をしてきましたが
落ち着いてこんなものを紹介したいと思います↓
いちじくと言えば、
そのまま食べたり、ジャムにしたり、コンポートにしたり
というのが主流ですが、
こんな風に「グラノーラ」というのもあります。
牛乳をかけて食べてもいいですね。
食物繊維がたっぷり詰まったいちじく。
食べる時は蜂さんやアダムとイブのことを
少し思い出してみながら味わってください★
★わん!ポイント★
いちじくは
常温で1日、
冷蔵で3日、
冷凍で1ヶ月
と言われています。
乾燥にとても弱く、温度管理が難しいのが
保存期間を短くしています。
生で食べられる機会があればぜひ。
すぐに食べられない時は
調理しておきましょう。
ー適材適食ー
小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は治療です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。