水前寺もやし、もう限界 江津湖の生産者81歳、「伝統守りたいが…」
長寿と健康を願う縁起物として、正月の雑煮でおなじみのひご野菜「水前寺もやし」。熊本市中央区出水の上江津湖で2軒の生産者が伝統野菜を守ってきたが、そのうちの1軒、米満タマ子さん(81)は高齢を理由に“廃業”を考えているという。「夫の遺志を継ぎたかったけれど…今年で終わりかな」。名残惜しげにつぶやく。市によると、通常の大豆もやしの約5倍、35センチほどの長さに育つ水前寺もやしは、江戸時代から盛んに栽培され始めた。1980年には約20軒が生産していたが、いまでは2軒が上江津湖内の芭蕉園内の畑で育てている。
米満さん方では、2017年11月に80歳で亡くなった夫主一さんや親族7人と毎年約5千束を収穫し、料亭やスーパーに出荷してきた。土手の高さや水量、直射日光を遮るわらの調整などは主一さんが管理。02年ごろからは、南区の熊本農高や地元の出水南小と一緒にもやしを育てる交流も続けてきた。
「ひご野菜のことを知ってもらえる絶好の機会だし、子どもたちの笑顔を見ると元気をもらえると夫は話していました」とタマ子さん。栽培技術を後世に引き継ぎたいと模索していた主一さんだが、16年の熊本地震で自宅も被害を受けて以来、ストレスで寝込むことが増え、帰らぬ人となった。
その後はタマ子さんを中心に栽培してきたが、十分な長さに育たなかったり、途中で曲がってしまったりして価格も低迷。水や日光の管理は難しく、体力的にも限界と感じたという。
息子や親族にはそれぞれ仕事があり、後継者のめどはたっていない。「出荷を続けたい気持ちはありますが、年齢的に厳しく、残念です」とタマ子さん。「販売をやめたとしても、自宅用に水前寺もやしは育てたい。子どもたちとの交流も続けていけたらと思っています」
伝統野菜。
その土地に合ったその土地らしい独自の野菜。
京野菜や加賀野菜は有名ですが、
熊本には「ひご野菜」があります。
熊本市では、平成18年度に
- 熊本で古くから栽培されてきたもの
- 熊本の風土に合っているもの
- 熊本の食文化にかかわるもの
- 熊本の地名・歴史にちなむもの
という4 つのコンセプトを定め、
現在では
- 熊本京菜
- 水前寺もやし
- 熊本長にんじん
- ひともじ
- ずいき
- れんこん
- 水前寺菜
- 春日ぼうぶら
- 芋の芽
- 熊本赤なす
- 熊本ねぎ
- 水前寺せり
- 熊本いんげん
- 熊本黒皮かぼちゃ
- 水前寺のり
以上15 品目の野菜を「ひご野菜」として指定しています。
中でも「水前寺もやし」は
地元・江津湖の湧き水を使って
昔から伝わる伝統的な栽培方法で育てる
長寿と健康を願う縁起物、なんだそうです。
★ぶー!ポイント★
時代の流れ、という言葉で済ませてしまう程
簡単な話ではないですね。
とても難しい問題です。
でも何とかして次の世代に繋いでいきたいですね。
ー適材適食ー
小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。