ーー全然食べていないのに何故か痩せない
食事カウンセリングでそんな言葉をよく耳にします。
そこで何が原因で体重が落ちないのかを考えてみましょう。
その前に。
「太ってる」とは、その人にとっての適正体重よりも体重があること
「痩せる」とは、その人にとっての適正体重に近づけること
とします。
適正体重とは性別や年齢、身長などの要素の他に
「生活」も大きく関わってきます。
ひとつの目安として「BMI」があります。
BMIとは「ボディマス指数」のことで、
ボディマス指数(ボティマスしすう)とは、体重と身長の関係から算出される、ヒトの肥満度を表す体格指数である。一般にBMI (Body Mass Index) と呼ばれる。計算式は同一のケトレー指数 (Quetelet Index) またはカウプ指数 (Kaup Index) は、主に乳幼児に対して呼ばれる。
ローレル指数(Rohrer Index)は、学童の肥満の程度を表す指数。主に学童に対して用いられる。
体格で比較する値なのであくまでも目安です。
それでも自分のカラダを知ることは健康維持にとって大切なことです。
自分のBMIを計算できるサイトがありますのでやってみてはいかがでしょうか。
では本題。
自分では食べていないのに何故か太ってしまう。
何が原因になっているのか以下について考えてみましょう。
①栄養が偏っている
好きなものだけを食べている、そんな人は栄養が偏ってしまいます。
栄養が偏ると太る原因になります。
たとえば
ーーご飯大好き!
ーー麺類大好き!
という人は「糖質」が多過ぎて太りやすくなります。
ーーお肉大好き!
という人は「脂質」が多過ぎて太りやすくなります。
ーーケーキ大好き!
という人は「糖質+脂質」が多過ぎて太りやすくなります。
『バランスのよい食事』の【第1の意味】は
糖質+脂質+タンパク質+ビタミン+ミネラル
つまり栄養のバランスが過不足なく食事に含まれている、
ということなのです。
②食べるのが早い
5分で食事終了!
いわゆる早食いをすると太りやすくなります。
一口毎によく噛んで食べると
満腹中枢を刺激するだけでなく
食べものをしっかり味わうことができるので
より少ない量でも満足を得やすくなります。
③エネルギー量が多過ぎる
大食い、つまり食べる量が多いと
結果多くのエネルギー量= カロリーを摂ることになります。
たとえカロリーの低い食べものを選んだとしても
たくさんの量を食べてしまえばエネルギー量は多くなります。
逆に高カロリーの食べものでも
量を抑える=少しだけ食べるだけならエネルギー量は抑えられます。
『バランスのよい食事』の【第2の意味】は
栄養のバランスだけでなく
エネルギー=カロリー
が過不足なく食事に含まれている、
ということなのです。
④お酒を飲む
お酒そのものもエネルギーが含まれています。
が、つまみとして食べる料理に注目します。
お酒のお供は
脂っこいものや味の濃いものが合います。
脂っこいものは高カロリーですし、
味の濃いものは塩分が高めです。
そしてアルコールは食欲増進作用があり
ついつい食べ過ぎてしまいます。
お酒の席で食べている量や内容を
普段の食事と比べてみると、
お酒が入るとついつい食べ過ぎてることに気づくはずです。
また、アルコールは習慣化しやすいので注意が必要です。
そしてなかなかやめることができないのがアルコールです。
日々の疲れを癒やし、ストレスを発散する、
ご褒美としてもアルコールは有効だと思いますが、
飲む量、食べる量を注意する必要があります。
⑤野菜を食べない
多くの野菜には食物繊維が含まれています。
食物繊維は血糖値の急上昇を抑えてくれる働きがあります。
食事のいちばん最初に野菜を食べる
「ベジ・ファースト」
は有効です。
野菜は朝昼夜の3食、毎回食事の最初に食べるのが有効です。
健康的なカラダを創り維持するために
摂取する野菜の目標は1日350g。
食事毎に約120g程度の野菜を摂るのが理想です。
野菜は野菜サラダだけではありません。
お浸しやゴマ和えや野菜炒めなどでもOKです。
栄養的にも野菜は低エネルギーで
ビタミンやミネラルなどを含んでいる上、
血圧を下げる働きを持ったカリウムなどを含んでいます。
⑥食事の時間が不規則
規則正しく同じタイミングで食事を摂ると、
カラダのリズムが整います。
不規則な時間、
特に夜間、寝る前に食事を摂ると太りやすくなります。
寝る最低3時間前には夕食は済ましておきましょう。
食後のデザートや飲酒も済ませておきましょう。
寝ている間、人のカラダはメンテナンスに入ります。
その時胃や腸に食べものが残っていて
消化しなければならないのはカラダに負担となりますし、
脂肪になりやすいとも言われています。
⑦欠食
欠食とは食事を抜くという意味です。
朝昼晩の3食をきちんと食べていない場合欠食になります。
朝や昼だけでなく晩ご飯を食べないのも欠食です。
欠食をすると、
次の食事のタイミングでカラダがより多くの栄養を取り込み
脂肪としてため込もうと働くと言われています。
ダイエットのため食事を抜くという話を訊きますが、
欠食するのではなく、3食きちんと食べる前提で、
毎回の食事の内容を適正に減らすのが大事なのです。
⑧睡眠不足
寝ている間にカラダはメンテナンスを行っています。
睡眠が足りない状態が続くと
メンテナンス=新陳代謝が正しく行われなくなります。
新陳代謝とは、
新しいものが古いものと次第に入れ替わっていくこと。
カラダに必要な栄養などを取り込み、
不要となった古い物質を外に出すこと、です。
この新陳代謝が正しく機能していないということは
基礎代謝が下がり、結果太りやすくなります。
基礎代謝とは、
呼吸をしたり、体温を調節したり、内臓が動いたりと、
生きているだけで使うエネルギーのこと、です。
基礎代謝は
消費するエネルギー量の約70%とも言われています。
この基礎代謝が下がってしまうということは
エネルギーを使わなくなってしまうので太ってしまうのです。
⑨クセ
無意識でやっていること。それがクセです。
たとえばタブレットタイプのミントを口に放り込む。
1粒は大したカロリーはないかも知れませんが、
長い時間で見ると無視することはできません。
以前、血糖値が高めだった人にヒアリングをした時の話です。
検査のため食事を抜いてもらっているはずなのですが
その割に血糖値が高かったので本人に尋ねてみると
「何も食べていません」
と答えます。
でもよくよく聞いてみると、
爽快感のあるハッカのタブレットを何粒も食べていました。
ご飯として食べるだけが食事ではありません。
また、ジュースだって食べずに飲みますが
血糖値には大きな影響があるのです。
自分でも気づかないうちに
習慣化してしまったクセは誰にでもあるものです。
そして本人ではなかなか気づく事ができません。
家族や友人に尋ねてみるといいでしょう。
⑩遺伝
両親や兄弟など血縁が太っている場合、
太りやすい傾向があるとされています。
太りやすさだけでなく、
糖尿病などの色色な生活習慣病も
遺伝が大きく関わっているとされています。
ただし必ず太るわけではありません。
逆に家族が太っている家庭では、
どうしても食事の内容が太りやすい傾向のものが
多いということも考えられます。
生活習慣病と言われる所以のひとつです。
⑪筋肉量が少ない
カラダを動かす主な臓器は骨と筋肉です。
どちらも使うことで発達します。
特に筋肉は動かすために多くのエネルギーを必要とします。
アスリート並に運動をしないとしても、
1日中デスクワークしかしていない人と、
常に動き回っている人とでは筋肉量が違います。
筋肉量は「基礎代謝」に影響します。
筋肉が発達していると、
何もしない時にも多くのエネルギーを消費します。
つまり基礎代謝が高い状態と言えます。
基礎代謝が高いと太りにくくなるのです。
また筋肉は長い間使わないと弱くなりますし、
一時的に使っても発達しません。
ジムやランニングなどスポーツで汗を流すと
気分転換にもなりますし、
カラダを鍛え、体力を保つことができます。
そこまでやれないとしても、
カラダを使い動くことは、
太らないようにする以上に健康を作り保つためには
とても重要なことなのです。
★ぶー!ポイント★
ここに挙げたことだけを注意すれば太らなくなるわけではありません。
でも多くの場合これらが太る原因になることが多いのも事実です。
そして
ひとりひとり今現在のカラダに合った食べものを
ひとりひとりに合った食べかたがベスト、
「適材適食」です。
ー適材適食ー
小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。