毎月季節の野菜を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役菜」。
私は健康なカラダづくりに役立つ野菜を【役菜やくさい】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える野菜たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。11月の役菜はニンジンです。
鮮やかなオレンジ色のニンジンと言えば、ウサギや馬やロバなどの大好物。みんなニンジンに向かってダッシュ!なんてイメージありますよね。今回はニンジンについてみていきたいと思います。
カロテンの語源。
ニンジンの栄養と言えば「βーカロテン」というぐらい結構有名ですね。ニンジンから発見された栄養素【β―カロテン】の名称は英語の「Carrot(キャロット)」が語源となっています。だからβ―カロテン量は野菜の中でトップクラスの100gあたり6900µg、これはミニトマト(960µg)の約7倍の量です。
ニンジンの主な「役菜」栄養成分
ベーターカロテン 抗酸化作用、免疫力強化
食物繊維 腸内環境を整える
カリウム 体内水分調節、高血圧抑制、筋肉の正常化
ポリフェノール 抗酸化作用、動脈硬化予防
β―カロテン
赤くする色素成分でもある【β―カロテン】はニンジンを独特のオレンジ色にしています。以前紹介したトマトとカボチャで含有量を比較すると、可食部100gあたりミニトマト960µg、西洋カボチャは3900µgでしたがニンジンには6900µgも含まれているんです。β-カロテンは体内で【ビタミンA】に変わり、体内で異常な活性酸素の働きを抑える「抗酸化作用」を持っていて、同時に「免疫力を高め」健康を維持してくれます。
中心部には栄養がない?!
ニンジンの中心部は葉に栄養素を送るためのパイプの役割をしています。そのためβ―カロテンなどの栄養素は「皮側」に集まっています。その量はなんと中心部の2.5倍!中でも抗酸化作用があり、動脈硬化を予防するポリフェノールは4倍も含まれています。
ニンジンが甘い理由。
糖質の仲間「ショ糖」が多く含まれているから、です。ショ糖はブドウ糖と果物などに含まれる果糖で構成されているとされ、果糖は加熱した後に温度が下がって冷えてくると「より強く甘さを感じる」という特徴があります。
ウサギにニンジンを毎日食べさせていいの?
ショ糖を多く含むニンジンは実はエネルギーをたくさん含んでいる野菜なのです。調べてみると、ニンジンをウサギに与えすぎるとカロリー過多になって肥満の原因になってしまうらしいのです。なのでしっかり管理をした上であげるのがよいとされているようです。ウサギの中には、生のニンジンよりも乾燥させたニンジンの方が好きという子もいるようです。乾燥させたニンジンはより甘味が凝縮されていて美味しいはず。グルメなウサギさんですね。
参考:にんじんは毎日食べさせ続けてもいいの? | うさぎの飼い方Q&A | うさぎのしっぽ
すり下ろすとビタミンCを壊してしまう?!
ニンジンをすり下ろすと「アスコルビナーゼ」という酵素が活発化してビタミンCを酸化して破壊してしまうようになります。ニンジンだけでなく他の食材のビタミンCも酸化してしまいます。でも大丈夫。お酢やレモンなどの柑橘系の酸味を加えたり、熱を加えると酸化が止まります。もちろん体内に入っても止まるそうです。
ニンジンを食べるなら。
①葉がついていたらすぐに切り落としましょう。葉は根よりカルシウムや鉄を多く含んではいますが、そのままにしておくと、根の大事なβ―カロテンが減ってしまいます。②油に溶けやすい性質のβ―カロテンは生で食べた時の吸収率は8%程度なのに、加熱すれば20%程度、油を使って加熱すると一気に70%と大幅アップします。③栄養がたくさん詰まった皮は剥かずにそのまま食べましょう。
ニンジンの上手な選び方。
①鮮やかな赤みで濃い色のもの。
②表皮がなめらかなもの。
③茎の切り口部分が小さいもの。
④切り口が茶色くないものを選びましょう。収穫してから時間の経っていない新鮮なものが美味しいです。
美味しくて 簡単で栄養素を逃さない簡単オリジナルレシピ
にんじんしりしりツナ入り
β―カロテンを効率良く吸収するために油を使いますが、ツナ缶の油を使うのではなく、水煮ツナ缶を使ってごま油を使うのがポイント。エネルギーも抑えた上に風味も格段にアップします。
1人分
エネルギー 118 kcal
たんぱく質 9.6 g
脂質 5.0 g
炭水化物 8.5 g
食物繊維 2.1 g
食塩 0.9 g
材料(2人分)
ニンジン・・・・・・1本
ツナ(水煮)・・・・・1缶
ごま油・・・・・・・小さじ 1
めんつゆ・・・・・・大さじ 1
たまご・・・・・・・1個
作り方(調理時間:10分)
① にんじんを千切りにする。スライサーでも可。
② フライパンにごま油を入れ、にんじんを炒める。
③ にんじんに火が通ったら、油を切ったツナ缶、めんつゆを加える。
④ 溶きたまごを入れて、炒め合わせて完成。
作り方やニンジンの栄養については、動画でも紹介しています↓
いかがでしたか?旬のニンジン、楽しんでください★
★ぶー!ポイント★
サラダにおかずにスイーツやドレッシングなど、料理に鮮やかなオレンジ色を添えてくれるニンジン。鮮やかな色は抗酸化作用という細胞を錆びから守ってくれる素敵な効果の証。ぜひニンジンは油で炒めてお召し上がりください。
ー適材適食ー
小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。