毎月季節の野菜を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役菜」。
私は健康なカラダづくりに役立つ野菜を【役菜やくさい】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える野菜たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。1月の役菜はブロッコリーです。
2017年にマイナビ社が行った調査によると、
子どもの嫌いな野菜トップ10
1位 ゴーヤ
2位 セロリ
3位 シュンギク
4位 トウガラシ
5位 ピーマン
6位 モロヘイヤ
7位 トマト
8位 シシトウ
9位 ナス
10位 カリフラワー
だったそうです。
所変わって太平洋の向こう側、アメリカの子どもたちにとって苦手な(嫌いな)野菜の代表はブロッコリーなんだそうです。アメリカ農務省は最も優れた31の健康食品のひとつに挙げ、健康=ブロッコリー的なイメージ戦略を展開して熱烈アピール。そのため各家庭で無理矢理ブロッコリーを食べさせるという状態が発生、結果、子どもたちは苦手になったとか、ならないとか。
花言葉は「小さな幸せ」。
ブロッコリーの茎の先に緑色の小さな粒々はつぼみです。だからブロッコリーは小さな花束なのです。そこでついた花言葉は「小さな幸せ」。最近では結婚式で花嫁のブーケトスと同じように花婿による「ブロッコリートス」が人気なんだそうです。
ブロッコリーの主な「役菜」栄養成分
ビタミンC 抗酸化作用、風邪予防、美肌効果
葉酸 血液をつくる 細胞増殖 DNA合成
ビタミンK 骨の形成を促す、止血、動脈硬化予防
β―カロテン 抗酸化作用、免疫力強化
イソチオシアネート 発がん予防、腫瘍化予防
食物繊維 腸内環境を整える
ビタミンC(抗酸化作用、風邪予防、美肌効果)
ブロッコリーに含まれているビタミンCは野菜の中でもトップクラス。1日に必要とされるビタミンCは、15歳以上の男女で100mg、妊婦110mg、授乳中145mgとされていますが、ブロッコリー100g中120mgのビタミンCを含んでいるとされています。
*ちなみに12月紹介したダイコンもブロッコリーと同等のビタミンCを含んでいます。
イソチオシアネート(発がん予防、腫瘍化予防)
正確にはがんや腫瘍を予防する効果があるとされるイソチオシアネートの一種【スルフォラファン】が微量に含まれています。抗酸化作用や解毒作用があるとされている物質で、高脂肪なものを食べた時、内臓に脂肪が溜まってしまうのを抑える働きがあるとも言われています。
*イソチオシアネートは、12月の役菜で紹介したダイコンに含まれていることで有名な成分です。
ブロッコリースプラウト
新芽を「スプラウト(=発芽野菜・新芽野菜)」と呼びますが、ブロッコリースプラウトは特に抗酸化作用の高いイソチオシアネートの1種スルフォラファンが多く、品種によりますが成熟したものよりも7倍から20倍も含まれているという報告もあります。
ブロッコリーとカリフラワー。
よく似ていますがそれもそのはずどちらもアブラナ科のキャベツの仲間です。緑色のブロッコリーが突然変異で白くなったものがカリフラワーと言われています。アブラナ科の野菜にはイソチオシアネートが含まれています。ワサビやダイコンのすり下ろしたものを食べた時つーんと鼻をつくあの辛みがイソチオシアネートです。ブロッコリーやカリフラワーやキャベツに辛みを感じないのは別の形で含まれているからです。でも大丈夫、ちゃんと体内で消化の際にイソチオシアネートに変わります。
ブロッコリーは鮮度が大事。
鮮度が落ちやすいブロッコリーはまとめ買いは避けて買ってきたその日に食べるようにしましょう。保存する場合は茎を下にしてポリ袋に入れて野菜室に。それでも4日が限界です。長期で保存したい場合は小分けにしたものを塩ゆでにして冷めてから保存袋に入れて冷凍室へ。1ヶ月を目処に使い切りましょう。
栄養がたくさん詰まっている部分。
ブロッコリーの栄養成分が多く詰まっているのは柔らかい「つぼみ」部分ではなく「茎」の部分です。熱に強く脂に溶けやすいβ―カロテンを100g中800µg含んでいるのですが、ビタミンCは水に溶けやすく、熱にも弱いので調理する際はせっかくの栄養素を逃さないように注意しましょう。
よいブロッコリーの選び方。
①つぼみが小さく粒が揃ってきっちり詰まっているもの
②黄色いものは避け濃い緑色のもの
③軸の切り口っがみずみずしいものを選ぶようにしましょう。
オリジナルレシピ
生野菜サラダやシチューに入れるというのがブロッコリーの一般的な食べ方ですよね。今回はちょっと変わったブロッコリーの楽しみ方を3つ紹介します。どれもとても簡単ですぐに作れます。
βカロテンを逃さないブロッコリーとしめじのペペロンチーノ風
ブロッコリーは茹でなくて食べられますがブロッコリーに含まれるβ―カロテンは熱に強く油に溶け出すので油を使った料理が最適。オリーブオイルを少量使って食物繊維が豊富なきのこと一緒に炒めて食べましょう。
1食分あたり
エネルギー 48 kcal
たんぱく質 2.5 g
脂質 3.4 g
炭水化物 3.8 g
食物繊維 2.7 g
食塩 0.3 g
材料(4人分)
- ブロッコリー・・・・1株
- しめじ・・・・・・・1袋
- にんにく・・・・・・1片
- オリーブオイル・・・大さじ1
- 醤油・・・・・・・・小さじ1
- 唐辛子・・・・・・・少々
作り方(調理時間:10分)
- ブロッコリーを水で洗い、小房に分ける。
- フライパンにオリーブオイル、おろしにんにく、唐辛子を加え、弱火で香りが出てくるまで加熱する。
- ブロッコリーとしめじを加え炒める。
- 火が通ったら醤油を加え完成。
ブロッコリーのビタミンCを逃さないスープ
ブロッコリーに含まれるビタミンCは熱に弱く水に溶けやすいのでスープにしてみましょう。ミキサーがない場合は鍋の中でブロッコリーをホイッパーで潰すと同じ材料で違った味わいのスープが楽しめます。
1食分あたり
エネルギー 49 kcal
たんぱく質 3.4 g
脂質 2.2 g
炭水化物 4.9 g
食物繊維 1.7 g
食塩 0.7 g
材料(4人分)
- ブロッコリー・・・・1株
- 水・・・・・・・・・1.5カップ
- 固形ブイヨン・・・・1個
- 牛乳・・・・・・・・200 cc
- ブラックペッパー・・少々
作り方(調理時間15分)
- ブロッコリーを水で洗い、小房に分ける。
- 鍋に水、固形ブイヨンを入れて加熱する。
- ブイヨンが溶けたらブロッコリーを加え、やわらかくなるまで煮る。
- ③をミキサーにかける。
- ミキサーで細かくなったら鍋に戻し、牛乳を入れて温める。
- ブラックペッパーで味を調えて完成。
▼ミキサーを使った場合
▼ミキサーを使わず潰した場合
それぞれ独特な口当たりがします。お好みで。
きんぴらッコリー
ゴボウの代わりにブロッコリーを使ったきんぴらです。見た目も爽やか。食感も楽しめます。なるべく太い茎のいいブロッコリーを使うのがコツ。ブロッコリーを使った和風の小鉢になります。
1食分あたり
エネルギー 57 kcal
たんぱく質 2.5 g
脂質 3.1 g
炭水化物 5.6 g
食物繊維 2.5 g
食塩 0.3 g
*ブロッコリーの茎の栄養価は日本食品標準成分表に掲載されていないため、ブロッコリーとして計算しています。そのため、栄養価については参考値です。
材料(2人分)
- ブロッコリーの茎・・1株
- にんじん・・・・・・適量
- 酒・・・・・・・・・小さじ1
- 砂糖・・・・・・・・小さじ1/2
- みりん・・・・・・・小さじ1/2
- 醤油・・・・・・・・小さじ1/2
- いりごま・・・・・・小さじ1
- ごま油・・・・・・・小さじ1
作り方(調理時間10分)
- ブロッコリーの茎の硬い部分を取り除き、千切りにする。
- にんじんも千切りにする。
- フライパンにごま油を熱し、ブロッコリーの茎とにんじんを入れて炒める。
- 調味料を加え、汁気がなくなるまで炒める。
- いりごまを加えて完成。
★ちゅー!ポイント★
いかがでしたか?ブロッコリー。最後にひとつ豆知識を。
ブロッコリーの表面に白い粉が付いていることがあります。農薬やらワックスやらと勘違いしている人も多いようですが、実はブルームと言って果実から分泌される天然物質なのです。もちろん害はありません、むしろブルームが付いているということは新鮮な証拠です。安心してお召し上がりください。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。