3秒ルール。
訊いたことあると思います。食べものを落とした時、3秒以内ならセーフで食べても大丈夫、というアレです。
この3秒ルール、Wikipediaにもちゃんと載っているんです。でも何故か3秒ではなく5秒です。
5秒ルール
5秒ルール(ごびょうルール)とは落とした食品などを区別する法則である。古くから存在している迷信と思われていたが、イギリスのバーミンガムにあるアストン大学の微生物学のアンソニー・ヒルトン教授率いる研究チームは、拾われるまでの時間が食品の安全性に影響を与えることを実証した。食品については日本だけでなく北アメリカからイギリスまで世界的規模で認知されている。
なんと世界的なんですね!
真面目な話、本当に3秒ルールは大丈夫なのでしょうか。気になります。実は気になっているのは私だけでなく、大学レベルで実験をした研究発表があり記事にもなっています、しかも結構見つけました。
まずは朝日新聞DIGITALから。
さて、果たして3秒ルール、あるいは5秒ルールって本当にダメなのでしょうか?
そこで、私たちが仕事で使用する英文医学文献検索サイトPubMedで、3秒ルール(three―second rule)あるいは5秒ルール(five―second rule)をキーワードに検索してみました。
すると、まじめに検討した米国の論文(2016年発表)が見つかりました。バターを塗ったトースト、グミ、スイカなどをいろいろな住宅材(タイル、ステンレス、木材、カーペット)の上に落とし、1秒、5秒、30秒、5分でどれだけ細菌に汚染されたか実験したものです。
バカバカしいとお思いかと思いますが、米国の微生物学会が出している、由緒正しい学術誌に掲載された真面目な論文です。結果は皆さんの予想通り、時間経過とともに細菌汚染の程度はひどくなるのですが、1秒でもやはり細菌汚染は避けられないのです。この論文以外にも検討したものがありましたが、やはり5秒ルールを正当化できる根拠は見当たりません。
1秒でも細菌汚染は避けられない、という結論だったようです。
ほかも観てみましょう。
イギリスのバーミンガムにあるアストン大学の微生物学のアンソニー・ヒルトン教授率いる研究チームは遂に太古の昔から議論されていた可食の議論に終止符を打つことができたかもしれません。5秒という時間は食べ物の安全性を左右する事が実証されたのです。
今回、大腸菌と黄色ブトウ球菌がどのようにして地面から食べ物に移動するのかを調査。
実験では様々な屋内の床(カーペットやプラスチック、タイルなど)に、トーストやパスタ、クッキー、ハム、ドライフルーツなど(ただしベタベタするデザートは含まない)を落とし、菌が付着する様子を研究しました。
結果、「時間は、床の表面から食べ物へバクテリアが移動する重要な要因である」ことを実証しました。
食べ物が床で過ごした時間が、どの程度バクテリアの付着に影響するかということですが、床の種類によってこの法則はかなり変わります。
例えばカーペットに落ちた食べ物はバクテリアが着きにくい傾向にあり、フローリングに落ちた食べ物はバクテリアが着きやすく、5秒以上は本当に止めた方が良いらしい。そしてベタベタした食べ物は論外とのこと。
ヒルトン教授によれば、
床に落とした食べ物を食べる場合のリスクは、その床にどのようなバクテリアが潜んでいるかによります。しかし、5秒ルールが迷信ではないことがわかり、これまで信じて実行してきた人は少し安心できると思います。
もちろん、今回初めて5秒ルールが実験されたわけではありません。New York Daily Newsによれば、Mythbustersが非公式の実験を行い、それぞれ2秒間と6秒間床の上に放置した食べ物のバクテリアの量にはほとんど違いが無いことを発見しています。
落とした食べものにバクテリアなどの細菌が付着するが、落とした先の材質やそこにいるバクテリアなどの細菌の種類にもよる、としている一方、別の研究では2秒と6秒で付着するバクテリアの量に差は無いとしています。
もう1つ観てみましょう。
カーペット,木,タイルのどの環境であっても,ネズミチフス菌は十分感染力を保ったままで1カ月生存できることがわかりました.そして,5秒,30秒,60秒のいずれでもほぼ同じ菌数が食べ物に移動し,接触時間が短いからといって安全ではないことが証明されています.カーペットの上は,木やタイルと比較すると少しましでした.カーペットは接触面積が少ないのが原因かもしれません.それでも菌は十分な感染力をもって移動するというデータが出ています.
感覚的には,ソーセージは菌がつきやすく危険だけど,パンなら落としても,さっと拾えば大丈夫そうな感じがします.ですが,実はソーセージでもパンでも,時間に関係なく菌は移動するという衝撃的な結果が出ました.
5秒、30秒、60秒のいずれもネズミチフス菌の量は変わらない。そして食べものに移ったその量は充分に感染する力を持つほどだった、としています。
★ちゅー!ポイント★
やはり落としたものは感染症防止という意味で、食べないほうがいいようです。
その前に、テーブルや食器、キッチンなどもきちんと消毒しておかなければ、落としたものを食べているのと一緒になってしまいます。適切な洗剤や消毒方法でしっかり安全な環境を整えることが大事です。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。