今週のお題「納豆」
前々回はダイズと膵がんについて
前回は果物と野菜と膵がんについて
とお話してきました。今回はダイズについては掘り下げて考えてみようと思います。おさらいのために前回ダイズの図を表示します。
▼総大豆食品、発酵大豆食品、非発酵大豆食品の比較
大豆食品の摂取量と膵がん罹患の関連 | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
▼大豆食品の種類別の比較
大豆食品の摂取量と膵がん罹患の関連 | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
このレポートの図が示しているのは、
- 非発酵大豆食品を多く摂った場合、膵がんのリスクを高める。
- 発酵大豆食品の場合は、ほとんど変化が見られない。
ということではないでしょうか。
ここで大豆食品について考えてみます。発酵させた大豆食品と発酵させてない大豆食品、それぞれどんなものがあるのでしょうか。
▼発酵大豆食品
ダイズを原料として発酵させた主な食品として、
納豆(なっとう)
よく蒸した大豆を納豆菌によって発酵させた日本の発酵食品。様々なものが存在するが、一般的に「糸引き納豆」を指す。菓子の一種である甘納豆とは別物である。
大豆を納豆菌で細菌発酵( → #臭気参照)させた発酵食品である。日本全国の食品売り場で容易に手に入れることができる。「納豆」「納豆汁」などが冬の季語であるように、納豆の時期は冬である。一方、7月10日が「納豆の日」とされている。これは1981年、関西での納豆消費拡大のため、関西納豆工業協同組合がなっ (7) とう (10) の語呂合わせで制定したものであり、1992年、全国納豆工業協同組合連合会が改めて「納豆の日」として制定した。近年では健康食品としても注目を集めている。
醤油(しょうゆ、醬油)
主に穀物を原料とし、醸造技術により発酵させて製造する液体調味料である。日本料理における基本的な調味料の一つ。同様の調味料は東アジアの民族料理にも広く使用される。
以下、特記なき記述は日本について記したものとする。
独自の発展を経て明治時代の中期に完成を見た。大豆、小麦、塩を原料とし、麹菌、乳酸菌、出芽酵母による複雑な発酵過程を経て生成され、その過程でアルコールやバニリン等の香気成分による香り、大豆由来のアミノ酸によるうまみ、同じく大豆由来のメチオノールによる消臭作用と、乳酸・酢酸の酸味、小麦由来の糖による甘みを持つ。なお、赤褐色の色調は、主にメイラード反応によるものである。
鉄分はコウジカビの生育に悪影響を与えるので鉄分の少ない水を使用する。鉄分が少ない方が色が薄く仕上がり、軟水の方が適する。
日本料理の調理において、煮物の味付けや汁物やタレのベースにするなど、広く利用され、天ぷら・江戸前寿司・蕎麦など、日本の食文化の基本となっている調味料である。また、ほとんどの場合は濃口醤油が用いられ、一般家庭でも醤油差しに入れられて食卓に出され、食堂や日本料理店などでも同様に普通にテーブルに置かれ、料理にかけたり少量を小皿に注ぎ・浸す、「つけ・かけ」用途に用いられる。主要な産地は千葉県・兵庫県である。
味噌(みそ)
大豆や米、麦等の穀物に、塩と麹を加えて発酵させて作る発酵食品で、日本の伝統的な食品の一つである。日本料理(和食)の代表的な材料として日本国外にも知られている。
食品学、人類学的には、日本の味噌は醤油と同じく、醤(ひしお/ジャン)のうち穀醤(こくしょう)に分類される。一般的な味噌は日本独自のものであるが、東アジア、東南アジアの各地に存在する大豆やその他の豆・穀物を原料としたペースト状の発酵調味料である穀醤も、類似性から味噌に含める場合もある。例えば、中国の豆板醤、韓国のコチュジャンを、日本ではしばしば唐辛子味噌などと呼ぶ。
主な原料は大豆であるが、穀物や麹の違いで種類が豊富である。穀物に黄麹菌などの麹菌を繁殖させた麹や塩を混ぜ合わせ、発酵させることによって大豆のタンパク質を消化しやすく分解し、旨みの元であるアミノ酸を多量に遊離する。穀物由来の麹が増えるとデンプンが糖に変わって甘味が増し、大豆が増えるとアミノ酸による旨味が増す。原料により豆味噌、米味噌、麦味噌など、地域、種類により赤味噌、白味噌、合わせ味噌(調合味噌)などと区別する。
古くから日本の食生活における主な蛋白源である。また副食の素材が豊富になった今日では調味料とみなすことがあるが、江戸時代中盤以前は「おかず」的な扱いをしていた。現在でも「おかずみそ」・「ねぎみそ」・「ピーナッツみそ(みそピー)」・金山寺味噌・豚味噌(アンダンスー)・魚味噌・朴葉味噌など、多数の味噌加工品が存在しており、日本料理に欠かせないものの一つとなっている。とくに近年ではスローフードや日本食ブームにより、味噌の良さが改めて見直されている。
長年の経験では、味噌は食品として万能であることが江戸時代の本朝食鑑に記載されており、その健康増進効果から味噌汁は「医者殺し」と当時から言われていた。20世紀後半からは、健康効果の研究がおこなわれている。
と代表的なものはこの3種類でしょうか。
▼非発酵大豆食品
ダイズを原料として発酵させてない食品として、
枝豆(えだまめ)
未成熟で青いうちの大豆を収穫し、食用にするもの。
豆腐(とうふ)
大豆の搾り汁(豆乳)を凝固剤(にがり、その他)によって固めた加工食品である。
おから
大豆から豆腐を製造する過程で、豆乳を絞った際に残るかす。日本、中国、韓国など、豆腐が存在する東アジア一帯ではなじみ深い食品である。食物繊維を多く含み、火を通して食べることが多い。
豆乳(とうにゅう)
大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮つめた汁を漉した飲料である。味は無調整であれば豆腐とほぼ同じで、大豆特有の青臭さがある。この風味を好む人も多いが、飲みづらいと感じる人もいるため、牛乳に似せて味を調えた調製豆乳や、果汁を加えたり砂糖などで甘みを加えた豆乳飲料も販売されている。なお煮詰めた汁を濾して残った繊維質のものがおからである。
という感じでしょうか。
他の食品も併せて図になっているものを見つけましたので転載します↓
どれもとても馴染み深い普段よく口にする食品ばかりですね。中でもやはり気になるのは発酵大豆食品でしょうか。
醤油も味噌もそのまま食べることはあまりないと思いますが、気になるのは塩分です。保存のため、味を調えるため、どちらもかなり塩分が含まれていますので、塩分の摂り過ぎが気になる人は減塩と表示された醤油や味噌を使う方がよいです。
実は今、自家製味噌を作っています。その際に結構「塩」を入れたので余計に感じています。
そして、
納豆は原料のダイズを納豆菌で発酵させているだけなのですが、そのまま食べる人は多くないと思います。
ネギを入れたり、海苔を刻んだり、辛子を足したり、付属の出汁や醤油で味を調える人も多いと思います。
では、どんな大豆食品が発酵してて発酵していないのかが何となく判ったところで、今度は基本の基本、ダイズそのものについて注目してみたいと思います。が、実は以前、ブログでダイズについて取り上げています、こちらです↓
(*ダイズに含まれている栄養素などを詳しく説明していますので、ぜひ読んでみてください。)
ダイズの主な栄養成分の効果として、
大豆タンパク質
:動脈硬化予防、血圧降下など
大豆イソフラボン
:乳がんリスクを抑える、抗酸化作用による抗がん効果、骨粗しょう症予防など
食物繊維
:血糖値の上昇を抑制、血中コレステロールを抑える、腸内環境を整える、便秘改善など
大豆サポニン
:脂質代謝を促す、肥満予防、肝機能障害の改善、高脂血症予防など
レシチン、リノール酸
:血中コレステロール低下、美肌効果など
大豆オリゴ糖
:腸内環境を整える、免疫力アップ、風邪予防、美肌効果など
などが「期待できる」とされています。もちろん他にも、ビタミンB群やカルシウム、カリウムや鉄分などのミネラル成分も多く含んでいます。
というようにダイズには身体が必要とする栄養素の多く含んでいるのです。
ここからは私見をお話します。
今回のレポートで『もう発酵したダイズ食品しか食べない!』とする必要はないではないでしょうか。確かに豆腐や豆乳など非発酵大豆食品は膵がんのリスクを高めるという結果が出ています。しかし、レポートにもあるように
これまでの欧米の疫学研究では、インゲン豆、レンズ豆、エンドウ豆、大豆などを含むマメ科の植物の摂取は膵がんリスク低下との関連が示唆されています。
大豆食品の摂取量と膵がん罹患の関連 | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
別の研究では膵がんのリスクを下げる結果も出ていますし、
今回の研究では、豆類の種類の違いによる栄養成分の違い(インゲン豆、レンズ豆、エンドウ豆は大豆に比べて、炭水化物が多く、脂質が少ない、大豆はたんぱく質、脂質が多い)や、観察期間の違い(欧米の研究は6~8.3年であり、本研究は約17年と長い)などのため、先行研究とは異なる結果になったと考えられました。
大豆食品の摂取量と膵がん罹患の関連 | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
条件も違うという点も自ら指摘しています。
総大豆食品摂取量が多いと膵がん罹患リスクが高い理由は、よくわかっていませんが、動物実験では非加熱大豆飼料を与えられた動物では、下痢などのほか、膵臓の腫れがみられたとの報告や、大豆に含まれるトリプシンインヒビターなどの消化酵素阻害成分の消化酵素や消化管ホルモンへの影響などが考察されます。
大豆食品の摂取量と膵がん罹患の関連 | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
しかし全く無関係ではないかも知れない、という事も付け加えています。
これらのことを並べて考えてみると、まだよく判っていないというのが現状ではないでしょうか。これは前回の果物と野菜と膵がんについてでも同じで、判ったことは、果物を食べることは膵がんのリスクを低下させる、ということで、野菜を食べると膵がんになるリスクが高まるという結果が出たがまだ調査や研究が不十分だ、としているのと同じではないでしょうか。
ですから私自身は豆腐などの非発酵大豆食品も野菜も変わらず食べます。でも、気になる人がいたら、今回3回にわたってお話してきた内容を伝えます。そして、判断は本人に任せます。例えば「食べない」と言うのであれば、止めたりはしません。ただし、忘れてはいけないのは身体を健康に保つために必要な栄養とエネルギーは欠かすことができないので、そこはしっかりケアしていく必要があると考えています。
★ちゅー!ポイント★
今回このレポートを取り上げ、詳しくお話してきたのは、こういうキャッチーな話を耳にすると過剰に反応する人がいるからです。確かに私も驚きました。でも、落ち着いてしっかりどうゆうことなのかを考えて、自分なりの答えを出すことが大切だと思うのです。メリットとデメリットがあって、それをどちらもちゃんと机の上に並べて、その上で判断することが大事だと私は考えたからです。
もしあなたが食についての何かを考えるきっかけになったら、幸いです。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。