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1121食目「え?!きつねうどんで食中毒?!」原因は出汁に含まれているヒスタミン

「え?!きつねうどんで食中毒?!」原因は出汁に含まれているヒスタミン【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)

 

先日こんなニュースが報じられました。

園児28人が、給食を食べて食中毒に。
検出されたのは「ヒスタミン」だった。


11月11日、東京・墨田区の「うれしい保育園 八広」の給食で、きつねうどんを食べた1歳から6歳の園児28人が食中毒を発症した。
園児たちは、食べ始めておよそ10分後から、顔や腕に発疹が現れ、1時間後には収まったという。
食中毒の原因とされる、きつねうどんから検出されたのは「ヒスタミン」。
この「ヒスタミン」による食中毒は、マグロやカツオなどの赤身魚や、その加工品が適切な温度管理がされないことでヒスタミンが生成され、一定量を摂取することで症状を引き起こす。
またヒスタミンは、加熱しても分解されることはないという。
保育園では、職員も園児と同じ給食を食べていたが、発症したのは園児だけ。
厚生労働省によると、過去にヒスタミンによる食中毒は、0歳から9歳までの子どもが全体の4割を占めるなど、発症するのは幼い子どもに多いことがわかる。
保育園で給食に出されたのは、小麦でできたうどん、大豆からできた、きざみ揚げ、魚などから作られるだしパックで調理されたもの。
通常よりも濃いだしをとるために、長時間、だしをとっていたという。
都は、食材から考えると、ヒスタミンが生成されやすい魚などから作られる、だしパックが原因なのではないかとみて、調べを進めている。
調理過程でヒスタミンが濃縮された可能性は否めないとしているが、だしを長く煮出すことで菌が生成されるという研究結果は、現在のところないとしている。

食中毒と聞いて普通「生もの」とか「火を通していないもの」を想像しますよね。ところが、今回食中毒になってしまった園児たちが食べたのはきつねうどんです。きつねうどんは火を通します。何故でしょう。記事にもあるように原因は出汁のようです。

給食の調理業者が、ヒスタミンが入っていた市販のだしパックをメーカーによって定められた調理法よりも長く煮て、抽出された可能性があるとみている。

都によると、ヒスタミンは赤身魚などで繁殖する菌によって生成されるといい、使用済みのだしパックから微量が検出された。

だしパックのメーカーは煮る時間を10分間としていたが、給食の調理業者は45分間煮ていた。都は「記載されている用法を守ってほしい」と呼びかけている。

だしパックの煮すぎが原因? 保育園の給食で食中毒 東京 - 産経ニュース

「え?!きつねうどんで食中毒?!」原因は出汁に含まれているヒスタミン【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)

なんと出汁パックをメーカー指定時間よりも長く煮たため、ヒスタミンが発生してしまった、という事です。

 

厚生労働省のサイトでもヒスタミンについての記述があります。

ヒスタミンによる食中毒とは?
ヒスタミン食中毒は、ヒスタミンが高濃度に蓄積された食品、特に魚類及びその加工品を食べることにより発症する、アレルギー様の食中毒です。
ヒスタミンは、食品中に含まれるヒスチジン(タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の一種)にヒスタミン産生菌(例、Morganella morganii)の酵素が作用し、ヒスタミンに変換されることにより生成します。
そのため、ヒスチジンが多く含まれる食品を常温に放置する等の不適切な管理をすることで、食品中のヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスタミンが生成されます。
ヒスタミンは熱に安定であり、また調理加工工程で除去できないため、一度生成されると食中毒を防ぐことはできません。

 

食中毒の原因となる食品は?
ヒスチジンを多く含むマグロ、カジキ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジなどの赤身魚及びその加工品が主な原因食品として報告されています。

 

ヒスチジンを含むものを食べることで、体内でヒスタミンを作ってしまう、ということのようです。

 

 

ところでヒスタミンってなんでしょう。

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ヒスタミン(ひすたみん)とは、末梢、中枢神経系に広く分布する生理活性物質である。生体内で炎症、アレルギー反応、胃酸分泌、神経伝達に関与している。ヒスタミンは、肥満細胞、白血球、胃腸の細胞、脳の神経細胞などに存在する酵素により生合成され、そこで作用もしくは貯蔵される。

ヒスタミン | 看護師の用語辞典 | 看護roo![カンゴルー]

身体の中で血圧降下、血管透過性亢進、平滑筋収縮、血管拡張、腺分泌促進などの働きをヒスタミンは行っていますが、ヒスタミンが過剰に分泌されるとアレルギー反応を起こしてしまうことがあるそうです。

抗ヒスタミン薬というのを聞いたことあるかもしれません。ヒスタミンの働きに抗=あらがう薬で、ヒスタミンが原因となっているじんましん、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、ぜんそくなどを抑える働きがあります。

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では何故今回出汁からヒスタミンが出て食中毒になってしまったのでしょう。

 

以下に日本アレルギー学会専門医の医師の記事の一部を転載します↓

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  1. 魚にはヒスチジンというアミノ酸が含まれており、菌による作用でヒスタミンが増えることがある(特に常温)
  2. ヒスタミンは一定以上を摂取すると一部のひとにアレルギーと似た中毒症状を起こす可能性が高くなる
  3. 魚そのものに、もともと微量にヒスタミンが含まれている(が、多くはヒスタミン中毒を起こすことはない)
  4. 保存が不適切だった魚や、アンチョビや魚醤でヒスタミンの濃度が大きく増えヒスタミン中毒が起こった事例が報告されている
  5. ただし、魚そのものを摂取しない『だしパック』でヒスタミン中毒を起こすほどのヒスタミン量になるかどうかは十分な検討を要する

*詳細を知りたい人は↑上記のサイトをご覧ください。

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元々、魚にはヒスタミンとなる元の物質が含まれてはいるが、常識の範囲内で摂取している分には食中毒を起こすことはまず考えられない。そして魚を原材料とする出汁パック自体も同じく安全と言える。定められた時間以上に煮出したことが原因となっているが、本当にそうなのかは判らない。

 

今すぐ「出汁は食中毒になるから危険!」ということではない、とのことです。いずれにせよ、メーカーが定めている使い方に従うことは大事ではないでしょうか。

 

 

★ちゅー!ポイント★

ヒスタミンについて東京都福祉保健局が注意事項や扱い方などの情報を発信しています。

www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp

 

 

ー 適 材 適 食 てきざいてきしょく

小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級

【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級)

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*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。