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適材適食 -てきざいてきしょく-

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1224食目「子どもの頃に何を食べていたかで将来の健康が決まる!?」米国の研究から

「子どもの頃に何を食べていたかで将来の健康が決まる!?」米国の研究から【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

ーーー小さい頃、よく食べてたなあ

誰にでも思い当たるものがあると思います。大人になってから食べてみると、それ程美味しくもないのですが、でも頭の中ではとっても美味しかったと記憶されているもの、あなたにとっては何ですか?

先日、こんな発表がありました↓

人の健康は「幼少期の食事」次第! アメリカの研究で判明
近年、腸内フローラは便通だけでなく肥満やうつ病などにも関係があるとわかってきています。「腸活」という言葉も生まれましたが、この腸内フローラには子どものころの食生活が大きく影響を及ぼしていることが最近の研究で判明しました。大人になってから健康的な食事に変えたとしても意味はないのでしょうか?
腸内フローラとは、「腸内細菌叢(さいきんそう)」と呼ばれるもの。人の腸のなかには数百種類、数にすると数百兆個もの細菌が生息しており、全部で1~2㎏にもなると言われています。この腸内細菌は身体にとって良い働きをする「善玉菌」と、身体に有害な「悪玉菌」に分類でき、悪玉菌のほうが優勢になり腸内細菌のバランスが崩れると、便秘を引き起こしたり肌の調子が悪くなったりします。
また、肥満の人やうつ病患者にはある種類の腸内細菌が少ない傾向があるなど、腸内フローラは人の健康や精神面にまで関連するとわかってきており、その重要性が着目されているのです。
そんな腸内フローラの形成に幼少期の食生活や運動が長期的にどのような影響を与えるか調べるため、カリフォルニア大学リバーサイド校の研究チームは若いマウスを使って実験を行いました。
マウスは4つのグループに分けます。1つ目のグループは通常の健康的な食事を、2つ目のグループには高脂肪・高糖質の洋食を摂取。さらに、両グループのマウスは運動させるものと運動させないものに分け、「健康的な食事+運動」「健康的な食事のみ」「洋食+運動」「洋食のみ」という4つのまとまりを作り、生後6週になるまで3週間観察。その後はすべてのマウスを運動なしの通常の食事に戻し、人間の6歳に該当する生後14週になった段階で、腸内細菌を調べました。
その結果、高脂肪・高糖質の洋食を与えられたマウスは、一部の腸内細菌の種類と量が大きく減少していることが判明。しかも、この減少は「洋食+運動」のマウスでも見られ、腸内細菌の減少に運動の有無は関係しないとわかったのです。
別の研究者が調査では、この実験で減少が見られた腸内細菌と同じ種類の細菌が5週間の運動で増えていることがわかっています。つまり、このタイプの細菌の増加には運動が関係していると示唆されるわけですが、それにもかかわらず今回の若いマウスを使った実験では運動をしても細菌数は減少したまま。このことから、幼少期に摂取した高脂肪・高糖質の食事が腸内細菌に長期的に影響していると考えられるわけです。
この実験はマウスで行われましたが、研究チームでは人間でも同じように腸内フローラに影響が出ると見ており、人間の場合は思春期以降でも最大6年間は影響を受けているのではないかと述べています。毎日の食事は私たちの身体の細胞一つひとつを形成する源ですが、幼少期の場合はそれがさらに重要なのかもしれません。研究チームの一人は「人の健康は食べ物だけでなく、幼少期の食事でも決まる」と述べています。
【出典】McNamara, M. P., Singleton, J. F., et al. (2021). Early-life effects of juvenile Western diet and exercise on adult gut microbiome composition in mice. Journal of Experimental Biology. doi: 10.1242/jeb.239699

getnavi.jp

実験だけを抜き出すと、マウスを

1「健康的な食事+運動」
2「健康的な食事のみ」
3「洋食(高脂肪・高糖質)+運動」
4「洋食(高脂肪・高糖質)のみ」

という4つのグループに分けて人間で6歳になるまで続け、その後は「通常の食事+運動なし」にした上で、それぞれの腸内細菌を調査したそうです。つまり、幼少期の食事や運動が違っていて大人になってからはみんな一緒、という条件を作り出したそうです。

その結果、

3「洋食(高脂肪・高糖質)+運動」

4「洋食(高脂肪・高糖質)のみ」

は「一部の腸内細菌」の種類と量が大きく減少している

ことが判ったそうです。

興味深いのは、この一部の腸内細菌は5週間運動を続けることで増えることが別の研究で判っていた点です。

つまり、

運動することで増える一部の腸内細菌は、幼少期に高脂肪・高糖質な食事を摂っていると、大人になっても増えない

=幼少期の食生活で将来の腸内細菌環境が決まる

という結果になったそうです。

これまでにも腸内細菌、腸内環境が健康に大きく関わっているという話題を取り上げてきました。

 

思っているよりもずっとお腹の中は私たちの健康に大きく影響しています。腸内環境を整えるとされるのは食物繊維。腸内環境が整うと免疫力も向上する、とされています。食物繊維を含む野菜は健康を守ってくれる食材、私たちの強くてオイシイ味方、なのです。

 

★モゥー!ポイント★

「子どもの頃に何を食べていたかで将来の健康が決まる!?」米国の研究から【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

子どもの頃の食事は大切。いわゆる「おふくろの味」というのがまさにそうで、小さい頃の体験が大人になってもずっと残ります。逆に子どもの時に嫌な想いをしてしまうとそれが食べられなくなってしまう、なんてこともあるように、根付いてしまうという意味でも大切な時期と言えます。

ーーーでも子どもの頃だからもう遅いでしょう、ずいぶん立派な大人だし。

いえいえ、そんな事はありません。私たちの身体は日々生まれ変わっています。古い細胞が新しい細胞に生まれ変わっています。そしてその細胞の材料となるのは毎日の食事。食事から摂る栄養で私たちはできています。ですから、今からでも決して遅くはありません。腸内環境を整えてくれる食物繊維がたくさん入った野菜を食べましょう★食べるなら旬の野菜がオススメです★もちろん、適度な運動も健康な身体づくりには欠かすことはできません。

 

ー 適 材 適 食 てきざいてきしょく

小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級

毎日更新!たべものブログ【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級)糖尿病・甲状腺専門クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

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*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。