2年程前に知人から聞いた話。
真夏の昼間、ちょうど昼ご飯の時間に
ボクはコンビニに立ち寄った。
飲みものがなくなったからだ。
店内の一番奥にある飲みものケースの前で
どれにしようか迷っていたところ、
入口の方から元気な少女の声が聞こえた。
そしてその声は段段と近づき、
あっというまに
その人の足下まで来た。
母親らしい女性と手を繋いでいる。
3歳ぐらいだろうか、
子ども用の麦わら帽子に
小さなひまわりがたくさん描かれた
真っ赤なノースリーブのワンピースが
とても似合った女の子だ。
汗で髪がびっしょり濡れてしまっている。
その子は飲みもののケースの前で
眼を輝かせながら
どれにしようか楽しそうに
大きな瞳をくるくると動かしていた。
そしてしきりに何かを言っている。
「ねえ、チューしよう」
ボクは一瞬戸惑った。
そしてイヤフォンを外して
その子の言葉を聞き直した。
「♪ねえ、チューしよう♪」
「♪ねえ、チューしよう♪」
「♪ねえ、チューしよう♪」
「♪ねえ、チューしよう♪」
「♪ねえ、チューしよう♪」
子ども特有の舌っ足らずな感じで
自分で作ったのだろう、
その「セリフ」には節がついていて
何度も何度も繰り返すのだった。
あまりにも可愛くて見とれてしまったのだが、
ふと我に返り、母親を見ると平然としている。
その親子は飲みものを選びレジに向かった。
ボクも選び、後を追った。
レジ前で少女は
さらにテンポアップしたセリフを連呼する。
支払が終わり店を出る親子。
ボクもすぐ後を追って出た。
母親はレジ袋から買ったばかりの
ペットボトルのお茶を出し、
キャップを開けて少女に渡す、
「はい、○○ちゃん。
熱中症には気をつけて、だね。」
そう、少女は「熱中症」と言っていたのだ!
本当にあったかわいいエピソードでした。
お話はかわいいのですが、
熱中症は怖いです。
2009年 1万人
2010年 5万人
2013年 6万人
と熱中症にかかる人が急増しています。
熱中症とは
蒸し暑い環境で、身体が対応できなくなり、
体内の水分や塩分(ナトリウム)のバランスが崩れ、
体温の調整がうまくいかなくなった状態で、
- 体温が上がる
- めまいがする
- たくさんの汗をかく
- 頭痛
- 吐き気
- 食欲不振
- 倦怠感
などが起こり、時には意識を失うこともあります。
そして糖尿病のある人は熱中症にかかりやすいのです。
熱中症にかかりやすいのは高齢者、糖尿病など慢性疾患のある人だ。特に糖尿病の人は、高血糖の状態が続くと神経障害や皮膚の血流障害が起こりやすく、熱中症の症状に気付きにくくなっている場合があるので注意が必要だ。
血糖値コントロールが良好でない糖尿病患者は熱中症を発症しやすい。血液中のブドウ糖濃度が高いと、それを薄めようと血管の外側から水分を取り込み続けるために水分が増え過ぎ、尿として体外へ排出される浸透圧利尿が生じてしまう。
もし「熱中症かな?!」と思ったら、
もし「熱中症かも知れない?!」という人を見かけたら、
- 自覚症状のあるI度の軽症である場合は、すぐに風通しのいい日陰やクーラーなどが効いている室内など涼しい場所へ移す。
- 衣服をゆるめたり、体に水をかけたり、またぬれタオルをあてて扇いだりするなどして、体から熱を放散させ冷やす。
- たくさん汗をかいた場合は、冷たい水と塩分を補給する。
- 自分の力で水分の摂取ができなくなったり、意識障害がみられるIII度の重症である場合は、すぐに病院に搬送する。
熱中症の症状はすぐに悪化してしまいますので、
これらの対策をすぐに行ってください。
熱中症にならないためには
- こまめに水分を摂る。
- 直射日光は避け、風通しのよい日陰やエアコンのある涼しい部屋にいる。
- 日射しの強い時間帯の外出を避ける。
- 外出時は帽子を被ったり、汗を吸収する素材の服装で。
- 食事は3食きちんと摂る。
- 充分な睡眠をとる。
などの対策が有効です。
熱中症は気をつけていれば避けることができます。
梅雨の時期から夏の終わりまで。
今年の夏を楽しく過ごすために気をつけましょう。
↓より具体的な対策はこちらから。
★わん!ポイント★
この夏、あなたもコンビニで
「熱中少女」に出会えるかもしれません。
ー適材適食ー
小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は治療です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。