5月のおわりから最高気温30度を超える日が全国で目立つようになりました。暦の上では初夏かも知れませんが、体感的には「夏」です。
2018年の夏にもしましたが、2019年も「脳卒中」についてお話します。
6月から8月の夏の期間、脳卒中が起きる割合が高まります。
- 顔や手足がしびれ出す
- 上手く言葉が出ず喋ることができない
- 片方、もしくは両方の目の視界が悪くなる
- 上手く歩くことができない
- 激しい頭痛がある
などの症状が突然起きた時、脳卒中の可能性があります。
脳卒中とは
脳の急激な血液循環障害による症状、つまり「脳の血管の障害」のことで、
- 脳梗塞のうこうそく:脳の血管が詰まる
- 脳出血のうしゅっけつ:脳の血管が破れる
- くも膜下出血くもまっかしゅっけつ:脳とくも膜と呼ばれる部分に出血が起きる
などを含めた総称です。
脳卒中と診断された人の年齢分布
東京都福祉保健局のデータによると、
重症例を含む脳卒中患者397例の年齢分布は
20〜25歳未満・・・・・ 1人:0.3%
25〜30歳未満・・・・・ 2人:0.5%
30〜35歳未満・・・・・ 1人:0.3%
35〜40歳未満・・・・・ 1人:0.3%
40〜45歳未満・・・・・ 8人:2.0%
45〜50歳未満・・・・・ 7人:1.8%
50〜55歳未満・・・・・15人:3.8%
55〜60歳未満・・・・・20人:5.0%
60〜65歳未満・・・・・38人:9.5%
65〜70歳未満・・・・・45人:11.3%
70〜75歳未満・・・・・48人:12.1%
75〜80歳未満・・・・・61人:15.3%
80〜85歳未満・・・・・70人:17.6%
85〜90歳未満・・・・・53人:13.3%
90歳以上・・・・・・・27人:6.8%
となっています。
重症を含む脳卒中患者の年齢の平均は、
脳卒中合計・・・・・・・・・73.4歳
脳梗塞・・・・・・・・・・75.5歳
脳出血・・・・・・・・・・68.9歳
くも膜下出血・・・・・・・70.2歳*平成24年 *n=326
で、
重症を含む脳卒中患者の性別は
男性・・・・・・・240例:60.3%
女性・・・・・・・158例:39.7%
でした。
65歳以上になると急激に増えていて男性に多いことが判ります。
脳卒中は死因の第3位
脳卒中の患者数は2017年で112万人とされていて、日本人の死因の第3位です。
糖尿病や高血圧が脳卒中の原因に
脳卒中の中でも脳の血管が詰まる脳梗塞の原因は動脈硬化が多いとされています。その動脈硬化を引き起こすのが
- 糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症
など生活習慣病なのです。
脳卒中を引き起こさないための10のポイント
日本脳卒中協会が掲げる「脳卒中予防の10ヵ条」がありました。
- 手始めに 高血圧から 治しましょう
- 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
- 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
- 予防には タバコを止める 意思を持て
- アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
- 高すぎる コレステロールも 見逃すな
- お食事の 塩分・脂肪 控えめに
- 体力に 合った運動 続けよう
- 万病の 引き金になる 太りすぎ
- 脳梗塞 起きたらすぐに 病院へ
脳卒中を予防するためのポイントですが、1〜9は生活習慣病・糖尿病の治療と「全く同じ」です。
脳卒中を遠ざける食事
塩分を多く摂り過ぎると、血圧が高くなります。血圧が高いと血管に負担がかかります。特に糖尿病がある人は血糖値の高い状態が続いていると血管にダメージを与え続けているのと同じです。そこに高い圧力の血液が流れ続けると大変危険です。
厚生労働省が2014年3月に発表した「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書によれば、18歳以上の男性は1日当たり8.0グラム未満、18歳以上の女性は1日当たり7.0グラム未満という目標量が定められています。さらに、日本高血圧学会減塩委員会は、高血圧予防のために、1日6グラム未満という制限を勧めています。
ただし、塩分は体に必要な成分です。ですが、あなたは塩分を気にしながら食事をしていますか?普通に1日3食食事をしていく中で調理段階や食材そのものの中に必要な分は含まれていることが多いのです。食材を選ぶ時や調理をする時点で塩分を意識し、摂り過ぎないようにする意識が必要です。
*現在治療を行っている人は担当する医師や管理栄養士の指示に必ず従ってください。
脂質、いわゆる油はコレステロール値を上げるだけでなく、体重が増える原因になりかねません。また血管の中で血栓を作る要因になりかねません。
脂質は油脂に溶ける脂溶性ビタミン=ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKなどの吸収には必要な成分です。また脂質は1gで9kcalに変換されるのでとても効率のよいエネルギー源なので、1日に必要なエネルギーの20〜25%を脂質から摂ると良いとされています。
1日に必要な脂質ではなく、1日に必要なエネルギーという風に考えます。それは脂質だけがエネルギーになるわけではないためです。では1日にどれだけのエネルギーを摂ればいいのかというと、それは人によって様様です。年齢や性別、体格や活動量など生活習慣によって必要とされるエネルギーが異なるからです。自分に合ったエネルギー量を見つけるヒントはこちらから↓
*現在治療を行っている人は担当する医師や管理栄養士の指示に必ず従ってください。
脳卒中にならないために
病気は早期発見早期治療が基本です。脳卒中の場合は予後に大きく影響します。「自分は大丈夫」なんて考えずに、「いつもと違う」「何か違う」と感じたらすぐに病院を受診してください。特に若い人は「疲れが出た」などとして見過ごすことが多いと聞きます。
そしてなんと言っても「生活習慣」です。適度な運動、そして様様な食材から色色な栄養をバランスよく摂り、自分に合ったエネルギー量を保つこと。つまり「健康」的な生活が重大な病気を遠ざけることになります。
★ぶー!ポイント★
糖尿病治療のために食事や運動に意識を持ち、気をつけることは実は脳梗塞を遠ざけることにもなるのです。そして長い間続けていくことで健康的な生活を過ごすことができるようになります。
なお、脳卒中についてさらに詳しい情報を知りたい人は以下のサイトを参考に。
ー適材適食ー
小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。