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749食目「人工透析の人も安心!低カリウムのレタス栽培」沖縄タイムスより

「人工透析の人も安心!低カリウムのレタス栽培」沖縄タイムスより【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)

 

腎臓の機能が弱まってしまうと人工透析が必要になります。

人工透析(じんこうとうせき)

医療行為(区分:処置)のひとつで、腎臓の機能を人工的に代替することである。単に透析(とうせき、英語: Dialysis, ダイアライシス)とも呼ばれる。
腎不全を患った患者が尿毒症になるのを防止するには、外的な手段で血液の「老廃物除去」「電解質維持」「水分量維持」を行う必要がある。
日本は腎不全を解決する腎移植への認知が普及していないため、2017年11月現在で約32万人の透析患者がいる。

人工透析 - Wikipedia

糖尿病が悪化すると糖尿病が原因の糖尿病性腎症とうにょうびょうせいじんしょうになってしまう場合があります。

糖尿病性腎症

糖尿病の合併症で腎臓の機能が低下した症状。
腎臓は左右に一対あり、血液を濾過して老廃物を尿として排泄しながら、体内の水分量や電解質バランス・血圧などを調節している臓器です。

糖尿病で高血糖の状態が長く持続すると、組織のたんぱく質に血液中のブドウ糖が結合した物質が増えて、全身の小さな血管を傷めつけ血管が詰まったり破れたりします(糖尿病性細小血管症)。腎臓の濾過装置である糸球体は細い血管が多いのでこれが起こりやすく、その結果腎機能が低下したものを糖尿病性腎症と呼んでいます。

糖尿病性腎症の初期はほとんど自覚症状がありません。進行するとむくみ・貧血・高血圧などを伴い、最後は人工透析が必要になります。人工透析の原因疾患の第1位が糖尿病性腎症で、糖尿病の増加に歯止めがかからないわが国では毎年1万人以上の患者さんが人工透析を始めるに至っています。

糖尿病性腎症の早期発見には、簡単な尿検査ですむ微量アルブミン尿検査が有効ですので、糖尿病の患者さんは血糖値の良好なコントロールを心がけるとともに、定期的に検査を受けて腎機能を確認しておくことが大切です。

糖尿病性腎症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

糖尿病の治療で食事療法があります。その中で野菜を食べましょうとカウンセリングします。私のブログでも野菜について特にお話してきました。

ところが、糖尿病性腎症がある場合、野菜の摂取には注意が必要になります。そこには多くの野菜に含まれているカリウムが関係しています。

カリウム

摂取と健康
経口摂取の場合、吸収は比較的緩やかである。また、吸収後は細胞へ速やかに取り込まれることや、過剰分が腎臓のK+調節機能により排泄されることなどから、細胞外液中濃度は低レベルに維持される。1981年にモネル・ケミカル・センシズ・センターが発表したアルカリ金属のハロゲン化物に対する味覚調査によると、臭化カリウムおよび塩化カリウムの溶液に対する味覚は、濃度が希薄な状態では苦味が強いが、濃くなるほど苦味が弱まって塩味が強くなる傾向が示された。

カリウム - Wikipedia

カリウムは血圧を下げる働きがある一方で、腎臓で処理されるため、糖尿病性腎症がある場合は、余計に腎臓に負担をかけてしまうことになりかねないため、カリウムの摂取量には気をつける必要があります。

しかし、野菜にはカリウムだけが入っているわけではなく、ビタミン類や各種ミネラルも豊富に含まれています。

できればカリウムを抑えつつ、他の栄養素だけはしっかり摂りたい。そんな野菜を沖縄で作っているそうです。

 

 沖縄市で葉野菜を栽培するLKファームの仲宗根工(たくみ)代表(36)は「低カリウム野菜」の栽培に力を入れている。カリウムの摂取制限がある人工透析患者など、腎機能が低下している患者が対象。通常のフリルレタスに比べ、含有量を約6割カットした。当事者の間で低カリウム野菜の認知度はまだ低く、PR力が鍵を握る。店頭のポップ展示や広告、関係団体との連携で、認知度向上を目指す。(政経部・津波愛乃)

www.okinawatimes.co.jp

記事にもあるように、野菜に含まれているカリウムは水に溶け出しやすい性質を持っているので、30分以上水にさらすことでカリウムを減らすことができます。しかし、こちらのレタスは通常に比べ60%カリウムがカットされた低カリウムレタスを生産しているそうです。

 

ちなみに。

この記事のタイトル「人工透析の人も安心!」ですが、正確には「糖尿病腎症の人も安心!」になるかと思います。人工透析になると、多くの場合それまで厳格に行っていたカリウム制限が緩やかになる場合もあります。逆に言えば、腎症のある人はカリウムに対してしっかり管理しないといけない、ということになります。カリウムが少ない野菜はそういう意味で、調理も管理も楽になる、という見方がよいと思います。

ただひとつ言えることは、糖尿病腎症にしても、人工透析にしても、また糖尿病にしても、病態はひとそれぞれです。専門の医療機関で検査し、専門医にしっかり診てもらった上で、その人の状態、病態に合わせた治療、食事療法が必要ですので、気になる人は必ず医師、管理栄養士に確認してみてください。

 

 

★ちゅー!ポイント★

たとえ腎症があっても野菜を食べたい、野菜を楽しみたいというキモチは消すことができません。人工透析患者でも楽しめる野菜、素晴らしいです! 

 

 

ー 適 材 適 食 てきざいてきしょく

小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級

【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級)

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*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。