毎月季節の野菜を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役菜」。
私は健康なカラダづくりに役立つ野菜を【役菜やくさい】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える野菜たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。2月の役菜はコマツナです。
どちらがコマツナ?どちらがホウレンソウ?
さて、クイズです。以下の画像でどちらがコマツナでどちらがホウレンソウでしょう。右は?左は?
正解は、左がコマツナ、右がホウレンソウです。
ホウレンソウ
ホウレンソウ(菠薐草、学名:Spinacia oleracea)は、ヒユ科アカザ亜科ホウレンソウ属の野菜。雌雄異株。ほうれん草とも表記される。高温下では生殖生長に傾きやすくなるため、冷涼な地域もしくは冷涼な季節に栽培されることが多い。冷え込むと軟らかくなり、味がよりよくなる。
コマツナ
コマツナ(小松菜、学名Brassica rapa var. perviridis)とは、アブラナ科に属する野菜の1種である。冬菜(フユナ)、鶯菜(ウグイスナ)とも呼ばれる。また、コマツナも含めてアブラナ科の野菜が咲かせる黄色い花全般を菜の花と言う。
分類で言うと、
- ナデシコ目>ヒユ科>アカザ亜目>ホウレンソウ属>ホウレンソウ
- フウチョウソウ目>アブラナ科>アブラナ属>ラパ>変種:コマツナ
と書かれていますね。全く違う種類の植物だと判ります。
コマツナとホウレンソウ。似ているけど、違います。
この時期コマツナと同時に旬を迎えるホウレンソウ。どちらも緑黄色野菜で見た目が似ています。栄養成分も似ていますが含まれる量が違います。コマツナは特にカルシウムと鉄が豊富です。
コマツナの主な「役菜」栄養成分
カルシウム 骨を丈夫にする、高血圧抑制、骨粗しょう症予防
鉄 貧血防止
β―カロテン 抗酸化作用、免疫力強化
カリウム 体内水分調節、高血圧抑制、筋肉の正常化
ビタミンC 抗酸化作用
カルシウム(骨を丈夫にする、高血圧抑制、骨粗しょう症予防)
カルシウムと言えば骨。だけではありません。細胞膜を安定させたり、DNAに関わったりと大事な栄養素です。カルシウムは便や尿で排泄されてしまうため1日に成人男性で650~800mg、成人女性で650mg摂取することが望ましいとされています。コマツナ100gあたりカルシウムが170mg含まれているとされています。ちなみにコマツナにはホウレンソウのなんと5倍のカルシウムが含まれています。
鉄(貧血防止)
赤血球は鉄を使って全身に酸素を運んでいます。だから鉄が不足すると貧血になってしまいます。特に成長期には大事な栄養素です。1日に成人男性では7.0~7.5㎎、成人女性なら10.5mg摂るべきとされています。コマツナ100gあたり2.8mgの鉄を含んでいます。
牛乳よりもたくさん。
100gあたりのカルシウムを比べてみると、牛乳が110mgなのに対しコマツナは170mg。野菜の中でも特にカルシウムを多く含んでいます。カルシウムは身体に吸収する時にビタミンDを一緒に摂ると、とても効果的です。鉄はビタミンCと一緒に摂ると効果的です。
アクが少ないのが特徴。
ホウレンソウにはシュウ酸という物質が含まれていて体内でカルシウムを取り込んでシュウ酸カルシウムに変化します。そのためアク抜きをします。コマツナはアクが少ないのでそのままでも食べられますが、気になる方は水につけておけば安心です。
霜が降りる頃が食べ頃。
冬場、多くの野菜は自分の水分が凍ってしまい細胞が壊れてしまうため寒さに弱いのですが、コマツナやホウレンソウは水分を減らし糖分濃度を高めて凍らないようにしています。だから霜が降りるような寒い日が続く頃のコマツナは柔らかく甘く美味しくなるのです。うれしいことにビタミンCの含有量も増えます。和洋中とどんな料理にも合うコマツナは冬場の貴重な葉物野菜です。
よいコマツナの選び方。
①鮮やかな緑色のもの
②茎が太く葉が肉厚で葉先まで元気で色が変わっていないもの
③葉が縮れていないもの
④30cmぐらいのもの
を選ぶようにしましょう。
コマツナの保存方法。
濡れた新聞紙で包んでポリ袋に入れて冷蔵庫に立てた状態で保存しましょう。調理の前に冷水につけてあげると、葉がしゃきっとします。傷みやすいので2日程度が目安。早めに使いましょう。
オリジナルレシピ
コマツナと言えばお浸し?今回はちょっと変わったコマツナの楽しみ方を2つ紹介します。どれもとても簡単ですぐに作れます。
小松菜っぱ焼きめし
桜エビとごま油の風味に小松菜のシャッキシャキ食感がマッチ。β―カロテンもしっかり摂れちゃいます。手軽にできるのでぜひ!
1食分あたり
エネルギー 335 kcal
たんぱく質 8.0 g
脂質 6.8 g
炭水化物 58.1 g
食物繊維 1.9 g
食塩 1.0 g
カルシウム 214mg
材料(2人分)
- ご飯・・・・・・・・150g×2
- ごま油・・・・・・・大さじ1
- 小松菜・・・・・・・160g
- 桜えび・・・・・・・8g
- 醤油・・・・・・・・小さじ2
- こしょう・・・・・・少々
作り方(調理時間:10分)
- 小松菜を細かく刻む。
- フライパンにごま油を入れ、小松菜、桜エビを炒める。
- 火が通ったら、ご飯を入れて炒める。醤油を加えこしょうで味を調えて完成。
小松菜と鮭のカルシウム煮
カルシウムが多いのが小松菜の特徴。カルシウムはビタミンDと一緒に摂ることが大事。今回はビタミンDの多い旬の鮭と一緒に煮てみました。
1食分あたり
エネルギー 101 kcal
たんぱく質 12.4 g
脂質 2.4 g
炭水化物 6.2 g
食物繊維 0.9 g
食塩 0.7 g
材料(4人分)
- 生鮭・・・・・・・・・・2切れ
- 片栗粉・・・・・・・・・大さじ1
- 小松菜・・・・・・・・・150g
- しいたけ・・・・・・・・2枚
- だし汁・・・・・・・・・100cc
- 酒・・・・・・・・・・・大さじ1
- しょうゆ・・・・・・・・大さじ1
- みりん・・・・・・・・・大さじ1
作り方(調理時間10分)
- 鮭は一口大に切り片栗粉をまぶす。
- 小松菜は4cmほど、シイタケは薄切り切る。
- 鍋にだし汁を温め、片栗粉をまぶした鮭を入れ、酒、しょうゆ、みりんを加える。
- 鮭に火が通ってきたら小松菜としいたけを加え、火が通ったら完成。
コマツナと鮭のカルシウム煮は動画で説明しています。コマツナとダイコンの栄養などについても解説しています↑クリックしてお楽しみください。
★ちゅー!ポイント★
いかがでしたか?コマツナ。最後にコマツナの由来について。
小松菜は、江戸時代、武蔵国葛飾郡小松川村(現在の東京都江戸川区小松川付近)で多く栽培されたことにちなむとされる。徳川綱吉(吉宗の説もあり)に献上された際、この地名から「小松菜」と名付けられたともいわれるが定かではない。小松菜の別名「鶯菜」は、3~4月に出荷されるため「鶯の鳴く頃の菜」の意味。この季節の小松菜や水菜は、まだ若くて小さいことから、小さい菜の意味でもいう。小松菜のもうひとつの別名「冬菜」は、文字通り「冬の菜」の意味で、白菜など冬の食材として使われるものの多くは「冬菜」と呼ばれる。
さらに東京・江戸川区の公式サイトにも解説がありました。
なんと年間50億円以上も売上があるんですね!
コマツナ、ぜひ美味しいこの季節にお召し上がりください★
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。