毎月季節の野菜を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役菜」。
私は健康なカラダづくりに役立つ野菜を【役菜やくさい】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える野菜たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。7月の役菜はナスです。
「エッグプラント」
インド原産のナスは英語でEggplant(エッグプラント)、直訳するなら「タマゴ草」。確かに丸みを帯びたタマゴのような独特の形をしています。奈良時代の書物に「茄子」とその名が記されている程馴染み深い野菜の1つです。
ナス特有の「紫色」
「水分ばかりで栄養はない」と言われることの多いナス。実に90%以上が水分ですが、ビタミンBやビタミンC、食物繊維など少量ずつですがバランス良く含まれています。そしてナス特有のあの「紫色」はアントシアニンの色でポリフェノールの一種「ナスニン」です。
ナスの主な「役菜」栄養成分
ナスニン 抗酸化作用、老化防止、がん予防、コレステロール抑制
カリウム 体内水分調節、高血圧抑制、筋肉の正常化
ナスニン(抗酸化作用、老化防止、がん予防、コレステロール抑制)
ナスニンは体内に酸化した脂質や活性酸素が作られるのを抑える働き=「抗酸化作用」があり、細胞の老化やがん化の防止、コレステロール値を抑える働きが期待できます。特にナスの紫色の皮に多く含まれていて、水に溶けやすい性質です。
カリウム(体内水分調節、高血圧抑制、筋肉の正常化)
カリウムには腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑え、尿として排出する働きがあります。摂りすぎた塩分を体外へ排出してくれるので高血圧を改善してくれます。ナスだけでなく多くの野菜に含まれている成分です。
ナスは牛!?
お盆になるとキュウリとナスに割り箸を刺して動物に見立てたものを飾るところもあると思います。あれは精霊馬しょうりょううまというらしいですが、行きと帰り用で2つの動物を模しているのだそうです。先祖が帰ってくる時は一刻も早く帰ってきて欲しいので足の早い馬=キュウリ(精霊馬)を、帰る時は景色を楽しみながらのんびりとゆっくりと戻って欲しいので足の遅い牛=ナス(精霊牛)を用意するそうです。
ナスのアクは「悪」じゃない!?
ナスのアクはクロロゲン酸という成分で、ナスニンと同じポリフェノールの一種です。ナスを水にさらしてアクを抜くとアクのクロロゲン酸だけでなくナスニンや食物繊維など水に溶けやすい成分が全て水の中に逃げ出してしまいます。水にさらすなら5分程度に抑えましょう。それでも気になる場合は軽く塩を振ってみましょう。ナスの持つ抗酸化作用をしっかり頂くためには「油」を使った調理方法がオススメ。
低エネルギー。
100gで22kcalと、とても低エネルギーなのもナスの魅力です。夏の強い日射しでほてったカラダを冷やしてくれるとされる成分がたくさん入っているナスは暑い季節にぴったりの野菜です。
ナスの使い方。
水に溶けやすい成分が多く含まれているナスは油でコーティングするのがオススメ、ですがスポンジのように油を吸い込んでしまうのでカロリーを抑えるなら、切り口に塩を振りかけると水分が出てくるのでそれをペーパーで拭き取るとアクを減らすだけでなく油分の吸収率を抑えることができます。
オススメ調理法。
ナスを電子レンジでチン!すれば調理に使う油が少なくてすみます。ナスの表面にさっと軽く油を塗ってからチン!すれば鮮やかな紫色を保つこともできます。
よいナスの選び方。
①へたの切り口が新しく
②トゲが硬く③表面につやがあり
④傷のないもので
⑤皮が厚く
⑥鮮やかで深い紫色
⑦重さを感じるもの
を選びましょう。収穫から時間が経ったものは軽くなりふかふかした手触りになります。
ナスの保存方法。
表面の水分をしっかり拭き取って1つずつラップで巻いて保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れます。10日ほどを目安に使い切りましょう。水分の多いナスは寒さや乾燥に弱いので5度以下だと冷えすぎて低温障害を起こしやすいので注意です。
オリジナルレシピ
ナスは他の野菜では観られない独特の紫色、そして食べた時のあの柔らかい感じが特徴ですね。今回は新しいアイディアとしてのナスの楽しみ方を2つ紹介します。どれもとても簡単ですぐに作れます。
ナスニンとリコピンの真夏のマリネ
ナスに含まれるナスニンもトマトに含まれるリコピンもどちらも抗酸化作用があり動脈硬化を防いでくれます。見た目の紫と赤のコントラストも楽しく、口に入れるとレモンの風味でさわやかに食べられる一品です。
1食分あたり
エネルギー 94kcal
たんぱく質 1.7g
脂質 6.2g
炭水化物 9.1g
食物繊維 2.6g
食塩 0.3g
材料(2人分)
- ナス・・・・・・・・・・・1本
- トマト・・・・・・・・・・1個
- ニンニク・・・・・・・・・1片
- オリーブオイル・・・・・・大さじ1
- レモン・・・・・・・・・・大さじ1
- 食塩・・・・・・・・・・・0.6g
- ブラックペッパー・・・・・少々
- バジル・・・・・・・・・・適量
作り方(調理時間:10分)
- ラップでナスを包み、電子レンジ(600W)で2分程度加熱する。
- 火が通ったら、ラップを外して冷ます。
- トマトを2㎝の角切りに、冷めたナスを乱切りにする。
- にんにくをみじん切りにして、オリーブオイルを加え、電子レンジで2分加熱し、レモンと塩、好みでブラックペッパーを加える。
- ボウルに③を入れて、④で和えれば完成。バジルをトッピングする。
ひんやりナスの踊るカツオ節和え
レンチンしたナスを輪切りにして冷蔵庫へ。充分冷えたらささっとカツオ節をで和えてできあがり。ナスの水分がカラダに心地いいひんやりした一品です。冷蔵庫に入れずに温かいままでもオイシイですよ。
1食分あたり
エネルギー 49kcal
たんぱく質 3.0g
脂質 2.2g
炭水化物 4.9g
食物繊維 1.6g
食塩 0.6g
材料(2人分)
- ナス・・・・・・・・・・1本
- 削り節・・・・・・・・・5g
- めんつゆ(2倍濃縮)・・・大さじ1
- ごま油・・・・・・・・・小さじ1
作り方(調理時間:10分)
- ラップでナスを包み、電子レンジ(600W)で2分程度加熱する。
- 火が通ったら、ラップを外して冷ます。
- 冷めたナスを輪切りにする。
- ボウルにナスを入れ、削り節、めんつゆ、ごま油を加え和えれば完成。
★ちゅー!ポイント★
ナス料理と言えば漬物を思い浮かべる人も多いと思います。ナスの漬物は確かに美味しいのですがやはり気になるのは塩分。かなり多くの塩を使っているので、控えめに。私がオススメしたいのは焼きナス。旬の焼きナスは特に美味しいです★
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。