先日紹介した2020年度全国栄養士大会オンラインより備忘録として。
フレイル
『フレイル診療ガイド2018年版』(日本老年医学会/国立長寿医療研究セ ンター、2018)によると、「『加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下し た状態』を表す“frailty”の日本語訳として日本老年医学会が提唱した用語である。フレイル は、要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱 性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやす いハイリスク状態を意味する。」と定義されている。
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000205007.pdf
フレイルの予防と身体活動・栄養 〜筋トレとタンパク質摂取の重要性〜
■BMIが高くても低くてもフレイルの有症率が高い
=フレイル有症率が最も低いBMIは21.4〜25.7
★低体重・・・・・・・・18.5未満
標準・・・・・・・・・18.5以上 25.0未満 ←
肥満1度・・・・・・・25.0以上 30.0未満 ←
肥満2度・・・・・・・30.0以上 35.0未満
肥満3度・・・・・・・35.0以上 40.0未満
肥満4度・・・・・・・40.0以上
■歩数を増やすほど、フレイル有病率と負の関連。
1日の歩数を1000歩増やす
・4000歩以下・・・・26%
・4000歩以上・・・・15%
フレイルの有病率のオッズ比が負に関連する
★全く歩いていない人程効果が高い。
■フレイル有病率が最も低いエネルギー摂取量
・男性 2400〜2500 kcal
・女性 1900〜2000 kcal
★糖尿病などでエネルギー管理が必要な場合注意。
■口腔機能とも関連している。
唾液がしっかり出て噛める人の方がフレイルのリスク低い。
★噛む力も大事。
■フレイル予防
- BMIを保つこと(高すぎても低すぎてもダメ)
- しっかり歩く
- 食事に気を付けること
- 口腔機能を保つこと
■フレイルチェック(運動)
- 指輪っかテスト
- 片足立ち上がり
今よりも10分多く体を動かすことで、
生活習慣病やガン、ロコモ、認知症などのリスクを
少しずつ低下させることが可能。
■筋力アップ
「筋トレ」で筋肉を強化する
- スクワット:下肢の筋肉群全体を鍛えられる。転倒予防に効果的。
- 体 幹:姿勢保持に繋がる。肩こりや腰痛予防に効果的。
■フレイルチェック(栄養)
主食・主菜・副菜が揃った食事を摂る。
- タンパク質をしっかりとること
- 色々な種類の食品を食べる
- いつもの食事に一工夫
■必要なタンパク質(1日に60g)
- 豆腐、牛乳、ちくわ、卵は柔らかいので食べやすい。
- 安い、調理不要、献立を変更しなくて良いというメリット。
■フレイルチェック(口腔)
- お茶や汁物でむせることがあると要注意。
- お口の運動をすることも大事。
■フレイルチェック(社会)
- 1週間に1度も外出しない←要注意。
- 社会参加の機会が増えると運動・食事の目標も達成しやすくなる。
- 高齢者の孤独は認知症の発症リスクと関連がある。
- 今よりも10分社会とのつながりを心がける。
■タンパク質 摂取不足
- 若年女性:痩せすぎ→貧血や低体重児の増加
- 成人男性:肥満→肥満(メタボリックシンドローム)の増加
- 高齢者 :痩せすぎ→筋量と筋力の低下がフレイル・介護の一因になっている
■タンパク質を摂る意味
- タンパク質の摂取率の低いグループよりも高いグループの方が筋肉量の減少が抑えられた。
- 特にロイシンが筋肉を作るために重要。
- タンパク質摂取量は2000年以降減。現在平均70g/日。
- 若い女性はタンパク質摂取量が少なくなっている=プラス10g/日を目標に。
★ちゅー!ポイント★
フレイル・サルコペニア予防
筋トレをプラス10分 + タンパク質をプラス10g
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。