2020年9月28日月曜日、福岡・博多の櫛田神社では秋の風物詩『ぎなん落とし』が行われたそうです。
博多の街に本格的な秋の訪れを告げる櫛田神社の「ぎなん落とし」が、28日行われました。
博多の総鎮守・櫛田神社では神職7人が長さ約5メートルの竹竿を使い「夫婦ぎなん」の木に実ったギンナンを払い落としていきます。コツコツと音を立てながら実が落ちると、巫女たちが、箸を使って一つひとつ丁寧に拾っていきました。
樹齢300年以上とされる「夫婦ぎなん」は、雄木3本と雌木1本が寄り添うように生え、子孫繁栄や縁結びにご利益があるとされています。
今年は実が熟すのが早く、例年より1週間ほど早い収穫となり、量も、裏年にあたって半分以下だということです。
採れたギンナンは、神前へ供えられたあと、皮をむいて水で清めて乾燥させ、来年3月に行われる「ぎなん祭」で参拝者に配られます。
秋と言えばイチョウ。街路樹としてもよく見かけるイチョウの木はこの時期、緑から黄色へ衣替え。鮮やかな黄色い葉を見ると秋の訪れを感じますね。
私は北海道大学のキャンパスを想い出します。
2年前の11月頃、北海道を訪れたのですが、本当に見事でした。美しかったです★
あれ?でもなんで、木はイチョウなのに、実はギンナンって言うんでしょう。「イチョウの実」とは言わないですし「ギンナンの木」とも言わないですよね。
ということで、今回はイチョウとギンナンについてです。
まずはイチョウから。
イチョウは漢字で『銀杏』と書きます。なぜなのか調べてみると、
【イチョウの語源・由来】
葉がカモの水掻きに似ていることから、中国では「鴨脚」といわれ、「イチャオ」「ヤチャオ」「ヤーチャオ」「ヤーチャウ」などと発音された。
これが日本に入り、「イーチャウ」を経て「イチョウ」になった。
「銀杏」を唐音で「インチャウ」といい、「イキャウ」となって「イチョウ」になったとする説もあるが、説明の取り間違いによるものである。
歴史的仮名遣いは「いてふ」とされてきたが、これは葉の散るさまが蝶に似ていることから「寝たる蝶(いたるちょう)」の意味で「イチョウ」になったとする説や、「一葉(いちえふ)」を語源とする説が定説となっていたことによるもので、これらの説が否定された今日では「いちゃう」が歴史的仮名遣いとなっている。
葉っぱの形が鴨の脚に似ていることから「鴨脚」=中国語読みで「イチャオ」、それが日本語でイチョウになった、なるほどですね。確かにカモの脚ってイチョウの葉とそっくりですね。
ではギンナンはどうでしょう。面白いのは「イチョウ」でも「ギンナン」でも漢字変換すると「銀杏」と表示されます。
漢字の「銀杏」は実の形がアンズに似て殻が銀白であることに由来し、「公孫樹」は植樹した後、孫の代になって実が食べられるという意味によるもので、共に中国語から。
▼ギンナン(銀杏)
▼アンズ(杏)
こうして並べてみると、ギンナンとアンズってそっくりですね。文字も杏に銀が付いているし、なんだか納得しました。
ギンナンの栄養価はというと、
ギンナン(銀杏)
100 g あたり
カロリー・・・・・・・・・・・186 kcaL
脂質・・・・・・・・・・・・・1.7 g
飽和脂肪酸・・・・・・・・・0.1 g
多価不飽和脂肪酸・・・・・・0.4 g
一価不飽和脂肪酸・・・・・・0.3 g
ナトリウム・・・・・・・・・・1 mg
カリウム・・・・・・・・・・・700 mg
炭水化物・・・・・・・・・・・39 g
水溶性食物繊維・・・・・・・0.3 g
不溶性食物繊維・・・・・・・1.5 g
タンパク質・・・・・・・・・・4.7 g
ビタミンC・・・・・・・・・・ 23 mg
カルシウム・・・・・・・・・・5 mg
鉄・・・・・・・・・・・・・・1 mg
ビタミンB6・・・・・・・・・・ 0.1 mg
マグネシウム・・・・・・・・・53 mg
- デンプン
- カロテン
- ビタミンC
- マグネシウム
- リン
- 鉄
などが含まれていて栄養の種類が豊富な食材です。
ただしギンナンにはメチルビリドキシン(別名 ギンコトキシン)という成分が含まれています。このメチルビリドキシンは、体内のビタミンB6の作用を妨げる働きがあり、大量に摂取するとけいれんなどの中毒症状が起きることが知られています。特に小さな子どもは摂取を控える方がいいでしょう。
大人の場合,よほど大量の銀杏を食べないと中毒には至らないようですが,小児の場合は中毒を起こしやすく,7粒食べただけで中毒を起こしたという報告もあるので注意が必要です.
農研機構
色鮮やかで栄養豊富なギンナンですが、唯一の欠点、それはやっぱりあの「ニオイ」ですよね。イチョウの木から道の上に落ちるまではまだいいのですが、その後踏み潰そうものなら独特のあのニオイがあたりに充満してしまいます。
あのニオイの素はなんでしょう。
ニオイはギンナンの実の皮の部分から発しているそうです。主な成分はエナント酸と酪酸。聞き慣れない成分ですが、
エナント酸 (エナントさん、enanthic acid)
炭素数7のカルボン酸で、末端にカルボキシル基を持つ。IUPAC名はヘプタン酸 (heptanoic acid) である。腐敗物のような悪臭を持つ油状液体で、腐った油のにおいの成分の一部である。水には溶けにくいが、エタノールやエーテルには良く溶ける。消防法による第4類危険物 第3石油類に該当する[1]。
香料として使われるヘプタン酸エチルなどのエステルの合成に用いられる。銀杏では酪酸と並ぶ腐臭の主成分である。
タバコの添加物のひとつでもある。
腐ったニオイがする油のような液体のこと。
酪酸(らくさん、英: butyric acid)
IUPAC名ブタン酸 (英: butanoic acid) もしくはn-ブタン酸 (英: n-butyric acid) は、分子式 C4H8O2、示性式 CH3(CH2)2COOH の直鎖カルボン酸である。構造異性体にイソ酪酸 (CH3)2CHCOOH がある。哺乳類は極微量でも酪酸の臭いを探知することができ、イヌでは 10 ppb、ヒトでも 10 ppm まで感知することができる。
ヒトの皮脂から出てくる汗臭いニオイ。
この2つのニオイが混じってあの独特のニオイになっているそうです。
★ちゅー!ポイント★
こちらは佐賀の実家から届いたギンナンです。毎年秋の恒例行事となっています。こうして見るとピスタチオのように見えますねー。殻を割るとウグイス豆のような鮮やかな緑色が出てきて、火を通すと黄色くなるんですよねー。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。