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1234食目「落下星(らっかせい)氏の綴ったもの。」糖尿病で右目を失明、両足切断、腎不全となったひとりの男のブログ

「落下星(らっかせい)氏の綴ったもの。」糖尿病で右目を失明、両足切断、腎不全となったひとりの男のブログ【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

 

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まず最初に。

これから紹介する内容にはとてもショッキングなものが含まれています。タイトル通り糖尿病で右目を失明し、その後両足切断、そして腎不全となり、この世を去った人が綴ったリアルな話です。

もしこういう話が不快と感じる人、観たくない人はブラウザバックをしてください。

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 50代に糖尿病で亡くなった男が残す痛切な筆録
「落下星の部屋」が20年以上も続いている理由


故人が残したブログやSNSページ。生前に残された最後の投稿に遺族や知人、ファンが“墓参り”して何年も追悼する。なかには数万件のコメントが書き込まれている例もある。ただ、残された側からすると、故人のサイトは戸惑いの対象になることもある。
故人のサイトとどう向き合うのが正解なのか? 簡単には答えが出せない問題だが、先人の事例から何かをつかむことはできるだろう。具体的な事例を紹介しながら追っていく連載の第8回。

 

糖尿病による体の異変を緻密に描写


蒸し暑い1日が終わり、帰宅してすぐに入浴し、食事を取りました。
テレビではナイター中継をやっていました。
(中略)
3缶目から4缶目に移ったときです。プルトップを開けてテレビに目をもどしたら、
「なにかおかしい。」
「そうだ。ボールが見がたい。」
変だぞと思って室内を見回しても、いつもと変わりないオレの部屋。でも、なにかかおかしい。物が見がたい。
ふと蛍光灯を見上げると、なんとなく赤っぽい。
訳がわからず、とりあえず手のひらで片目づつおおってみると、あらら、左目は正常なのに右目だけにするとまっかに染まった室内。2~3回確認してからドクターの言葉を思い出したのです。
「そうか・・・。これが眼底出血かぁ・・・。」
(落下星の部屋 「片目失明」より)
※改行と小見出しのカット以外、文章は原文ママ。以下同

 

 

「落下星の部屋」というサイトがある。糖尿病により右目を失明し、両足を切断、腎不全となった、落下星(らっかせい)さんのホームページだ。1999年12月にスタートして以来、ドメインを変えながら現在まで公開されている。
緻密な描写がなされた回想文は読む者を強い力で引き寄せて追体験させる。落下星さんはサイト開設の3年後に亡くなったが、残されたテキストの引力は衰えず、糖尿病の恐ろしさを伝えるコンテンツとして今日にいたるまで知る人ぞ知る存在となっている。

落下星さんはどんな思いを込めてこのサイトを作り、そして残していったのだろう? サイトにあるコンテンツやアーカイブの断片を読み込んでいくと、その意図が浮かび上がってくる。

「落下星」はパソコン通信時代から愛用しているハンドルネームだ。地元の名産品である落花生と、若い頃から親しんできた天体観測で見かける流れ星(落下してくる星)をかけてつけた。1950年に生まれてからずっと千葉県を拠点に暮らし、健康だった頃はプラネタリウムで働き、解説員として天体の魅力を市民に伝えていた時期もある。いわば人生そのものを表した名前だ。

50代に糖尿病で亡くなった男が残す痛切な筆録 | ネットで故人の声を聴け | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

記事の冒頭部分のみ引用しました。記事はまだ続きます、気になる人は以下のサイトからどうぞ↓

toyokeizai.net

 

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記事の主人公「落下星」氏のサイトは以下にあります。

rakkasei.syogyoumujou.com

記事中にもあるように、落下星氏は2002年の年末にこの世を去っています。

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そしてこんな記事もあります、偽栄養士「落下星の食事療法」です。以下転載します。(原文のままですが読みやすいように一部加工してあります)

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【偽栄養士「落下星」の食事療法1入門偏】

 

まずは、1月位の期間をかけて、体を食事療法に慣らすことから始めます。

1)「甘いもの」「あぶらもの」はどちらかを1日1回以下にする。

→100gあたりのカロリーが高いのは「油」と「砂糖」ですから、これを最小限におさえます。ガムや飴などとは永久にお別れです。

2)糖分の入った「飲み物」はやめる。

もちろんアルコール飲料はあきらめます。日本茶や牛乳・野菜ジュースだけでも、のどの乾きは癒されます。

3)サラダにはドレッシングやマヨネーズを使わない。レモン汁でいただきます。

どうしても味気ないと感じたらノンオイルドレッシングにする。

4)おやつは厳禁

5)こんにゃくを刺身状に切り、味つけなしで茹でて保存しておく。これを食事の増量材として使用します。夜食にもなります。

→ノンオイルドレッシングやレモン汁でサラダ風にしてどうぞ。

食事療法は一生続けるものです。

血糖値などはすぐにデータに現れますが、本当の食事療法の効果が現れるのは数ケ月後になります。治療と言うより、体質改善と思って、気長に取り組みます。純和食を中心とした食生活をイメージすると、比較的に楽にできます。食事療法は糖尿病だけなら比較的に簡単ですが、合併症が現れると規制を受ける食品が増えてきますから大変です。早いうちに糖尿食に慣れてしまうことですよ。(^_^)

☆食事療法=1-落下星の部屋-

 

 
偽栄養士「落下星」の食事療法2初心者偏】

カロリーの勉強をしないと正しい食事療法はできません。栄養士に相談すると、「食品交換表」とか言う本をすすめられます。これは様々な食品を1単位80Kcalとすることを基本にしています。この「単位」は、さまざまな糖尿病の調理本で使われているので一般的には大変便利です。それから、外食を多く利用するなら、ファミレスやコンビニの弁当のカロリーまで掲載されている本もあります。
たたし、糖尿病だけの時はこれで良いのですが、たとえばわたしのように腎臓病が合併病として現れると、こんどは腎臓病用の交換表をすすめられます。これが、なんと糖尿用と矛盾しているんです。(^_^;)どちらを信じて良いのやら、とほうにくれてしまいます。ドクターの話では「糖尿よりも腎臓のほうが重大なので、腎臓病用をつかうように」とのことです。(腎臓病ではカロリー意外にタンパク質・塩分・カリウム・リンなどさまざまな制限が加わるからです)

これが大変なもので、一度覚えた「単位」を覚えなおすのは、かなり難しいもの。そこで、これから食事療法を始めようと言う人には、私は「食品分析表」を利用するようにおすすめします。分析表は辞書みたいなもので、最初は抵抗を感じますが、食品100gあたりのカロリー・水分・タンパク質・脂質・炭水化物・無機質(カルシウムや鉄分など)・ビタミン類などが記載されており、どんな合併症がでても応用がききます。

分析表と台所用のはかりがあれば、(使いこなせれば)かなり自由に食事を作ることができます。分析表や台所用のはかりはそれほど高価なものではありませんから、そろえておくと良いでしょう。血糖値は検査日の前日の食事でごまかしがききますがHbA1Cはごまかしがききません。

HbA1Cに関しては糖尿病患者の一般常識みたいなもんでしょうから説明させていただきます。正式名称はグリコ,ヘモグロビン,エーワンシーといいます。病院と云うところは隠語や略語が多いところでグリコとかエーワンシーとか表現する場合もあります。GHbA1cはこの略です,つまりHbA1Cと同じものです。1ヶ月から3ヶ月間の血糖コントロールの指標に使います。

正常値は5.5%までの医療機関が多いようですが糖尿病の患者さんはこれとは別に医師が患者ごとに管理値を設定しているはずです。むやみに正常値に振り回されないようにして下さい。正常値と管理値は別物ですから自分の管理値を主治医によく聞いて下さいね。低ければいいと云うものでもありませんから。2,3日前から食事を減らして血糖値を下げる人がいますがHbA1Cをみれば管理状態はまるわかりです。

☆食事療法=2-落下星の部屋-

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糖尿病治療に関わっているもののひとりとして、落下星氏の書いている内容は大きく間違っているとは思えませんでした。

最後に落下星氏自身が書いているように、誰もが同じ値を目指しているのではなく、ひとりひとり違った目標があり、その目標に向かうための治療方法も当然違ってきます。だから落下星氏の提案が全ての糖尿病のある人に当てはまるとは言い切れないのですが、ただひとつ判ることは、落下星氏は糖尿病について、病態について、しっかりと学んでいた、ということです。少なくとも糖尿病についての知識はあった、ということです。

だからこそ、私には消しても消せない想いが浮かんできます、

ーーーなぜそこまでアルコールを?

ーーーわかっているのになぜ?

ーーー身体をそんなに痛めてまでなぜ?

という想いです。

そして、

私のこの想いは私が糖尿病について知っているからで、もし糖尿病についてよく知らない人達はどう思うのだろう、

という想いです。実際に私が落下星氏の記事について知ったのはSNSで話題に挙がっていたからです。ということは糖尿病を全く知らない人達も落下星氏の記事を目にしたのではないでしょうか。その人達はどう思ったのでしょうか。

 

 

落下星氏の記事を読み進めていくと、病態が悪化していく様子がとても詳細にとても明確に何も隠すことなく、そして明るく、時に笑いも入れながら、綴られています。

私は足が壊疽(「えそ」と読みます。腐ってくる事。)を起こす恐怖よりもアルコールの魅力の方が強かったので、食事は注意していたのですが、飲酒はやめられませんでした。(^_^;)
入浴したついでに、親指を見ると、つめの下の部分が真っ黒に変色しています。「うわあぁぁ~~~っ、やったなっ」それまでも毎日入浴はしていたのですが、目が悪いせいか、気が付かなかったのです。それでも、歩かないと痛みはありません。糖尿病から来る神経障害のせいです。本当に手後れになるまで痛みを感じないので困ったものです。
やっと入院したと思ったら、さっそく左足を膝下から切断することになりました。これで両足が義足となりなす。なんか、生きたままユウレイになる気持ちです。(だってユーレイには足が無い。あははは。)
ところで、やっぱり「酒」もやめられない。(^_^;)酒の悪い事は十分承知しているのだが、そして、この数年、なにか特別な日にしか酒を飲むことはなかったが、今日は飲みたくて我慢できなくなってしまった。言い訳すれば、いろいろ言えるだろうが、結局は意志が弱いだけなのだろう。ウイスキーを買って来てしまった。もう、やめられないだろうなぁ

そして

現代の医学では糖尿病はなおせません。

進行を遅らせるだけでせいいっぱいなのです。

厳しい言い方ですが、それが現実なのです。

これ以上悪くしないために、日々努力を重ねる覚悟でいないと……

私を「おろかなやつ」と笑って結構です。

でも、あなた自身は絶対に同じ道をたどらないと約束してください。

本当にお願いいたします。

と綴っています。

 

 

★モゥー!ポイント★

落下星氏の記事を紹介するか、正直迷いました。よく考えた末、紹介することにしました。 その理由として、彼が亡くなって10年後近くの今現在、私が落下星氏を知り、文章を読んで、そしてたくさんの想いが浮かんできた、からです。真意は分かりません、判りませんが、記録を残したことで、全く繋がりのない私に10年後に届きました。それに気づいたので、私も繋ごう!と思ったからです。 

 

ー 適 材 適 食 てきざいてきしょく

小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級

毎日更新!たべものブログ【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級)糖尿病・甲状腺専門クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

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*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。