トマトケチャップにマヨネーズ。どこの家庭にもある調味料、ですね。
とっても便利で美味しいのですが、量が少なくなると、出にくくなってきますよね。なんか底にへばりついた感じで、なかなか出てくれません。
なんでだと思います?
ーーーえ?べとつく感じ、ねばりっこいからじゃないの?
でも、実際に料理の上にかけたマヨネーズやトマトケチャップって口の中でネバネバしたりはしないですよね?
なんでだと思います?
調べたら答えがありました↓
完熟トマトを加熱してからろ過し、低温で煮詰めてから砂糖・塩・酢などを加えてできる「ケチャップ」は、ホットドッグやソーセージ、オムレツ、フライドポテトなどと相性抜群の調味料ですが、「容器の底に残る」という悪名高い欠陥が存在します。そんなケチャップの欠陥は「非ニュートン流体」という物理現象によって引き起こされているとして、大衆系科学誌Scientific Americanが解説しています。
例えばマーガリンは容器に入った状態では、逆さにしてもこぼれ落ちたりしません。その様子を見ると「固いのでは?」と思ってしまいますが、バターナイフを入れるとスッと刃が通り、ほとんど力を入れることなくすくい取れる柔らかい物質であることに気がつきます。
この現象は、マーガリンが「かける力によって粘度が変わる」という性質を有していることが原因です。マーガリンはかかる力が小さい場合には強力な粘度を持っていますが、かかる力が大きい場合には粘度が低くなります。流体力学では、与える力によって粘度のかわらない物を「ニュートン流体」、マーガリンのように加える力によって粘度が変わるものを「非ニュートン流体」と呼び、別個のものとして扱います。
ケチャップが容器の底に残るというのも、ケチャップに増粘剤と呼ばれるポリマーを添加して非ニュートン流体化していることが原因。ポリマーは複数の分子が結合して形成された高分子で、流体の中では絡み合って強い粘度を発揮しますが、強い力をかけると絡み合いがほどけて粘度が低下します。この性質が、非ニュートン流体状態を生み出しているとのこと。
ケチャップがわざわざ非ニュートン流体になるように設計されているのは、その用法と食感のため。力をかけていない状態で粘度が高いというのは、「食材にかけたときに溶けて落ちない」という用法を可能にし、力をかけた状態で粘度が低いというのは、「かむと口の中で溶け出す」という食感を生み出します。ケチャップは非ニュートン流体になるように設計されているため、ホットドッグなどにかけたときには手や衣服に溶けて流れ落ちず、口の中に入れて初めて溶け出すというわけです。
ケチャップ以外では、シャンプーも非ニュートン流体になるように設計されている日用品です。シャンプーが手のひらに落とした時点では粘度を保持し、髪にこすりつけると粘度を失って髪全体になじむというのは、非ニュートン流体の性質を利用しているため。このほかにも、歯磨き粉も同様です。
なお、現代のケチャップはプラスチック製の容器が主流ですが、かつてはガラス製の容器しか存在せず、よりたくさんの量が底にこびりついていました。現代のプラスチック製容器について、Scientific Americanは「取り扱いが便利になったものの、ソースをボトルから取り出す際のスポーツ性とキレイに取り出せたときの快感は失われてしまいました」とコメントしています。
ニュートンなんて誰もが知っている有名人の名前がついた物理的現象だったのですね!
★モゥー!ポイント★
ニュートンと言えば「リンゴ」。木から落ちるリンゴを観て万有引力を発見した!なんて言われています。リンゴもトマトも紅い色をしています。まさか21世紀に自分の名前の入った物理法則を利用した商品が一般にこれだけ普及するなんてさすがの天才ニュートンも想像できなかったことでしょう。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。