2021年10月20日水曜日、「Teijin DPP-4i Family Web Seminar」にて二田哲博クリニック姪浜院長下野と共に講演させて頂きました。
今回もウェブによるネット配信での講演会となりました。
今回の講演のサブタイトルは「Clinical Inertia & Reverse Clinical Inertia〜日本人2型糖尿病患者さんの克服を目指して〜」。
Clinical Inertia & Reverse Clinical Inertiaとは直訳すると「臨床慣性と逆臨床慣性」。Clinical Inertia=クリニカル イナーシャとは、患者が治療目標に達していないにも関わらず、適切.な治療が行われていない状態のことを指す言葉なんだそうです。
私は「Adaptation(適応)〜生活習慣は変わりつつある。食事療法は変えなくていいの?〜」をタイトルにコロナ禍による患者の生活環境・習慣の変化について当院独自の調査をもとにお話させて頂きました。
二田哲博クリニック姪浜院長 下野は「糖尿病の薬物療法を再考する」をテーマに講演させて頂きました。
講演中にお寄せ頂いた質問を記載します。
ーーー新型コロナウイルス感染症流行による食事の変化を感じますか?
講演内で調査結果をご覧頂きましたが、新型コロナウイルス感染症の流行以前と比べて食事療法を「頑張る人」と「乱れた人」がハッキリ二分化したというのが私の印象です。具体的に
頑張る人:食事を見直し改善していきたいが、余裕や時間がないと日頃から感じていた人や、仕事の付き合いでの飲食が多かった人は、新型コロナ流行による外出自粛等で時間的余裕が出てきたため、食事内容を見直す傾向があるようです。
乱れた人:一方で、体力をつけるためにいつもよりもしっかり食べておいた方が良いだろうと思っている人、外出自粛しているストレスで食べる人、流行のお菓子作りをしてみようと思っていた人は食事が乱れる傾向にあるように感じます。
運動に対しても同様で、自宅で仕事をする人が増えたことによる「通勤時間での活動量の低下」があります。そのような環境の中で「通勤で歩けないので仕方ない。通勤時間分はゆっくり寝れる」と考えるなのか「通勤時間はこれまで通り身体を使った運動の時間にしよう」と考えるのかでその行動は違ってきているようです。
ーーー食事カウンセリングを通して患者さんとしっかりとコミュニケーションをとっている印象だが、管理栄養士がいない施設や十分にフォローできない施設でもできる簡単アドバイスを教えてほしい。
2つ、ご紹介します。
まずひとつめは「毎食」という言葉を使ってみること。「野菜を食べましょう」や「タンパク質をとりましょう」と言われたときに、ほとんどの患者は「夕食」をイメージするようです。医療者側としては「野菜を食べましょう」というのは「毎食」を意味しているのですが、患者側が「夕食で野菜を食べている」ので大丈夫と思い込んでいるケースは数多いです。食事療法でもいろいろなポイントがあると思いますが「毎食」ということを意識してアドバイスしてみてください。
ふたつめは「食事運動カレンダー」です。患者の生活の申告が曖昧だったり、状況を聞き取るのに時間がかかったりする場合に有効だと思います。設定した目標に関しては、前回受診日から今回受診日までの患者の様子が一目瞭然です。食事や運動に限らず、服薬状況が不明な場合にも活用できるのではないでしょうか。また、特定の曜日に実施できていない、受診直前に頑張るなど患者の傾向もつかめることが多いです。目標設定次第、使い方次第で幅広いカウンセリングを可能にするツールだと思います。
★モゥー!ポイント★
最後になりましたが、
本日参加頂いた医療従事者のみなさま、講演会のスタッフのみなさまに心から深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。