今週のお題「おとなになったら」
毎月季節の果物を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役果」。
私は健康なカラダづくりに役立つ果物を【役果やくか】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える果物が持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。5月の役果はグレープフルーツです。
グレープフルーツ
グレープフルーツの旬は4月〜5月の間。春先に出回るのはアメリカ産、初夏に出回るのが南アフリカ産。
グレープフルーツ(学名:Citrus x paradisi、英: grapefruit)
ミカン科(APG分類のミカン科)の中高木。あるいはその果実。別名ポメロ(pomelo)。またトローニャ(toronja)やパンプルムース(pamplemousse)と呼ばれることもある。柑橘類としては大きめの果実で、果肉の色からルビー、ホワイト、ピンクの種類があり、食味は甘味と酸味とほのかな苦味がある。
国産はたった1%
グレープフルーツってそれほどめずらしくはないですよね?よく見かけるグレープフルーツってその99%が輸入されたものなんです。
日本とグレープフルーツ
亜熱帯地域原産の植物であるため、生育には高温が必要で、日本では限られた地域でしか収穫できない。99%以上が輸入グレープフルーツ
日本で流通するグレープフルーツは、99%以上が世界各地から輸入されたもので、その7割近くをアメリカ産が占めている。
2004年の輸入量(ポメロを含む)は約28万9000トン、2018年の輸入量は約7万2000トンだった。その15年ほどでおよそ1/4に減少した。日本人全体のグレープフルーツ消費量が減少傾向にあるが、特に若者では顕著で、グレープフルーツを一度も食べたことがないという若者もいる。
なお果実の輸入品には品質維持と腐敗防止のために収穫後に農薬(殺菌剤)が塗布されている。これをポストハーベストと呼ぶ(日本の法律では食品添加物扱い)。わずかな量の国内産グレープフルーツ
国内生産されている「限られた地域」とは静岡県(浜松市)のことであり、2018年(平成30年)の静岡県のグレープフルーツの栽培面積がわずか1.1ヘクタールで、収穫量わずか 23.3トン、出荷量 わずか18.6トン(※)なのだが(※「万トン」ではない、ただの「トン」である)、この静岡県のわずかな生産が国内生産のほぼ100%を占める。
亜熱帯というぐらいで年間を通じて暑い場所、確かに日本ではなかなかありません。ではわずか1%のグレープフルーツはどこで生産されているのかというと、
|県名 |出荷量 |全国割合
1位|静岡県 |18.6トン| 70%
2位|熊本県 | 7.8トン| 30%
なんと静岡県・熊本県の2県だけ、なんだそうです。しかも静岡県は全体の70%を生産!とは言っても単位は「トン」なので、20トントラック以下という本当に僅かな量しか生産していない、正確にはできないのかも知れません。
なんでグレープフルーツ?
誰もがグレープ?ぶどう?なのにわざわざフルーツ?ってその名前の由来を考えたことがあると思います。
グレープフルーツの名前の由来
店頭に並べられているグレープフルーツを見ても、一体どこにぶどう(グレープ)らしさがあるのかはよく分かりません。この名前は「木に果実がなるときの様子」に由来するものだといわれているからです。
というのも、グレープフルーツには1つの枝に果実がいくつもできるという特徴が。たくさん実る様子がぶどうの房に似ているから、“グレープ”フルーツというわけです。特に、果実の重みのせいか、枝が下方向に垂れ下がっていると、果実が縦方向に連なり、よりぶどうの房らしく見えるようです。
ということで、まずはブドウの様子を見てみましょう↓
ブドウが木になっているシーンは見たことある人も多いと思います。では、グレープフルーツはというと、
という感じなんだそうです。完全にブドウのように房状かと思ったら、どちらかというと、同じ場所にいっぱい実がなるって感じのようです。でもブドウの実って一粒一粒は指でつまめるほど小さいですがグレープフルーツの実は小さくてもゲンコツ大はあるから、迫力はグレープフルーツの方が断然ありますねー。
グレープフルーツの種類
グレープフルーツの種類と言えば、ホワイトとルビーが有名ですよね。
ホワイト・マーシュ
グレープフルーツの中でも一番多く流通しており、皮が黄色く果肉は白黄色をしています。果汁が多く、さわやかな甘酸っぱさがあります。他の種類と比べると、やや酸味やほろ苦さを感じます。ルビー/ピンク・マーシュ
いわゆる「ピンクグレープフルーツ」と呼ばれる品種で、果肉が赤みがかったピンク色をしていることからルビーという名前がつきました。外見はホワイト・マーシュと同じ黄色からややオレンジ色で、現在輸入されるグレープフルーツの半分がルビーであると言われています。ホワイト・マーシュよりも酸味がまろやかで甘みも楽しめます。果肉が薄いピンク色の「ピンクマーシュ(トムソン)」という品種もありますが、こちらは生産数が少なくあまり出回りません。スタールビー
皮はピンク色で、果肉はルビーよりもさらに濃い赤色をしています。この鮮やかな赤色は、β-カロテンやトマトなどに含まれるリコピンによるものです。こちらもホワイト・マーシュと比べると、ほろ苦さや酸味は控えめで甘みがやや強いのが特徴です。グレープフルーツの栄養や効果は?種類やおいしい食べ方についてもご紹介|マイナビ農業
ホワイトと呼んでいたのは「マーシュ」。
ルビーと呼んでいたものには2種類あって、オレンジ色が「ルビーレッド」、より赤色が強いのが「スタールビー」って言うようです。
グレープフルーツの栄養
グレープフルーツの栄養
【グレープフルーツ(可食部100gあたり)】
- エネルギー・・・・・・・・・38 kcaL
- たんぱく質・・・・・・・・・0.9g
- 炭水化物・・・・・・・・・・9.6g
- カリウム・・・・・・・・・・140㎎
- カルシウム・・・・・・・・・15mg
- リン・・・・・・・・・・・・17㎎
- ビタミンB1・・・・・・・・・0.07㎎
- ビタミンB2・・・・・・・・・0.03㎎
- ナイアシン・・・・・・・・・0.3㎎
- ビタミンB6・・・・・・・・・0.04㎎
- ビタミンC・・・・・・・・・・36㎎
- 食物繊維総量・・・・・・・・・0.6g
美肌作りに欠かせない!ビタミンC
グレープフルーツにはビタミンCが豊富で、1個食べるだけで1日に必要なビタミンCの約8割を摂取できるほどです。ビタミンCはコラーゲンの合成にかかわるビタミンで、ストレスから体を守る働きをします。活性酸素を消去する抗酸化作用があり、動脈硬化の予防にも効果があります。また、皮膚のシミやしわを防ぎ、傷や炎症の治りをよくする効果があります。さらに、粘膜を強くして健康に保つ効果があることから風邪予防の効果も期待できます。むくみの解消に!カリウム
カリウムは体の水分バランスを保ち、ナトリウムを排出して正常な血圧を保つ効果があり、高血圧予防に効果が期待できます。また、体内の余分な塩分を排出することからむくみの解消にも効果があります。疲労回復効果も!クエン酸
クエン酸はレモンなどの柑橘類や酢に含まれている酸味の成分です。「クエン酸回路」という体内でエネルギーを作り出すサイクルを活発にする働きがあるので、疲労回復に効果的です。また、殺菌効果や食欲増進効果も期待できます。リラックス効果が期待できる!リモネン
かんきつ類に含まれている爽やかな香りの成分である「リモネン」にはリラックス効果があり、アロマや香料にも使用されています。また、血行促進や免疫力を高める効果も期待できると言われています。アンチエイジング効果が期待できる!ポリフェノール
グレープフルーツには、ナリンギンというポリフェノールの一種が含まれています。独特の苦味のもとになっている成分で、強い抗酸化作用があり老化予防や生活習慣病予防にも効果が期待できます。また、食欲を抑える効果がありダイエット中の方にもおすすめです。さらに、血行をよくする効果やアレルギーを抑制する効果も期待できます。
さすが柑橘系の果物!身体が喜ぶ栄養素がたくさん含まれています。
グレープフルーツを食べる際の注意!
何だかグレープフルーツが食べたくなっちゃった人もたくさんいるかもしれません。でも、グレープフルーツを食べる際に注意しなければならないことがあります。
薬との相互作用
グレープフルーツの果肉に含まれるフラノクマリン類は、様々な医薬品と相互作用(干渉し、意図しない効果を生み出すこと)が、1990年に報告された。これは、薬物代謝酵素(解毒酵素)のシトクロムP450サブタイプ3A4 (CYP3A4) を阻害する作用によるものである。この作用を起こす成分は、グレープフルーツにも含まれるが、特にグレープフルーツジュースには高濃度で含まれる。特にカルシウム拮抗剤という系統の高血圧治療薬などで、グレープフルーツの影響を強く受ける薬があることがよく知られている。このほかにシクロスポリン、ベンゾジアゼピン系、風邪薬でも主作用、副作用ともに効果が効き過ぎてしまう。阻害様式は、不可逆的に阻害するために阻害作用は3-4日続き、グレープフルーツジュースの摂取自体を禁止(併用禁忌)する必要がある。85の薬と相互作用し、約半分では重篤な副作用を起こす可能性がある。
フラノクマリン類は他の柑橘類にも含まれるが、含有量はグレープフルーツでは品種、柑橘類の種類で異なる。
グレープフルーツと薬の飲み合わせ
薬と一緒にグレープフルーツを食べると薬の種類によっては、薬の効きを良くしすぎることや、効きを悪くしてしまう可能性があるので飲み合わせに注意が必要です。グレープフルーツに含まれているナリンギンは、高血圧の薬と一緒に摂取すると血圧が下がりすぎるなどの副作用を引き起こす可能性があります。薬を服用している方は医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
そうなんです。薬を飲んでいる場合、グレープフルーツを食べると薬の効果が出すぎたり、逆に効きが悪くなったりするのです。有名なのが「高血圧」を治療する薬。ほかにもたくさんありますので、薬を飲んでいる場合必ず医師や薬剤師に「グレープフルーツを食べても大丈夫か」と確認することをお勧めします。
★ぴょん!ポイント★
彩りも鮮やかで、独特の苦みと甘さが特徴的なグレープフルーツ。旬でさらに爽やかな味わいが増している今をお楽しみください!なお薬を使っている人は充分に気を付けてください。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。