
毎月季節の魚介を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役魚」。
私は健康なカラダづくりに役立つ海の幸・魚介類を【役魚やくぎょ】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える魚たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。3月の役魚はハマグリです。

ハマグリ
ハマグリの旬は2月から4月です。

ハマグリ(蛤、文蛤、蚌、浜栗、魽、鮚、Meretrix lusoria、英:Asiatic hard clam)
マルスダレガイ科に分類される二枚貝の1種である。食用として一般的な貝類の一つである。俳句文化においては春の季語の一つ。

ハマグリは意外と曖昧

標準和名の「ハマグリ」は、Meretrix lusoriaという単一の種を表す。ただし、この他にも様々な用法があるため、生物学や水産学関連の文書以外での「ハマグリ」「はまぐり」「蛤」などが何を指すのかが不明な場合も多く、注意が必要である。
古くは一般的な二枚貝類の総称として「ハマグリ」が使われた。和名構成の基幹ともなり、ベニハマグリ(バカガイ科)、ノミハマグリ(マルスダレガイ科ノミハマグリ属)など、「属」レベル・「科」レベルで異なる種に「○○ハマグリ」という標準和名が与えられることがある。
ハマグリ属の二枚貝はどれも外見が似ているため、水産市場や日常生活ではチョウセンハマグリやシナハマグリを含め、ハマグリと総称・混称される。実際、水産庁の「魚介類の名称のガイドラインについて」(平成19年7月)でも、ハマグリ属の総称として「ハマグリ」と呼んでもよいことになっている。また、ホンビノスガイ(一名・シロハマグリ)も「ハマグリ」と呼ぶことがある。なお、国内で流通するハマグリと呼ばれる貝は、事実上全部チョウセンハマグリまたはシナハマグリである。
和英辞典などでハマグリの訳語としてclamを当てるが(一例として)、clamはハマグリとイコールの概念ではない。和独辞典などでハマグリの訳語とされるVenusmuschelについても同様(Venusmuschelの訳語としてマルスダレガイを当てる独和辞典[10]もある)。
ハマグリのように二枚貝をざっくり「ハマグリ」と呼んでいたようで、それが今も一部続いている、ようです。

ハマグリという名前

名前の由来は、形が栗に似ていることから「浜栗」、また、浜の小石(グリと呼ぶ)のような貝との説があります。

確かにハマグリは栗の形に似ていますね。浜に落ちている栗でハマグリ。なるほど。

ハマグリの漢字に「虫」がいる理由
ハマグリは漢字で「蛤」。むしへんが入っています。なぜ「虫」なのでしょうか。

Q:さっそくですが「蛤、蜆、蛸、蝦、蟹、蛇、蜥蜴、蛙、蛞蝓(ハマグリ、シジミ、タコ、エビ、カニ、ヘビ、トカゲ、カエル、ナメクジ)」など、昆虫ではないのに“虫”偏がつきますが何故なんでしょう?
その紐を解くカギは、漢字ができた頃の人々の思考を知ることにあります。
“虫”と言う文字の原型は“マムシ”をかたどった文字だったようです。その原型は約3300年前にできました。虫偏がつく漢字が文献に多く現われるのは約2000年前のことですが、その頃は今のように生物の分類学は発展していませんでした。
当時の人は、人でなく、毛(獣)も無く、ヒレや鱗(魚)も無く、羽(鳥)も無い「よくわからないモノ」を“虫”と分類したようです。
その「よくわからないモノ」という事で、タコやカニ、ヘビやカエル、ナメクジやハマグリなども“虫”としたのです。
そう考えると何故“虫”偏が付いているのか理解できますよね。
爬虫類(はちゅうるい)の「爬虫」は、「地面を引っかくように這って進む虫」と表した名残だと考えられます。
ちなみに、当時「虫」は「マムシ」のみを指し、「むし」という概念を表す時は“虫”を三つ書き、「蟲」と表記していたようです。集団でうごめく様を表しているようです。先程お話した「マムシ」をかたどった「虫」は「キ」と読む別の漢字でした。後に「虫」と「蟲」とが混同されていきます。
よくわからないもの、だから「虫」。だいぶ乱暴ですね。

ハマグリの漢字に「合」の文字が入っている理由
むしへんは判りましたが「合」の字はなぜでしょうか?

ハマグリは二枚の対になっている貝殻でないと「合わない」ため今の蛤という漢字になりました。
https://www.educe-shokuiku.jp/news/food/縁起物で有名な蛤!でもそれだけじゃない!?蛤/
どのハマグリもパッと見どれも同じに見えますが、しっかり合わせようとすると一組しか見つからない、だから「合」。なるほどです。

ハマグリの貝合わせの遊び

ハマグリが蛤だから
貝合わせの遊び
ハマグリは、雛祭りでも「貝合わせの遊び」に使われることで知られています。対の貝殻としかぴったり合わないことから、夫婦和合や良縁を象徴するため、縁起物として扱われてきました。結ばれる
婚礼の席でも二枚貝が「唯一無二の存在として結ばれる」ことを象徴し、新郎新婦の調和や夫婦の誠実さを祈る意味が込められています。古くからハマグリは海の恵みを象徴し、夫婦の末永い繁栄を願う食材ともされています。吸い物として提供することで、清らかで純粋な夫婦生活への祈りも表現してきたようです。
貝合わせは何だか雅な遊びな感じがしますし、ぴったり合うという意味では婚礼にそれこそぴったり合いますね。

ハマグリが大きくなると伝説になる!?
そんな縁起物のハマグリですが、大きくなると伝説になるそうですよ。
蜃(しん)とは、蜃気楼を作り出すといわれる伝説の生物。古代の中国と日本で伝承されており、竜の類とする説とその傍らに巨大なハマグリとする説がある。蜃気楼の名は「蜃(みずち)」が「気」を吐いて「楼」閣を出現させると考えられたことに由来する。霊獣の類とされることもある。
なお漢字の「蜃」は、音を表す「辰」と意味を示す「虫」とを組み合わせた形声文字で、ハマグリを意味する単語を表記するために作られた。
巨大なハマグリを「蜃(しん)」と呼び、伝説の生物、なんだそうです。

ハマグリの名のついた事件!?
ハマグリの名の付いた有名な歴史的な事件があります。ちょうどつい最近現地へ行く機会があったので見てきました↓

歴史上有名な「蛤御門の変」は、幕末に長州藩が薩摩・会津藩の連合軍と戦って敗れた戦のことですが、これは、宝永の大火で京都御所が炎上した際、それまで堅く閉じられていた新在家御門が、この時ばかりは開門されたことから、庶民に「焼けて口開く蛤御門」と呼ばれ、以降は蛤御門となったことに由来します。
禁門の変(きんもんのへん)
元治元年7月19日(1864年8月20日)に、京都で起きた武力衝突事件。蛤御門の変(はまぐりごもんのへん)、元治の変(げんじのへん)とも呼ばれる。
前年の八月十八日の政変により京都から追放されていた長州藩勢力が、会津藩主で京都守護職の松平容保らの排除を目指して挙兵し、京都市中において市街戦を繰り広げた事件。畿内における大名勢力同士の交戦は大坂夏の陣(1615年)以来であり、京都市中も戦火により約3万戸が焼失するなど、太平の世を揺るがす大事件であった。
大砲も投入された激しい戦闘の結果、長州藩勢力は敗北し、尊王攘夷派は真木保臣ら急進的指導者の大半を失ったことで、その勢力を大きく後退させられることとなった。一方、長州掃討の主力を担った一橋慶喜・会津藩・桑名藩の協調により、その後の京都政局が主導されることとなった。

↑白い跡が当時の銃痕なんだそうです。詳しくはこちら↓

ハマグリは江戸時代の旅ガイドに載るご当地グルメだった!
「その手は桑名の焼き蛤」。江戸時代のガイド本『東海道中膝栗毛』や、食通で有名な小説家、池波正太郎の『鬼平舌つづみ』にも出てくる桑名のハマグリは、むかしから「その手は食わぬ」に引っ掛けた語呂合わせで使われています。
ちなみに「桑名」は伊勢です。

ハマグリの主な種類
ハマグリには主に3つの種類があるそうです。
(左:ハマグリ 中:チョウセンハマグリ 右:シナハマグリ 提供:熊本大学)
ハマグリは、マルスダレガイ科 ハマグリ属の二枚貝です。マルスダレガイ科 にはアサリも属しており、500~800種類の大きなグループです。
日本のハマグリは、有明海、伊勢湾、東京湾など波が静かな内海の砂浜に生息する「ハマグリ」と、九十九里浜のような波の荒い外海に面した砂浜に生息する「チョウセンハマグリ」がいます。どちらも古くから日本にいる在来種で、多くの貝殻が縄文時代の地層や貝塚から見つかっています。古来より、大事な栄養源として日本人はハマグリを食べていたのです。
チョウセンハマグリ
日本・台湾・朝鮮半島・中国の潮間帯から水深 20m程度の砂泥底に分布。近年のチョウセンハマグリの最大の産地は鹿島灘(千葉~茨城)であり、国産ハマグリの約8割を占める。
「チョウセンハマグリ」という名前だが「朝鮮」ではなく、日本の在来種である。漢字での表記は、『汀線蛤』となっている。汀線(ていせん)とは、海面または湖面と陸地との境界線のことをいう。
シナハマグリ
市場に流通しているほとんどの蛤(輸入蛤)がコレです。朝鮮半島、中国、ベトナム北部原産。内湾の砂泥干潟に生息する。シナハマグリ(支那蛤)は日本には本来分布していない環境省指定要注意外来生物なんです‼日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。乱獲や開発により減少した在来種のハマグリの代用として輸入され、一般的に種を区別することはなく、シナハマグリであっても『ハマグリ』の総称で表示されて販売されている。
はまぐり
貝新商店で提供させていただいているものがこの【はまぐり】です。市場に出回るハマグリの約5%~6%ほど。内湾の汽水域に生息し、柔らかく甘みがあり、最も美味なハマグリとして珍重される。古くから江戸前鮨の貴重なネタの一つでもあります。

ハマグリはゲームの高級な駒

碁石で白石の最高峰と呼ばれる石は、ハマグリの貝殻で作られています(普及品はプラスチック成型品)。碁石の原料にできるハマグリの貝殻は、なんと10歳以上の個体で、直径20cmに及ぶ大きなものが選ばれます。古くは三河湾、伊勢湾、日向灘が主産地でした。ちなみに黒石は、三重県熊野の石、那智黒石が最高峰とされています。こちらは貝ではなく、本当の石です。他にも白い石はあるはずですが、縞目や乳白色の美しさ、手馴れする重厚感などから、あえてハマグリの殻を使用しているそうです。
ちなみに高級碁石のサイト↓

ハマグリはグレる?!
不良なグレたの「グレ」の語源にハマグリはなっているそうです。

「素行が悪くなる、不良になる」という意味で使われる「グレる」は、ハマグリが由来です。ハマグリを逆さにした「ぐりはま」という言葉には「食い違う」「あてが外れる」の意味がありました。それがいつの間にか「ぐれ」と略され、さらに動詞化して「ぐれる」となったのです。江戸時代から使われている言い回しです。
ハマグリを入れ替えた「ぐりはま」から「ぐれる」になったそうです。しかも江戸時代からというのでグレるって歴史ある言葉?!なんですね。

ハマグリは一晩に12km移動する!?
なんとハマグリは結構移動するようです。

「ハマグリは一夜に三里はしる」。三里は約12キロで、東京駅からでは直線距離で葛飾区亀有駅あたりになります。実際にハマグリは引き潮時に、水管から粘液を出して潮の流れに乗り、1分間に約1メートルという速さで移動します。三里はおおげさでも、それだけ素早くハマグリが移動しているということです。
ハマグリって本当に1分に1メートル移動できるんですね!速い!

ハマグリの栄養

はまぐり 水煮 100 gあたり
水分・・・・・・・・・・・・・78.6 g
熱量・・・・・・・・・・・・・79 kcal
たんぱく質・・・・・・・・・・14.9 g
脂質・・・・・・・・・・・・・1.5 g
炭水化物・・・・・・・・・・・2.9 g
食塩相当量・・・・・・・・・・1.2 g
飽和脂肪酸・・・・・・・・・・0.19 g
n-3系脂肪酸・・・・・・・・・・0.23 g
n-6系脂肪酸・・・・・・・・・・0.06 g
糖質・・・・・・・・・・・・・2.9 g
ビタミンA・・・・・・・・・・16 µg
ビタミンE・・・・・・・・・・2.8 mg
ビタミンK・・・・・・・・・・1 µg
ビタミンB1・・・・・・・・・・0.15 mg
ビタミンB2・・・・・・・・・・0.27 mg
ナイアシン・・・・・・・・・・1.6 mg
ビタミンB6・・・・・・・・・・0.05 mg
ビタミンB12・・・・・・・・・20 µg
葉酸・・・・・・・・・・・・・23 µg
パントテン酸・・・・・・・・・・0.45 mg
ビタミンC・・・・・・・・・・・1 mg
ナトリウム・・・・・・・・・・・490 mg
カリウム・・・・・・・・・・・・180 mg
カルシウム・・・・・・・・・・・130 mg
マグネシウム・・・・・・・・・・69 mg
リン・・・・・・・・・・・・・・190 mg
鉄・・・・・・・・・・・・・・・3.9 mg
亜鉛・・・・・・・・・・・・・・2.5 mg
銅・・・・・・・・・・・・・・・0.23 mg
マンガン・・・・・・・・・・・・0.3 mg
灰分・・・・・・・・・・・・・・2.3 g

ハマグリの注目したい栄養素

鉄
赤血球のヘモグロビンや筋肉のミオグロビンに存在し、酸素を運搬したり、取り込んだりする働きを持ちます。鉄の不足によって起きる貧血は「鉄欠乏性貧血」といい、集中力の低下や頭痛などの症状を引き起こします。動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂ると吸収しやすくなります。カルシウム
人体に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯を形成する働きがあります。なお、カルシウムの吸収にはビタミンDが必要なので、カルシウムを十分に摂取するだけでなく、ビタミンDもバランスよく摂る必要があります。ビタミンB12
水溶性ビタミンのひとつで、ヘモグロビンの生成に大きく関わっています。不足すると、赤血球の分裂異常による悪性貧血を引き起こします。魚介類に多く含まれるビタミンのひとつです。はまぐりの選び方と栄養素|買い物で役立つ基本の「き」 | クラシル
マグネシウム
マグネシウムはカルシウムやリンとともに歯や骨を作る大切な栄養素です。また、体内で働く多くの酵素の働きを支え、肌や体を健康に保つ作用があるため、美のミネラルと呼ばれています。鉄
鉄分の多くは、血液中の赤血球、ヘモグロビンの成分として、私たちの体の隅々まで酸素を届ける役割をしています。鉄が不足し、体内に酸素が届けられなくなると立ちくらみや動悸を引き起こすほか、肌荒れや持久力の低下が起こり、疲れやすくなります。亜鉛
亜鉛はたんぱく質の代謝を担っています。そのため、肌や粘膜を健やかに保ちます。亜鉛が不足すると、舌の上にある味蕾という細胞の代謝が鈍くなるため、味覚障害を引き起こします。亜鉛には成長を促し、抜け毛を予防する効果もあります。ビタミンB12
ビタミンB12は葉酸とともに赤血球のヘモグロビンを生成する働きや脳からでる信号を正常に神経に伝える役割があります。不足すると巨赤芽球性貧血という悪性貧血を引き起こすことがあります。グルタミン酸・グリシン
グルタミン酸はうまみ成分ともなる非必須アミノ酸の一種で、GAVAを作り出し、脂質の蓄積を抑えたり、肌を美しく保ったりする働きがあります。
グリシンも非必須アミノ酸の一種で、肌を美しく保つコラーゲンの成分の一つです。また、不眠解消効果や抗酸化作用があることが知られています。タウリン
タウリンは私たちの体内で胆汁酸とともに消化を助けるほか、コレステロール値を下げたり高血圧を予防したりする働きがあります。また、肝機能を高める働きがあり、二日酔いを予防、解消する効果が期待できます。

ハマグリの国内の漁獲量

順位 都道府県|漁獲量 |割合
1位 茨城県 |579t|66.8%
2位 熊本県 |106t|12.2%
3位 千葉県 | 82t|9.5%
4位 三重県 | 60t|6.9%
5位 大分県 | 13t|1.5%
6位 福岡県 | 9t|1.0%
7位 山口県 | 4t|0.5%
8位 静岡県 | 3t|0.3%
9位 宮城県 | 3t|0.3%
10位 宮崎県 | 2t|0.2%
茨城県が断トツですね。
福岡は9位、少ないですがハマグリ、獲れているようです。


★ユニコーンポイント★

3月3日の雛祭りで、ハマグリのお吸い物を頂いた人もいるかもしれませんね。

ハマグリ、旬の今、見かけたらぜひお楽しみください。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・糖尿病病態栄養専門管理栄養士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級

*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。


