新型コロナウイルスで、マスクが品切れ状態です。最近では、ティッシュペーパーやトイレットペーパーまで品薄状態。その感染力の強さやまだ治療方法が確立していないこともあって、関心度の高いのも仕方ありません。
今回はマスクについてお話したいと思います。こちらの記事をご覧ください↓
Q マスクの人が増えたみたい。新型コロナウイルスの感染拡大の影響だね。マスクで感染は防げるの?
ヨミドック インフルエンザや新型肺炎は、せきやくしゃみなどの 飛沫ひまつ の中のウイルスが感染源になります。マスクをすれば、飛沫が飛び散るのを防げます。
Q 予防のためには有効?
ヨ マスクではウイルスの侵入を完全には防げません。ウイルスはとても小さく、マスクのフィルターを通り、顔との隙間があれば入り込みます。手を洗うかアルコール消毒するのが何より大切です。
Q 高性能のマスクがあるって聞いたけど。
ヨ 「N95」ですね。米国労働安全衛生研究所の規格による医療・産業用マスクです。医師が感染症の治療にあたる時や 防塵ぼうじん マスクとして使います。ただし、頭部にかけるバンドを強く締めて顔に密着させないと効果を発揮しません。息苦しく、一般向けではありません。
Q 普通のマスクはどうつければいいの。
ヨ 鼻と口を覆い、フィットさせましょう。鼻を出していたら意味がありませんよ。折り目のあるプリーツ(ひだ)型の場合、鼻の上を押さえ、鼻の形に沿わせます。プリーツは顎までしっかり伸ばしましょう。頬に隙間ができるのは、多くはサイズが合わないためです。
Q 同じマスクをずっと使うのって、よくないよね。
ヨ 1日のうちでも、飛沫を浴びたり、洗っていない手で触ったりした時、呼吸で湿った時は、取り換えた方がいいですよ。はずす時は、ゴムを持つなど表面を触らないように。ウイルスが付いているかもしれませんから。Q マスク、最近、手に入らなくて……。
ヨ せきやくしゃみの飛沫をブロックすることが重要なので、厚生労働省は、三つの「せきエチケット」をすすめています。その一つはマスクですが、ない場合は、ティッシュやハンカチ、あるいは上着の内側や袖で口と鼻を覆いましょう。手で覆うとウイルスが付いてしまいます。マスクは増産しているので、節度ある購入を心がけたいですね。
(小屋敷晶子/取材協力=藤倉雄二・防衛医大病院感染対策室長、横井昭・全国マスク工業会会長)
この記事にはマスクではウイルスの侵入を完全には防げませんとあります、どういうことでしょうか。
一般的なマスクは不織布ふしょくふで作られています。
不織布(ふしょくふ)
繊維を織らずに絡み合わせたシート状のもの(JIS L0222では、紙、フェルト、編物を含まない)をいう。
一般にシート状のものとして代表的な布は、繊維を撚って糸にしたものを織っているが、不織布は繊維を熱・機械的または化学的な作用によって接着または絡み合わせる事で布にしたものを指す。広義には古くから作られていたフェルトを含むが、ここでは主に、20世紀に入ってから製造が始まった工業的な不織布について説明する。
拡大図を見ると繊維同士が絡み合っているのが分かります。
では、不織布製のマスクはウイルスや細菌の侵入を防いでくれるのでしょうか。
「飛沫感染」とは、せきやくしゃみなどによって飛び散る飛沫(直径5マイクロメートル=1千分の5ミリメートル=以上の水分)に含まれる病原体が、口や鼻などの粘膜に直接触れて感染することを言います。
飛沫は1メートルくらい飛んでから落下しますので通常は1~2メートル以内の至近距離で飛沫を浴びることで感染します。風邪のウイルスやインフルエンザウイルスがその代表です。
ウイルスそのものは直径0・1マイクロメートルくらいで、普通のマスクの網目よりずっと小さいため、ウイルス自体をマスクで防ぐことはできません。しかし、ウイルスを含んだ水分の「飛沫」はマスクに引っかかりますので、感染した本人が飛沫を出さないためにマスクをすることは、周囲の人たちにとって十分効果的です。
一方、外出時にマスクをしても、至近距離からせきやくしゃみを浴びることがなければ、予防策としてあまり意味はありません。ただし、花粉は直径30マイクロメートルくらいなので花粉症対策としては効果があります。
どのくらい効果があるかは不明ですが、マスクの着用にはもう一つ「口元の加湿」という意味もあるようです。ウイルスは細菌と違って湿度が高いと生存時間が短くなるので、口元の湿度を上げておけば、いくらか効果があると思われます。マスクをする際は必ず鼻まで覆うように、そしてできるだけ顔とマスクとの間に隙間ができないように装着することが重要です。
しかし、残念ながら飛沫は目にも入ってきて、その粘膜から感染することも多いので、ゴーグルのようなものを着けないと本当の飛沫感染対策にはなりません。日常生活でそこまではちょっと難しいですね。
感染した本人のマスク着用は重要ですが、周囲の予防としては前回お話しした「手洗い」の方がもっと重要です。飛沫感染する病原体は当然、接触感染も起こすからです。
ある学生寮での研究で、「マスク着用と手洗いの両方をした群」は「両方しない群」と比べインフルエンザ様症状の人が35~51%に低下したのですが、「マスク着用のみの群」は有意な低下が認められなかったと報告されています。手洗いとマスクの両方を実践することが重要なのですね。
一方、「うがい」については専門家の間でも賛否両論あります。「ウイルスは目や鼻からも侵入するのでほとんど予防効果がない」という意見がある一方、水道水によるうがいは、しない場合に比べかぜの発症率を40%抑えたという研究結果もあります。結論は出ていませんが、しないよりはした方が良いというくらいです。
私の個人的な印象ですが、ベテランの先生、とくに小児科の先生はかぜをひくことが少ないように思います。これは数えきれないほどかぜのウイルスを浴びていて、ウイルスに対する免疫が強くなっているからかもしれません。感染に神経質になりすぎて、病原微生物と全く接触しないのも、免疫がつかないという意味で問題があるかもしれませんね。
飛沫感染、マスクの予防効果は?:朝日新聞デジタルを参考に作図
不織布製のマスクは5μm=0.005mmの穴が空いています。この穴に対して、左から、
- スギ花粉・・・・・・30μm
- 細菌・・・・・・・・1〜2μm
- ウイルス・・・・・・0.1μm
です。つまり、スギ花粉は通れないけれど、細菌やウイルスは通れる、ということになります。ちなみに赤血球の大きさは6〜8μmなのでぎりぎり通れないサイズです。
ーーーじゃあ、マスクしても意味ないの?
いいえ、そんな事はありません。飛沫を防ぐことができるからです。咳やくしゃみなどをした際に空間に飛び散ることを飛沫と言います。マスクをすることで、この飛沫が飛散するのを大きく防ぐことができるのです。
同時にマスクをすることで、飛沫を直接取り込むことを防いでくれます。もちろん、細菌やウイルスは小さすぎて不織布製のマスクを通ってしまいますが、無防備な状態よりもマスクをしていた方がずっと取り込まないで済みます。
つまり、不織布マスクをしていても新型コロナウイルスに感染してしまう、不織布マスクでは完璧に予防できない、と言えます。
先程紹介した記事では、うがいについて賛否両論あるとしていますが、空気中に漂っているのは、新型コロナウイルスだけではありません。インフルエンザなど、多くの細菌やウイルスが存在しています。それらを取り込まないためには、うがい、そして手洗いはマスクと同様、一定の効果があると、私は考えています。
併せてこちらも紹介します↓
さらに新型コロナウイルス検査官の人がマスクについて答えています。
Q【マスクは効果ないの?】
ウイルスはマスクの網目を通過してしまうのであまり意味がないという意見もありますが、飛沫は水分が多いのでそこに含まれるウイルスも一緒にマスクの網目で止まると思いますし、同じく自分が咳やくしゃみをした場合もウイルスの飛散を防げますので、一定の効果はあると考えています。また、ウイルスがついているかもしれない手で無意識に口や鼻を触ることも、マスク着用で防ぐことができる。ただ、マスクで口だけを覆って鼻を出す間違った着用法をしている人もいます。鼻や口を覆っても、目の粘膜から飛沫が入る可能性もある。そのため、WHO(世界保健機関)は「マスクは万能ではない」という言い方をしているわけです。
★ちゅー!ポイント★
何度か紹介していますが、マスクの正しい付け方をもう1度。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。