![「新型コロナウイルスワクチン開発のため自分の身体と命を提供する[勇者]現る」"1 Day Sooner"健康な自分の身体に開発中のワクチンを投与し、新型コロナウイルスに感染するかの治験のボランティアが世界中で立候補【適材適食】小園亜由美（管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ）](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/kozonoayumi2018/20200520/20200520095746.jpg)
新型コロナウイルス感染症の治療薬、そしてかからないように、かかっても症状が軽くなるための予防接種用ワクチンが、全世界で急ピッチに開発が進められています。
そんな中、米国ニューヨークでは驚くような行動が輪を拡げています。
勇者たちよ…
｢ワクチン開発が1日早まれば7,120人の命が救える。最短ルートはCOVID-19を直接投与するヒューマンチャレンジ治験｣と聞いて、｢だったらこの体を使ってくれ！｣とNYの元企業弁護士Josh Morrisonさん（34）が名乗りをあげました。同士公募のサイト｢1 Day Sooner｣にはすでに102か国から2万3000人以上の応募が集まっています。
ヒューマンチャレンジ治験とは？
現在開発が進行中のワクチンは世界全体で200種以上（WHO調べ）。頼もしい限りですが、どんなに急いでも避けて通れないのが、人体に投与して安全性を調べる臨床試験で、第1相から第3相まであって最低でも1年半から2年かかります。そこでもっと早められないかと専門家の間でいま真剣に語られはじめているのが｢ヒューマンチャレンジ治験｣です。これは｢健常者にワクチン候補を投与し、わざとウイルスに晒して感染するかどうかを確かめる｣というもの。これなら3フェーズまとめてクリアでき、大幅な時短になるのですね。
ただ、新型コロナウイルスはいくら若い健康体を選んで投与しても死亡するリスクがゼロとは言い切れません。若い健康体に効くものが、シニアの持病のある方に効くとも限らず、また、外部に倫理審査委員会も必要。いろんなハードルがあります。
実際、治療法の確立していないコロナみたいな新型疾患にFDAがヒューマンチャレンジ治験を認めたことは過去1度もありません。ただ、米国内では死者の数がとんでもないことになっているので、一刻を争う情況を鑑みて4月下旬に下院議員30人が特例的に治験を認可するよう監督官庁に働きかけています。
今月6日には世界保健機関（WHO）から｢倫理的に許容されるCOVID-19ヒューマンチャレンジ治験の主な基準｣の草稿も示されました。ファウチ博士でお馴染みのアメリカ国立アレルギー・感染症研究所（NIAID）も｢不確定要素だらけだが、実現の方向で動くと思う｣と臨床責任者がNBCに語っているので、ひょっとするとひょっとしそうな雲行きです。
ワクチンは1種では足りず、複数並行して進めなければなりません。アレルギーや2回目以降の重症化を促す反応も考えられるので、研究機関同士の連携を進めて、データを共有し、効果判定基準、使用機材、臨床試験方法を統一し、アメリカ国立衛生研究所（NIH）安全管理委員会の監視のもと進める流れになります。
5月には官民一体でワクチン開発を進める新戦略が発表になり、共同研究プログラム｢Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines（ACTIV）｣のもと、FDA、CDC、WHO、バイオメディカル先進研究開発局との連携も進行中。
勇者の命と人類の明日がバーターにならないことを祈るばかりです。
薬というものは、そもそもそれを体内に入れると何らかの変化をもたらすもの、です。ウイルスや細菌を殲滅してくれたり、病気を治してくれるような効果を持つモノを薬と呼んでいます。逆にヒトにとって不都合なもの、かえって健康を害するようなものを毒と呼びます。
薬と呼ばれるようなものの中にも、都合のよい効果だけでなく、不都合な効果を持っているものは意外と多いのです。有名なもので、抗がん剤と呼ばれる薬は、体内のがんを叩いてくれますが、激しい嘔吐や頭髪が抜けてしまうなどの不都合な効果＝副作用を持っています。
だから、例え新型コロナウイルスに効果覿面こうかてきめんだとしても、その後、後遺症が残ってしまっては薬としては用途が限られます。そのため薬としてヒトに投与されるようになるまでは、長い治験と呼ばれる確認期間が必要なのです。
今回の動きはこの治験期間を短縮しようというもの。ニューヨーク在住の元企業弁護士Josh Morrison氏は、健常者に現在開発中で治験が必要なワクチンを投与し、新型コロナウイルスに感染するのかの実験を自ら志願。併せて世界中から同志を募るというものです。
もちろん大変危険な行為です。
しかし、Josh Morrison氏の声に100ヶ国以上2万人以上が賛同し、自らの身体を提供するとしているのです。Josh Morrison氏のテレビインタビューの動画があります。
Josh Morrison氏は
新型コロナウイルス感染症のワクチン開発が1日早まれば、世界で7120人の命が救える。最も早くワクチンを完成させるためのヒューマンチャレンジ治験だ。
として、この活動を1 Day Sooner（＝1日早く）と呼んでいるそうです。
★ちゅー！ポイント★
1 Day Soonerへの参加を勧めるものではありません。そうではなく、私自身今までとは全く違った日常が突然訪れ、戸惑い、不満がないと言ったらウソになります。しかし、同じ地球の上にいる同じ人間の中には、勇者と呼ぶべき人たちもいるんだと、思いました。私にはとても真似のできないことです。だからこそ、私ができるなすべきことをしっかりやっていこう、と思ったのです。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 （こぞのあゆみ）管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。
