糖尿病の治療に使われる薬にメトホルミンというのがあります。メトホルミンはかなり昔、60年以上前から現在まで多くの糖尿病のある人に使われてきた薬です。少し詳しく説明するとメトホルミンはビグアナイド薬という種類の薬で、
肝臓での作用
ブドウ糖の原料となる乳酸やアラニンからの糖新生を抑え、肝臓からの糖放出を抑える
骨格筋での作用
糖の取り込みを良くし、取りこまれた糖の利用(グリコーゲン生成や酸化)を高める
脂肪組織での作用
糖の取り込みを良くする
腸管での作用
食事からの糖質の吸収を抑える
などの作用から、メトホルミンを糖尿病患者が飲むと血糖値が下がるという効果がある薬です。
確かに血糖値は下がるのですが細かいメカニズムについてははっきりと解明されていなかったため、世界中で研究されていました。しかし2020年6月10日の大学ジャーナルONLINEで神戸大学小川渉教授の研究チームがメトホルミンがどうして血糖値を下げるのかについて突き止めたという記事が掲載されました。
今回、PET(陽電子放射断層撮影)装置とMRI(核磁気共鳴画像法)装置が一体化した新しい放射線診断装置(PET-MRI)を用いた生体イメージング研究を実施。この装置は、ブドウ糖に良く似た物質(FDG)を患者の血管の中に投与し、その後FDGが体の中のどこに集まるかを調べるもの。これにより、メトホルミンを飲んでいる糖尿病患者と飲んでいない糖尿病患者の体の中でブドウ糖の動きを調べた。
その結果、メトホルミンを飲んでいる患者は、ブドウ糖が腸に集まることが判明。さらに、「腸の壁」と「腸の中(便やその他の内容物)」に分けて調べると、小腸の肛門に近い部分(回腸)から先では、メトホルミンを飲んでいる患者の体内では、「腸の中」にブドウ糖が多く集まることが分かった。一方、「腸の壁」へのブドウ糖の集まり方には、メトホルミンを飲んでいるか飲んでいないかで差はなかった。
今回、メトホルミンに「便の中にブドウ糖を排泄する」という作用があることが初めて分かった。この作用によって、今まで不明だったさまざまなメトホルミンの効果を説明できる可能性があり、また、この発見は新しい糖尿病治療薬の開発につながることが期待される。
なんと、メトホルミンを飲むとブドウ糖が腸に集まるようになる、つまりメトホルミンは便としてブドウ糖を出すことで血糖値を下げていることが判ったそうです。
★ちゅー!ポイント★
こういう話があると「夢のやせ薬メトホルミン」のようなことを言う人が必ず出てきます。メトホルミンは糖尿病治療薬です。糖尿病を治療するために使われる薬です。そして薬は誰もが自由に使ってよいものではありません。
ーーー糖尿病を治療しているけど、
私にはメトホルミンが出されていない!
私にもメトホルミンを出してください!
まずは落ち着いてください。糖尿病を治療しているのにメトホルミンが処方されていないとしたら、それはあなたの身体の状態、糖尿病の様子から必要ない、と医師が判断したからです。メトホルミンが治療に有効な場合だけ処方されるのです。 あなたに処方されている薬はあなたにとってベストなチョイスのはずです。あなたの通院している医師や医療関係者は、あなたに健康になって欲しいと考えています。
クスリは間違えて使う(逆さにする)とリスクになります。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。