クスリ、ちゃんと飲んでいますか?
医療機関で処方されたクスリはあなたの症状や状態などを充分に考慮した上で出されています。用量・用法を守ってしっかり飲みきることが大事です。
ところで、クスリを出された時に医師や薬剤師から「食べ合わせ」を注意されたことはありますか?「食べ合わせ」と聞くと「天ぷらと氷」みたいなイメージがあると思います。以前お話しています↓
食べもの同士ではなく、クスリと食べものにも相性があります。今回はそんなことを紹介している記事を元にみていきましょう。
意外と危ない「薬と食事」の組み合わせ グレープフルーツ、リンゴに注意
「薬と薬」、あるいは「薬と健康食品・サプリ」の飲み合わせ次第では、思わぬ副作用が出ることもある。一方で、「薬と日常の食事」にも、注意すべき組み合わせが存在する。
アルコール類は薬の服用中は摂取しないよう指導されることが多い。
例えばビールは、解熱鎮痛剤の非ステロイド性抗炎症薬との飲み合わせで潰瘍や出血のリスクが高まる恐れがある。
同じくワインは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬との飲み合わせで過度の眠気が引き起こされるリスクが高い。
また一般的に健康なイメージのある食品にも、薬との併用でリスクが指摘されるものがある。
特に危険なのがグレープフルーツだ。降圧剤(カルシウム拮抗薬)、脂質異常症治療薬(スタチン系)、ベンゾジアゼピン系抗不安薬など多くの薬との相性が悪く、いずれも薬の作用を過度に増強する恐れがある。医薬情報研究所エス・アイ・シー取締役で薬剤師の堀美智子氏が語る。
「グレープフルーツには薬物代謝酵素(CYP3A4)の働きを阻害する成分が含まれています。これを食べると薬の代謝分解が抑制され、結果、何倍もの薬を飲んだのと同じ状態になり、薬の作用・副作用が強まります。特にカルシウム拮抗薬や一部のスタチン系薬、一部のベンゾジアゼピン系抗不安薬の処方時には『食べないように』とされています」
見落とされがちな点として堀氏は、「和製グレープフルーツとも呼ばれるぶんたん(ザボン)のほか、スウィーティ、ジャクソンフルーツにも同様のリスクがあるので注意が必要」という。
「健康に良い」食品にも注意が必要だ。
ミネラル豊富なコンブ、健康ジュースとして飲まれるノニは、それぞれ降圧剤のACE阻害薬、ARB薬との併用で高カリウム血症のリスクがある。
納豆などの原料で植物性タンパク質が豊富な大豆は、糖尿病治療薬と合わさると薬の作用が増強して血糖値が過度に低下する恐れがあるため、「一緒に摂取する際は慎重に様子を見てほしい」(銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘氏)という。
長澤氏が「厄介だ」と指摘するのがリンゴだ。糖尿病治療薬チアゾリジン薬の服用中は血糖値を上昇させる恐れがある。
「糖尿病治療薬の服用時は、糖の吸収を抑える働きをする食品との併用で血糖値を下げてしまう低血糖のリスクに注意が必要ですが、反対に、リンゴのように血糖値を上昇させて薬の作用を妨げるものもあります。薬を飲んでも血糖コントロールが上手くいかない方は、食べ物の影響を受けている可能性があるので、積極的に医師や薬剤師に質問すべきでしょう」
★モゥー!ポイント★
グレープフルーツは知っている人もいるかも知れませんが、意外なものも食べ合わせとしてよくないものもあったのではないでしょうか。
クスリは良くするためのもの。でも、こういった食べ合わせのよくないものを知っておくことも大切です。
新しいクスリだけでなく、今飲んでいるクスリも一旦確認してみましょう。処方箋やクスリと一緒に渡される説明書に書かれています。また、あなたの担当医、薬剤師などに尋ねてみてもいいと思います。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。