大きな麦が大麦?
小さな麦が小麦?
実は違うんです。
一番判りやすいのは英語。
大麦・・・barley(bάɚli(米国英語), bάːli(英国英語))・・・バーレイ
小麦・・・wheat((h)wíːt(米国英語), wíːt(英国英語))・・・ウィート
で、全く別の単語です。
大小は関係ありません。
ではなぜ麦に大小をつけるのでしょう。
諸説あるようですが、
大麦の「大」は大きい=多い、 で使い途が多い (大きい)
小麦の「小」は小さい=少ない、で使い途が少ない(小さい)
という説があるとか。
小麦に関しては
粉にして使うことが多いことから「粉麦=こむぎ」説
昔から作られていたことから 「古麦=こむぎ」説
などがあるとか。
大豆と小豆は大きさが違うので判りやすいのですが。
まずはイラストで両方の違いを比べてみましょう。
左が大麦、右が小麦です。
結構違いますね。
では、写真で見てみましょう。
下の2枚の画像、区別つきますか?
区別つきましたか?
上が小麦、下が大麦です。
では、粒はどうでしょう。
上が大麦、下が小麦です。
畑を見る機会もあまりないですし、
麦の粒を見ることもないので難しかったかも知れません。
ここまでは見た目についてでしたが、
今度は中身、栄養について見ていきましょう。
まずはそれぞれの特徴から。
【小麦】 の主な特徴ーーーーー
- なんと言っても『グルテン』というタンパク質が豊富なのが小麦の特徴です。グルテンは水と混ぜることで粘りや弾力性が出てきます。このグルテンにはアレルギーがあります。
- 不溶性食物繊維が豊富。
- パン、うどん、パスタなどとして使われます。
【大麦】の主な特徴ーーーーー
- グルテンは入っていませんが、小麦よりも吸水性に優れています。
- グルテンフリーの食材として使われています。
- 水溶性食物繊維が豊富。
- 麦ご飯、麦茶、味噌、ビールなどに使われます。
- 麦わら帽子の材料。
あれ???
今では使い途が少ないとされていた「小麦」ですが
結構利用していますよね?
料理をする人ならキッチンに小麦粉は常備しているはずです。
では栄養について見ていきましょう。
【小麦】の主な栄養ーーーーー
■炭水化物(でんぷん)
白米よりもやや多めな100gあたり約370kcalです。
成分の67〜75%がでんぷんです。
■植物性タンパク質
成分の6〜14%がタンパク質です。
が、必須アミノ酸のひとつ「リジン」が不足しているため、
肉類や卵、乳製品と一緒に摂ることで補うことができます。
■脂質
成分の1〜2%が脂質です。
特に胚芽にはリノール酸やリノレン酸などの必須脂肪酸が豊富です。
【大麦】の主な栄養ーーーーー
■炭水化物(でんぷん)
■食物繊維
白米の約17倍の食物繊維を含んでいます。
水溶性・不溶性の2種類の両方が入っていますが、特に多いのが
水溶性食物繊維「βーグルカン」です。
βーグルカンの作用として
- 糖の吸収を穏やかにする
- 食後の血糖値の上昇を緩やかにする
- コレステロール値を正常にする
などがあり、肥満や生活習慣病、糖尿病に効果があるとされています。
特に『もち麦』は
白米の約25倍、
玄米の約4倍
の食物繊維が含まれているので大変効果が期待できます。
*先日初挑戦した「お弁当」づくりの時も、もち麦を使いました。
■カルシウム
白米の約3倍含んでいます。
■カリウム
血圧の上昇を抑えるカリウムは白米の約2倍。
ということで、
大麦と小麦は同じ麦の仲間ですが、
それぞれの特徴から使い途が全く違う、
ということでした。
★わん!ポイント★
2010年の世界の穀物生産量は
1 トウモロコシ 844
2 コメ 672
3 コムギ 651
4 オオムギ 123
(100万t)
だったそうです。
ー適材適食ー
小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は治療です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。