先日、以前弊院二田哲博クリニックで、共に管理栄養士として食事療法に取り組んでいた元同僚がやってきました。彼女は今横浜の糖尿病治療を行っているクリニックに勤務しています。
彼女が白衣で持参したPCを操作しているのは、「栄養指導について話し合いたい」という強い要望があったからです。
ひさしぶりの元職場を案内したり、ドクターやスタッフに紹介したり、治療の様子を見学してもらったり、そして本当に数年ぶりに一緒に栄養指導を行いました。
そして栄養指導について話し合いました。細かく、深く、色色なことについて話し合いました。
患者さんをよくしたいという揺るがない想い
一番強く感じたのは、管理栄養士として患者さんをなんとかしてよくしたい!という強い想いが同じだ、ということ。
貪欲なまでに高い向上心
今回の来院自体がそうなのですが、とても勉強熱心です。何でも吸収しようとします。貪欲ささえ感じてしまう程の高い向上心を感じました。
疑問を持つこと、解決しようとする姿勢
自分とは違う点に気づき、それがどうしてなのか、なんでなのかを考え、よりよい答えを常に求めようという姿勢を感じました。自分ならこうだけど、なぜそうしたのか。そうやって深く追求していきます。
素晴らしい話し方
私たちは話すことが仕事。彼女は患者さんの今の状態を素早く正確に察知して、それに対応し上手に話をリードしていました。
弊院には私以外にも管理栄養士が複数勤務しています。管理栄養士が行う業務のひとつ個人栄養指導は基本的に患者とマンツーマンです。研修中を除いて互いの栄養指導が具体的にどんな風なのかを知ることはまずありません。もちろん報告しあっていたり、要点を電子カルテに記入していたりはしているのですが、会話のやりとり、ひと言ひと言、相手の表情や態度などの様子、声色など詳細なことは自分自身しか知ることはありません。
今回、彼女のように他院の第一線で活躍している経験豊富な管理栄養士に同席してもらいながらの個人栄養指導はとても貴重な体験、貴重な時間となりました。
ひとつ気づいたことは、「患者さんをよくしたい」というポリシーは同じでも、栄養指導の方針やアプローチは個個の医療機関によって違う、ということです。
これを患者さんの立場で言えば、
自分に合った医療機関、管理栄養士がいる
ということになるのではないでしょうか。
人は誰も全く同じではありません。同じ人でも常に状態は変化しています。ですから「今の状態」=身体だけではなく心=気持や考えに合わせた指導が大切です。そしてそれは患者だけでなく、医療機関だって、栄養指導を担当する管理栄養士だって様様だ、ということです。
ーー何を食べたら健康になりますか?
そんな質問に私たち管理栄養士は困ってしまいます。条件付きだとしても多くの人にとってどうか、という答えはあったとしても、それがあなたという個人に合っているかどうかは判らないからです。でも、検査を行い、食事や日常の過ごし方や生活の様子を詳しく聞き取っていく=個人栄養指導であればあなたに合った食事の方法を提案することができるようになります。
一方で、食事の内容や、日常の過ごし方、生活の様子をたとえ治療のためだとは言え、他人に正直になんでも話してみよう、とは思わないのではないでしょうか。
だとしたら、私たち管理栄養士がまず最初にやらなくてはならないこと、そして何よりも重要なことは信頼関係を結ぶこと、だと私は考えています。
糖尿病を悪化させない!糖尿病合併症に絶対にさせない!
その想いを常に胸に秘めて患者さんと向き合い、そのために管理栄養士として何ができるのか、どうしたらいいのかを考えることが大切だと私は考えています。
アプローチ=栄養指導の方法は無限にあるはずです、でも目的=患者さんをよくしたい!という想いだけはたったひとつで、しかも決して変わることはないのではないか、そんな風に私は考えています。
★ぶー!ポイント★
彼女の来院は私に大きな刺激を与えてくれました。同じ仕事をしている者同士が会うことはとても大切なんだと改めて感じました。
ありがとうございました。お互い頑張りましょう。
ー適材適食ー
小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。