今週のお題「うるおい」
毎月季節の果物を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役果」。
私は健康なカラダづくりに役立つ果物を【役果やくか】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える果物たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。11月の役果はユズです。
ユズ
ユズの旬は夏(7月〜8月)と秋(10月〜12月)の年2回です。
ユズ(柚子、学名: Citrus junos)
ミカン科ミカン属の常緑小高木。柑橘類の1つ。ホンユズとも呼ばれる。消費量・生産量ともに日本が最大である。果実の酸味と香りが好まれて、果汁は少なく、主に果皮を日本料理の香りづけに使う。果実が小形で早熟性のハナユ(ハナユズ、一才ユズ、Citrus hanayu)とは別種である。日本では両方をユズと言い、混同している場合が多い。また、獅子柚子(鬼柚子)は果実の形状からユズの仲間として扱われることがあるが、分類上はザボンの仲間であり、別種である。
黄ユズと青ユズ
ユズの旬は年2回なのですが、それぞれ別名で呼ばれていて
↓今の時期、秋に出回るのが「黄ユズ」。完熟して鮮やかな黄色です。
↓夏に出回るのが「青ユズ」。別名「青玉」と呼ばれることもあるそうです。青ユズは夏に花が咲いたらすぐに収穫したもので、完熟していません。
黄ユズと青ユズ
ユズは、奈良時代から栽培されており、歴史の古いかんきつです。一般的に流通しているのは、黄色く熟してから収穫する「黄ゆず」で、11月頃に旬を迎えます。夏に出回るのは「青ゆず」で、未熟果を利用します。
ユズは大きく分けて3種類
ユズは大きく「本ユズ」「山根系」「多田錦」の3種類に分けられます。本ユズは、徳島県那珂郡木頭村で選抜された系統です。山根系は、 徳島県阿南市の山根氏によって選抜されたものです。多田錦は、種がないため、料理に使いやすく、棘が少ないことから人気があります。
本ユズ 徳島県那珂郡木頭村
本柚子(ほんゆず)は木頭柚子(きとうゆず)とも呼び、ユズの中では類を見ない香りの高さと酸味が強いのが特徴です。耐寒性は柑橘類で最も強く、日本の風土に適し栽培しやすい品種です。実は大きく果重130g程度で、香りが高く、果汁は酸味が強いです。また、花ユズより果汁が少ないです。お料理の香りづけや、マーマレードにしたりお菓子の材料に適しています。1年を通しての寒暖の差が激しいことなど様々な条件が合わさり、香りが高く、肉厚(皮が分厚い)で酸味の強い本柚子が完成します。
また、香り同様に果汁の酸味も強く、香酸柑橘の中でも群を抜いおり、皮・果汁とも栄養成分に優れ、特にカルシウム・ビタミンに富み、その他栄養成分も多く含んでいます。その用途はお料理だけにはとどまらず、香りの分野での商品開発はコスメ業界や薬品業界、海外からも注目の品種です。ぜひお庭に植えてその香りに癒されてみては・・・☆※この品種はトゲのある品種です。トゲはハサミで切っても大丈夫です。柑橘 柚子 本柚子 (本ユズ) 苗 おすすめ 苗木部 By 花ひろばオンライン
山根系 徳島県阿南市の山根氏
早期結実品種。阿南市の山根氏の園で選抜されたもの。果実は中~大きめ多田錦
種がなく、枝にトゲが少ない。果実はやや小ぶりで香りは弱め
桃栗3年柿8年、ユズの大馬鹿18年
ももくり3年かき8年は知っていますが、続きがあるそうです。
ところで「柚子は九年でなりさがる」に違和感はありませんか。もともと前述の「柚子の大馬鹿十八年」は長すぎます。柚子が実をつけるのに十八年もかかりません。それもあって十八年を半分にして、「柚子は九年で花盛り」とか、「柚子は九年でなりさかる」ともいわれているのです。映画ではこれを「なり下がる」(濁音)としていますが、むしろ「成り盛る」(清音)の方が正解ではないでしょうか。
ユズは大馬鹿ではないようです。
ユズの産地
ユズの産地と言ったらどこを思い出すでしょうか。
大分県のゆず生産量は全国4位!
生産量の全国ベスト5は、1位 高知県(7290.5t)、2位 徳島県(2962.5t)、3位愛媛県(1258.6t)、4位大分県(873t)、5位宮崎県(849.9t)です。九州の中では大分県が生産量が1番、面積でも2番です。主な県内の産地は、宇佐市院内町、杵築市山香町、日田市などです。全国生産量ベスト10 (トン)
- 高知県・・・・・・7,290.5
- 徳島県・・・・・・2,962.5
- 愛媛県・・・・・・1,258.6
- 大分県・・・・・・・・873.0
- 宮崎県・・・・・・・・849.9
- 鹿児島県・・・・・・・475.4
- 和歌山県・・・・・・・266.3
- 山梨県・・・・・・・・212.5
- 熊本県・・・・・・・・178.0
- 福岡県・・・・・・・・168.8
高知県が圧倒的ですね!徳島に愛媛が名を連ねているので四国はユズの国って感じなんおでしょうか。
ユズの語源
ユズって響き、可愛いですよね。どうしてユズって呼ぶようになったのでしょうか。
古くはユ(柚)と呼んだが、酸っぱいので「ユの酢」と呼んだのが、ユズとなったといわれています。
「ユ」だったんですね!なるほど!
ゆず湯
ユズと言えば「ゆず湯」。
最近ではゆず湯に浸かるカピパラさんの画をよく見ます。
ゆず湯
お風呂に入ると血管が広がって血流が良くなり身体が温まるのにプラスして、柚子の香り成分である「リモネン」「シトラール」の作用で交感神経が刺激されさらに血流がよくなりポカポカ効果が倍増することが期待できます。古くから「冷えは万病のもと」とよく言われますが、柚子風呂で体の芯から温めることで「冬至の日に柚子風呂に入ると無病息災」とうたわれるのでしょう。柚子風呂に入る際の注意点
個人差はありますが、柚子の皮に含まれる香り成分「リモネン」が皮膚に触れると
ピリピリしたり、かゆみを感じる場合があります。皮に切れ目が入ると、そこから「リモネン」が流れ出やすくなるのでお肌がデリケートな方への対処法としては、柚子を切らずにそのまま使用してくださいね。冬至風呂
この日は冬至(湯治)風呂と称して柚子湯に入る。天保9年の『東都歳時記』によれば流行し始めたのは江戸の銭湯からであるという。柚子湯(ゆずゆ)
柚子を浮かべた風呂である。
解説
ゆず湯の習慣
日本では、江戸時代に冬至の日、銭湯に柚子を輪切りにして入れて沸かす柚子湯があった。ひび・あかぎれ・感冒などの予防のためという。京阪には柚子湯がなかった。江戸の町は、急激な町づくりが進み埃っぽい状態だったため、毎日風呂に入ることが、江戸の人々の楽しみであった。古来催し湯というのがある。新年の丁子湯、暑中の桃の湯などそれぞれ悪疫、災厄をはらう縁起の湯として、端午の節句の菖蒲湯、冬至の柚子湯がある。ことわざにも「冬至に柚子湯に入ると風邪を引かぬ」と言われている。冬至の日において、柚子湯を用意する銭湯もある。柚子湯の作り方としては、柚子の果実を5 - 6個輪切りにして、湯に浮かべる。皮膚が弱い人は、輪切りにした柚子の果実を熱湯で20 - 30分蒸らし、その後、布袋に入れて湯に浮かべるとよい。
「柚子湯」は冬の季語でもある(なお柚子は秋の季語である)。
冬至と柚子との関連は必ずしも明らかではない。柚子湯の習慣は銭湯の登場以後のことであり、一説に湯治(とうじ)と冬至(とうじ)との語呂合わせで、身体息災であれば融通(ゆうずう)が利くとのこじつけであるという。または黄色い柚子を太陽に見立てお湯を海に見立てて、日の入りと日の出に仕立てた遊びとも言われる。
現代科学において、血液の流れを良くする血行促進効果があり、風邪の予防だけではなく、冷え性や神経痛、腰痛などを和らげる効果があるとされている。
検査では、更湯(普通のお湯)と柚子湯に入浴後のノルアドレナリンを比べたところ、4倍の差が出た。ノルアドレナリンは血管を収縮させる効果のある成分なので、それだけ血管が拡張していたことが分かる。果皮に含まれるクエン酸やビタミンCにより、ひび・あかぎれを改善したり、皮の芳香油が湯冷めを防ぐとされている。
ちなみに冬至とは、
冬至(とうじ、英: winter solstice)
二十四節気の第22。天文[要曖昧さ回避]・平気法・周正などの節切りでは第1となり、暦法上で1年間の干支の移行(年界)を冬至(太陽高度に基づいた判断)や冬至の存在する子月・大雪とする説があるが、先天・後天八卦論においては冬至時点ではまだ陰の氣が陽の氣を上回っており、先天・後天八卦論に基づいた判断では二十四山の艮(甲領域)から陽の氣が陰の氣を上回る事象に基づいて立春が年界となる等、年界には諸説が存在する。
今年は、
2024年12月21日土曜日 18:19
だそうです。正確には時間まで決まっているんですよね(そりゃそうか)。
ユズの栄養
ユズは皮の部分と果汁の部分で栄養価が違います。
ユズの皮(100g)
- エネルギー・・・・・・・・50 kcal
- たんぱく質・・・・・・・・1.2 g
- 脂質・・・・・・・・・・・0.5 g
- 炭水化物・・・・・・・・・14.2 g
- ビタミンE・・・・・・・・3.4 mg
- ビタミンC・・・・・・・・160 mg
ユズの果汁(100g)
- エネルギー・・・・・・・・30 kcal
- たんぱく質・・・・・・・・0.5 g
- 脂質・・・・・・・・・・・0.1 g
- 炭水化物・・・・・・・・・7.0 g
- ビタミンE・・・・・・・・0.2 mg
- ビタミンC・・・・・・・・40 mg
ユズは果汁よりも皮部分の方がカロリーが高くなっているのは油分を多く含んでいることに起因しているようです。
ユズの香り 成分と効果
ゆずの香り成分とその効果
ユズノン
ユズノンはゆずの黄色い皮の部分に含まれる香気成分です。ゆず特有の香りはユズノンによるものですが、ごくわずかな量しか含まれていません。果皮の表面に見える小さな点(油胞)に多く含まれており、皮に傷をつけたり、皮をしぼるとゆずの香りが強くたちます。抗菌、殺虫、鎮痛作用などのほか、気分をリフレッシュしたり、集中力を高める効果やリラックス効果があります。血行を促進し、体を温める効果もあるといわれます。リモネン
リモネンは柑橘類には共通して含まれていますが、ゆずにはレモンよりも多くのリモネンが含まれています。リモネンは交感神経の働きを活性化させ、脂肪の分解を促進して内臓脂肪を減少させる働きがあるといわれています。また食欲を抑える効果もあるといわれます。リモネンは皮膚に触れるとピリピリと刺激を感じたり、かゆくなることがあります。果皮に傷が入るとリモネンが流出するので、肌の弱い人は注意しましょう。シトラール
レモンなどの柑橘類に含まれる香りです。シトラールには抗菌、鎮痛、鎮静作用があります。また免疫力を維持する働きがあり、風邪の予防や、疲れたときにかかりやすい口唇ヘルペスなどを予防する効果があるといわれています。ほかにも血行を促進したり、気分を落ち着かせる効果もあります。
ユズの注目したい栄養素
ゆずに含まれる栄養
ヘスペリジン
ヘスペリジンは柑橘類に含まれているフラボノイドでポリフェノールの一種です。ビタミンと似た働きをもち、ビタミンPと呼ばれることもあります。マウスの実験では血圧を下げたりコレステロール値の上昇を抑える効果のほか、骨密度の低下を抑制する効果も認められています。他にも抗アレルギー作用やリウマチの症状改善など、さまざまな生理機能が期待されています。ビタミンC
ビタミンCは抗酸化作用によって体内でおこるさまざまな酵素反応を助けています。体内で合成することができないため、食物から摂る必要があります。ビタミンCが不足することで皮膚のコラーゲンが減少したり、骨密度の低下などを引きおこす可能性があります。また免疫力をアップして風邪などの感染症を予防したり、鉄分の吸収を促進して貧血を予防するなど、幅広い健康効果をもつビタミンです。ペクチン
ペクチンは水溶性食物繊維のひとつで植物には広く含まれており、植物の細胞と細胞をつなぐ接着剤のような役割をしています。整腸作用により下痢や便秘を予防・改善する効果があるほか、血中の悪玉コレステロールを下げ、動脈硬化の予防などにも効果が期待されています。薬膳の効果
気の巡りを良くして胃の不快感を和らげたり、鎮咳や去痰の効果もあります。酔いをさます作用があるので、お酒を飲んだあとにもよいでしょう。漢方ではゆずの果汁は橙子(とうし)、果皮は橙子皮(とうしひ)、種は橙子核(とうしかく)という名前で生薬としても利用されています。
★Grrrrrrrrrr!(グォーーー)ポイント★
見た目も鮮やかで、独特の爽やかな香り、そして1滴で風味を変えるユズ。旬の今、香って、食べて、お風呂に入って、楽しみましょう。
ちなみに先日「柚子胡椒」を作ってみました↓
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。