ーーー飯は喰わないと死んでしまうけど、運動しなくても死にはせんだろう。
いいえ、運動不足は日本人の死因の第3位なんです。以下の図は厚生労働省が2007年の我が国における危険因子に関連する非感染症疾病と外因による死亡数を纏めたものです。非感染症疾病、つまり感染症とそれが原因以外の病気ということです。
1位 喫煙
2位 高血圧
3位 運動不足
4位 塩分摂取
5位 飲酒
6位 悪玉コレステロール高値
7位 過体重・肥満
8位 野菜果物の低摂取
となっています。喫煙や高血圧は何となくカラダによくないとイメージできるかも知れませんが、運動不足も上位に入っているんです。ここに挙がっている項目はいわゆる生活習慣に関わっていることばかりですね。
運動不足は日本だけの問題ではありません。世界保健機関(WHO)では
世界の成人(18歳以上)の4人に1人に当たる14億人以上が運動不足とみられるとの研究結果を発表した。世界的な運動不足の改善努力はほとんど成果を挙げていないと、WHOの専門家は警鐘を鳴らしている。
と発表しています。
では、どれだけ運動したらよいのでしょうか。
糖尿病関連の情報をまとめたこちらのサイトにこのような記事がありました。
ドルナー氏は、ウォーキングなどの中強度の運動を週に計150分行うのに加え、椅子に座って行うスクワットなどの筋力トレーニングを週に2回以上行うことを勧めている。
ウォーキングを行うときは、「気持ちよく話すことができるが、歌うことはできないぐらいの十分な速さで歩く」ことが基準となる。
これに加えて、体の大きな筋肉を使って行うスクワットなどの運動を、1回に10回程度行うことが推奨される。運動習慣のない人は、1日1回から始め、徐々に2〜3回に増やしていき、12〜15回に増やすことを目標とする。
ウォーキングや筋力トレーニング以外にも、徒歩による通勤、家事、散歩、水泳、ガーデニングなど、あらゆる日常の身体活動は運動になる。
「多くの研究で運動の効果は証明されていますが、実践している人はそう多くありません。健康維持と、自立した生活を長く維持するために、あらゆる年齢層の人々がもっと体を動かし、積極的に運動する必要があります」と、クレヴェンナ氏は強調している。
世界保健機関(WHO)によると、運動不足が原因で、世界で毎年320万人が命を落としている。「身体活動レベルを引き上げるために、座りがちな生活をあらためる必要があります。各国の政府は、交通渋滞の多い地域に歩道を整備し、大気汚染を防ぎ、公園やスポーツ施設を整備する必要があります」と、指摘している。
また、世界保健機関(WHO)でもひとつの目安が示されています。
19歳以上64歳以下の人向け運動ガイドライン
運動量は?
- 毎週、緩めの有酸素運動を少なくとも150分、もしくは激しい有酸素運動を少なくとも75分
- 主要筋肉全てを動かす筋力トレーニングを週に2日かそれ以上
- 軽い運動を行い、長時間座り続けるのを避ける
緩めの有酸素運動とは?
- 早歩き
- 水中エアロビクス
- 平らな道か上り下りが少ない道で自転車をこぐ
- テニスのダブルス
- 芝刈り機を押す
- ハイキング
- スケートボード
- ローラーブレード
- バレーボール
- バスケットボール
激しい運動とは?
- ジョギングもしくはランニング
- 速く泳ぐ
- 高速で、もしくは山道で自転車をこぐ
- テニスのシングルス
- サッカー
- ラグビー
- 縄跳び
- ホッケー
- エアロビクス
- 体操
- 総合格闘技
筋力強化になる運動は?
- ウェイトリフティング
- エクササイズバンドを使った運動
- 腕立て伏せや腹筋など自重を使った運動
- 手やショベルを使った穴掘りなど重労働を伴うガーデニング
- ヨガ
有酸素運動と筋力強化を同時にできる運動は?
- サーキットトレーニング
- エアロビクス
- ランニング
- サッカー
- ラグビー
- ネットボール(英国で盛んなバスケットボールに似た競技)
- ホッケー
一覧を見ていかがでしょう。結構本気でカラダを動かすもの=いわゆるスポーツのようなものばかりですね。動かすというより鍛える感じに思えてしまう人もいるでしょう。
冒頭に紹介した調査を行った厚生労働省の資料の表紙にこんな画像がありました。
毎日プラス10分
日常動作で生活改善
いつまでも若々しくあるためには、日々の適度な身体活動が大切。
ウォーキングをはじめとし、庭いじりや掃除、ギターの演奏、ボーリングなど、
日常でのからだの動きを1日10分増やすだけで、
いきいきした健康生活に変わります。
健康寿命をのばそう! Smart Life Project
厚生労働省
と書かれています。また厚生労働省のサイトには
身体活動量を増やすためには、状況に応じて、
通勤・買い物で歩くこと、
階段を上がること、
運動・スポーツを行なうこと
など身体を動かすことを日常生活に取り入れることが必要である。
日常生活において身体活動量を増やす具体的な手段は、歩行を中心とした身体活動を増加させるように心掛けることである。
日常生活における歩数の増加
目標値:男性9,200歩、女性8,300歩
注)1日当たり平均歩数で1,000歩、歩く時間で10分、歩行距離で600?700m程度の増加に相当
基準値:男性8,202歩、女性7,282歩(平成9年度国民栄養調査)
とあります。
できるのであれば、しっかり汗をかくような運動をするのがよいのでしょう。でもそれが1回で終わってしまうようなものであれば、運動不足の解消にはなりません。
運動不足を解消するためには、継続的に、定期的に、習慣的に行う必要があります。1年に1回草野球をやるのと、365日毎日30分歩くのでは全然効果が違うのです。
つまり、あなたに合ったあなたにできる運動を続けることが大事です。たとえば歩こうとします。90分歩けますか?60分?30分?15分?毎日欠かさず続けられる時間を設定しましょう。たとえ10分だとしても、1年続けたら3650分=60時間=1年に2.5日ずっと歩いていたことになるのです!
★ちゅー!ポイント★
やってみたら、意外とできちゃうかも知れませんよ?
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。