今週のお題「最近おいしかったもの」
サルコペニア、ロコモ(ロコモティブシンドローム)、フレイル。
今回はこの3つの言葉についてお話していきます。知っている人は「高齢者の話」と思っている人も多いかも知れませんが、実は若い人、特に40〜50代の人には要注意な話です。
サルコペニア、ロコモ、フレイルとは?
サルコペニア Sarcopenia
高齢期にみられる骨格筋量の減少と筋力、もしくは身体機能(歩行速度など)の低下により定義される。
サルコペニア診療ガイドライン2017年版』(日本サルコペニア・フレイル学会 2017)(厚生労働省資料より)
ロコモ Locomotive syndrome
骨や関節の病気、筋力の低下、バランス能力の低下によって転倒・骨折しやすくなることで、自立した生活ができなくなり、介護が必要となる危険性が高い状態を指しています。
e-ヘルスネット(厚生労働省)
フレイル Frailty
加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態』を表す“frailty”の日本語訳として日本老年医学会が提唱した用語である。フレイルは、要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱 性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する。
『フレイル診療ガイド2018年版』(日本老年医学会/国立長寿医療研究センター 2018)
とされています。それぞれを一言で表すと、
- サルコペニア・・・・・・・筋肉量の減少
- ロコモ・・・・・・・・・・運動器機能不全
- フレイル・・・・・・・・・虚弱
となります。そしてこれらは無関係ではなく、
筋肉量の減少(サルコペニア)が、運動器機能不全(ロコモ)を引き起こし、さらに虚弱(フレイル)へと進んでいきます。
これは加齢に伴うもので、程度の差はあれど、誰にでも起きることです。日常の中で「もう歳だから」とする中にはサルコペニア、ロコモ、フレイルが隠れていることが十分考えられます。
ではどうしたらサルコペニア、ロコモ、フレイルを遠ざけることができるのか、考えていきたいと思います。
老化する、ということ。
歳を重ねていく中で、誰にとっても大きな関心事であり、望んでいるのが、「健康」です。誰もが怪我や病気もなく、いつまでも元気で若々しくありたい、健康でいたい、と願っています。では健康なカラダを得るためにはどうしたらいいでしょう。
「健康」な身体を創り、維持するためには、日々の生活の中で、栄養を摂ること、カラダを動かすこと、これらが「適切」である必要があります。
しかし、過剰に栄養を摂り続けたり、身体活動が不足し続けていると、メタボリックシンドロームなど生活習慣病をまねく可能性が高まります。
メタボリックシンドローム
内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態を指します。単に腹囲が大きいだけでは、メタボリックシンドロームにはあてはまりません。
同じように身体活動が不足し続けている上で、栄養が逆に不足し続けてしまうと、サルコペニアの状態になりかねません。
サルコペニアは筋肉量の減少、です。
そして低栄養で身体活動不足の状態は、骨密度の低下を引き起こします。筋肉が衰えていることもあり、転倒などを引き起こし、
骨折などの怪我に見舞われやすくなります。
また、メタボリックシンドロームにより体重が増え、それが膝などの関節部位への負担となり、それらがトリガーとなり、膝関節の変形や炎症の原因になり得ます。
そして、骨折や、関節部位の変形・炎症は、さらなる「活動量の減少」を引き起こしていきます。このような骨や関節などの病気、筋力の低下、身体のバランス能力の低下が起きている状態を「ロコモティブ・シンドローム」と呼びます。
筋力が低下しているサルコペニアと、運動器機能不全のロコモにみられるような身体的な虚弱状態に、精神的、社会的虚弱が加わり、寝たきりや要介護の手前まで来てしまっている、そんな状態を「フレイル」と表現しています。
▼サルコペニア、ロコモティブシンドローム、フレイル、メタボリックシンドロームの相関図
そして、これらは高齢者だけに限った話ではありません。40〜50代の働き盛りの人たちの中にも起こりうることなのです↓
★Grrrrrrrrrr!(グォーーー)ポイント★
次回は「健康を目指す食事のコツ」を探っていきます。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。