今週のお題「最近おいしかったもの」
毎月季節の野菜を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役菜」。
私は健康なカラダづくりに役立つ野菜を【役菜やくさい】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える野菜たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。2月の役菜はシュンギクです。
シュンギク
シュンギクの旬は11月〜3月です。
シュンギク(春菊、学名: Glebionis coronaria)
キク科シュンギク属に分類される植物。原産地は地中海沿岸。欧米では観賞用に栽培されるが、日本・韓国・中国など東アジア諸国では若い茎葉が食用にされる。
シュンギクって漢字で「春菊」と書くので、とても和風な感じがしますが、実は意外にも「地中海沿岸」が原産、なんですねー。
春菊なのに「冬が旬」!?
もうひとつ、「春」の字が使われているのに、冬に旬を迎える理由は、
和名は他のキクが秋に花を咲かせるのとは異なり、春に黄色い花が咲き、キクに似た香りがすることに由来する。
ということなんだそうです。ちなみにシュンギクの黄色い花とはこんな感じ↓
花びらの外側だけ白く、花の中心はまるでタンポポのようです。綺麗ですね。
ちなみにシュンギクと言えば「ギザギザな葉っぱ」ですが、芽を出したばっかりの時は丸みだけの葉っぱのようです。最初は丸いのに、その後ギザギザになってしまうのはシュンギクさんに何があったのでしょうか。おもしろいですね。
シュンギクの独特のあの味
冬場に旬を迎えるシュンギク、寒い時期に出てくる青い葉っぱということもあって、鍋などに使われることが多いですし、しゃぶしゃぶでも欠かせない野菜ですね。
ただ、シュンギクには独特の苦味があって苦手な人もいるかも知れません。シュンギクのあの苦味の原因はポリフェノールです。ポリフェノールは特にシュンギクの葉の部分に多く含まれていて、加熱すると葉の細胞から出てきてしまうので余計に苦く感じます。
ポリフェノール(polyphenol)
複数のフェノール性ヒドロキシ基(ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環に結合したヒドロキシ基)を分子内に持つ植物成分の総称。ほとんどの植物に含有され、5,000種以上ある。光合成によってできる植物の色素や苦味の成分であり、植物細胞の生成、活性化などを助ける働きを持つ。
実はポリフェノールはほとんどの植物に含まれている成分なのです。
ポリフェノールは、じつはほとんどの植物(主に野菜)に含まれています。なかでも多く含むのが、大豆製品や、れんこんなどの根菜、春菊などの香味のある野菜、ごまなど。いずれも抗酸化作用があり、摂取することで肝機能改善などさまざまな効果があります。しょうがやココアも、殺菌や血行促進など、免疫力アップに欠かせない効果が。以下を参考に、取り入れやすいものから毎日の食事にプラスして行きましょう。
【ポリフェノールを多く含む食材】
シュンギクに含まれているポリフェノール・・・ルテオリン12月の家族の健康レシピ|パルシステムの健康・おうえんナビ|パルシステムの保障(共済・保険)
ルテオリン(Luteolin)
フラボンの1つである。他のフラボノイドと同様に、黄色の結晶状になる。
シュンギクに含まれる栄養
ポリフェノールのほかにもたくさんの栄養素がシュンギクには含まれています。
【春菊(可食部100gあたり)】
- エネルギー・・・・・・・・・・・・22 kcaL
- 脂質・・・・・・・・・・・・・・・0.3 g
- ナトリウム・・・・・・・・・・・・73 mg
- タンパク質・・・・・・・・・・・・2.3 g
- 炭水化物・・・・・・・・・・・・・3.9 g
- カリウム・・・・・・・・・・・・・460 mg
- カルシウム・・・・・・・・・・・・120 mg
- リン・・・・・・・・・・・・・・・44 mg
- 鉄・・・・・・・・・・・・・・・・1.7 mg
- ビタミンA・・・・・・・・・・・・4500 µg(β-カロテン当量4500㎍)
- ビタミンK・・・・・・・・・・・・250 µg
- ビタミンB1・・・・・・・・・・・0.10 mg
- ビタミンB2・・・・・・・・・・・0.16 mg
- ビタミンC・・・・・・・・・・・・19 mg
- 食物繊維総量・・・・・・・・・・・3.2 g
参考:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
各栄養素に期待できる効果
生活習慣病予防の効果も!β-カロテン
β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。ビタミンAは目の機能や皮膚、粘膜の健康を保つために必要なビタミンで、粘膜のダメージを回復する効果や免疫力を高める効果があります。また、肌荒れ予防にも効果が期待できます。ビタミンAに変換されなかったものは抗酸化物質として働き、動脈硬化やがんなどの生活習慣病の予防や老化防止に効果が期待できると言われています。
美肌作りに役立つ!ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの合成にかかわるビタミンで、ストレスから体を守る働きをします。活性酸素を消去する抗酸化作用があり、動脈硬化の予防にも効果があります。また、皮膚のシミやしわを防ぎ、傷や炎症の治りをよくする効果もあります。さらに、粘膜を強くして健康に保つ効果があることから風邪予防の効果も期待できます。水溶性のビタミンで熱に弱い性質があるので、生で食べるとより効果的に摂取できます。
骨のカルシウム沈着を助ける!ビタミンK
ビタミンKはビタミンDとともにカルシウムの吸収をよくする働きがあります。また、骨からカルシウムが溶けて血液に流れ出るのを防ぐ役割があり、骨形成に重要な働きをしています。さらに、血液凝固成分を作り、ケガをして出血をした際に出血を止める役割もあります。食品に含まれているビタミンKの他に、腸内細菌によっても合成されます。
骨粗しょう症の予防に!カルシウム
骨や歯を作るのに欠かせないミネラルです。体内にあるカルシウムの99%は骨と歯に存在しています。また、筋肉を動かしたり、精神の興奮をおさえ安定させるなどの効果もあります。カルシウムは吸収されにくい栄養素のひとつですが、ビタミンDと一緒にとることで吸収率がよくなります。
シュンギクの種類
ひとことで「シュンギク」と言っても実はたくさんの種類があるようです。
菊は葉の大きさや切り込み方で3種類に大別(春菊の種別に関して)
春菊の種類は大きく3種類に種別できます。
- 小葉種
- 中葉種
- 大葉種
品種によって少し味や香りの強さが変わります。この機会に覚えておきましょう。
小葉種
小葉種は春菊の品種の中では、一番葉が小さく、さらに切れ込みが深いのが特徴です。大きく育たないので、収穫量が少なくスーパーではあまり販売されていません。実際、育てている農家も少なくなってきているようです。
中葉種
中葉種は、春菊の中でもっとも多く栽培されており、大葉種と小葉種の間のサイズ感です。市場で見かける春菊の多くが中葉種でしょう。生育期間も2ヵ月~3ヵ月と短く、育てやすいので家庭栽培初心者に人気です。春菊のクセのある香りもアクもしっかりとあるので、鍋やパスタなどに入れてもしっかりと特徴が残ります。
大葉種
葉が肉厚で大きく、クセが少ないので生でも食べられる大葉種。葉が大きく、切れ込みの少ないのが特徴です。九州地域を中心に出回っている品種です。「春菊が苦手だけど、栄養素に期待して食事に取り入れたい」という人には大葉種がおすすめです。
福岡は「大葉種」のようですね。(違いが判るような画像を探したのですが、見つかりませんでした)
【春菊】
関西圏では「菊菜」とも呼ばれる春菊。鍋物のお供はもちろん、最近は独特の香りと風味が生食でも人気。管内で生産された博多春菊は食べやすいと評判です。最近はサラダ春菊など新品種も要注目。
シュンギクの苦味を抑える方法
シュンギクの苦味は「ポリフェノール」と先に話しましたが、苦味を抑える方法があります。
シュンギクの苦味を抑える方法
- お湯にシュンギクの茎の部分を浸して30秒茹でる
- シュンギク全体を浸して10秒程度さっと茹でる
- 冷水にさらして粗熱をとる
- 水気を切る
2の時に葉を熱湯に浸すわけですがこれが10秒以上になってしまうと次第に苦味が増えてしまいます。
それこそ「しゃぶしゃぶ」って感じで軽くお湯に通すのがよいようです。
シュンギクは生で食べられる?
と、苦味=シュンギクというイメージになってしまったかも知れませんが、生のままでもシュンギクは食べることができます!
冬が旬の春菊。すき焼きや常夜鍋などいろいろな鍋に登場する名脇役ですが、実は生食できることをご存じでしょうか。おいしい耳より情報を発信している、JA全農(全国農業協同組合連合会)広報部の公式ツイッター(@zennoh_food)によると、春菊はサラダにして食べるのがおすすめなのだとか。独特な香りを存分に味わえる「たまらない一品」をご紹介します。
生シュンギクと茹でシュンギクの栄養価の違い
では「生」と「茹で」で栄養価がどのように違ってくるのか見ていきましょう。
生と茹でたもので、春菊の栄養はどう違う?
春菊の生と茹での栄養素を比較しました(可食部100gあたり)。ビタミンA(レチノール活性当量)とビタミンKは生よりも茹でたほうが多くなります。葉酸、カリウムは水に溶けるので茹でると減ります。
★Grrrrrrrrrr!(グォーーー)ポイント★
今が旬のシュンギク。春が訪れる前に美味しく頂きましょう。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。