今週のお題「最近おいしかったもの」
前回サルコペニア、ロコモ、フレイルについて考えてきました。
今回は、サルコペニア、ロコモ、フレイルを遠ざけるための方法を考えてみたいと思います。
▼サルコペニア、ロコモ、フレイルの相関図
相関図から、ヒントが見えてきます。
まずは「食事」です。ポイントは過不足ない「栄養」です。
筋肉を増やし、保つために。
- サルコペニア・・・・・・・筋肉量の減少
- ロコモ・・・・・・・・・・運動器機能不全
- フレイル・・・・・・・・・虚弱
どれにも筋肉が関係しています。筋肉を増やすためにはどんな食事がよいのでしょうか。
筋肉を創るためにも、創った筋肉を保つためにも、筋肉の素材となるものが必要になります。筋肉の素材となるもの、それは
タンパク質
タンパク質です。
タンパク質(タンパクしつ、蛋白質、英: protein [ˈproʊtiːn]、独: Protein [proteˈiːn/protain])
アミノ酸が鎖状に多数連結(重合)してできた高分子化合物。生物の重要な構成成分のひとつである。構成するアミノ酸の数や種類、また結合の順序によって種類が異なり、分子量約4000前後のものから、数千万から数億単位になるウイルスタンパク質まで多くの種類が存在する。タンパク質のうち、連結したアミノ酸の個数が少ないものをペプチド、ペプチドが直線状に連なったものをポリペプチドと呼びわけることも多いが、明確な基準は無い。タンパク質は、炭水化物、脂質とともに三大栄養素と呼ばれ、各々の英単語の頭文字を取って「PFC」とも呼ばれる。タンパク質は筋肉や骨、皮膚などをつくる役割も果たしている。
タンパク質を多く含む食材には、肉類・魚介類・卵類・乳製品・大豆製品などがあります。
タンパク質が筋肉になる、というのは知っている人が多いと思います。
でも実は、タンパク質を摂るだけでは筋肉を作れません。タンパク質を作る手伝いをする栄養素なども必要です。
ビタミン
・ビタミンB群・・・タンパク質の代謝・ビタミンC・・・・タンパク質の合成
・ビタミンD・・・・筋肉の合成
ミネラル
・カルシウム・・・・骨の形成、筋肉の収縮
・亜鉛・・・・・・・筋肉の維持、成長
・鉄・・・・・・・・筋肉の維持、成長
糖質・・・・・・・・筋肉の分解を防ぐ
と、このように端にタンパク質だけを食べていればよいという訳ではなく、どちらかというと「食事の際は意識してタンパク質多めのメニューを意識する」という感じです。
1日に必要なタンパク質の量とは?
ではどれくらいのタンパク質が必要なのでしょうか。筋肉は毎日使っています。私たちは動くときに必ず筋肉を使っています。例え一歩も動かなかったとしても、どこかの筋肉を使っています。筋肉の存在をあまり意識することはありませんが、生きる上で必要なものなのです。
つまり、毎日筋肉の素材を補給しなければならないのです。
1日に必要なタンパク質の量を厚生労働省が制定しています↓
1日に必要なタンパク質の量
- 男性 65 g
- 女性 50 g
もちろんこれは目安であり、性別・年齢・活動量などにより大きな個人差はあります。さらに大まかな目安として、
- 成人・・・・体重 kg × 0.9 g
- 高齢者・・・体重 kg x 1.06 g
という計算で出ます。
注目すべきは成人よりも高齢者の方がより多くのタンパク質が必要とされている点です。「歳を取ると肉が要らなくなる」という話をよく聞きますが、歳を取る程に肉類を食べるべき、なのです。
例えば
- 体重 摂取目安 |体重 摂取目安 |
- 普 通 60kg=54 g|70kg=63 g|
- 高齢者 60kg=60.6g|70kg=74.2g|
という感じになります。
タンパク質をいつ摂ればいい?
成人の1日に必要とされるタンパク質の量=65g。これを1日の食事で摂ることが目標になります。
ーーーあなたは「肉類・魚介類」などのいわゆる「お肉」をいつ食べますか?
1日に朝・昼・夕の3食食べるのがよい、とされています。その中で「お肉」を食べるのは「夕食」という人が多いと思います。
▼こちらは当院の患者さんたちに行ったアンケート調査です。
- 週のうち「肉類」を何回食べているか?
- 週のうち「魚介類」を何回食べているか?
についての結果です。
このように圧倒的に「夕食時」に「お肉」を食べることが多いようです。
夕食時に必要な量のタンパク質を摂ればよいのでしょうか。
筋肉を効率的に創り育て保つためには、筋肉の材料である「栄養素」と適度な「運動」が必要です。筋肉は使えば使うほど成長します。
▼この図は一日の生活を表しています。
白い折れ線グラフは「活動量」を表しています。活動量は人によって、日によっても違いますが、この図の場合は、朝にウォーキングをして、午後に買い物に行くのを想定しています。
そしてアンケート調査の通り、夕食時のみに「肉類」を摂取しています。
ここで「栄養素」と「運動量・活動量」の位置を確認してください。運動・活動をするということは筋肉を使っているということ。その前後にタンパク質を摂らなければ「栄養素」が足りなくなります。
より効率的に筋肉を育て保とうとするなら、朝昼夕の3食にそれぞれ「タンパク質」を摂る方がよいことが判ります。
つまり、
1日に必要なタンパク質の量
- 男性 65 g
- 女性 50 g
というのは「1日」に必要な量なので、3食で分けると
1食に必要なタンパク質の量
- 男性 22 g
- 女性 17 g
となります。
毎食、男性なら22g、女性なら17gのタンパク質を摂ることを目標にするのが理想です。
肉100gはタンパク質100gじゃない!
ここでとても大切な注意点があります。
ーーー肉100g=タンパク質100gではない
ということです。
▼この図は、タンパク質を多く含む主な食材に含まれているタンパク質の量の目安をまとめたものです。
100gあたりに含まれるタンパク質の量は
- 肉類・・・・・16 g 〜 20 g・・・100 g
- 魚介類・・・・16 g 〜 20 g・・・100g1切
- 牛乳・・・・・6 g 〜 7 g・・・・200 mL 3本
- タマゴ・・・・ 7 g・・・・・・・3個
となります。
これらを毎食摂るのが理想となります。結構な量ですよね。さらにビタミンやミネラルなどの栄養素も必要です。
よく「栄養バランスのよい食事」という言葉を耳にしますが、こういう意味なのです。
★Grrrrrrrrrr!(グォーーー)ポイント★
まとめ
- 筋肉を作り保つためには、食事と運動が必要。
- 筋肉の材料となるタンパク質、筋肉や骨を作るビタミン・ミネラルも。
- タンパク質は、夜だけでなく朝や昼にも摂る。
- 1日に必要なタンパク質の量は、年齢や性別、生活によって異なる。
- 高齢者は積極的にタンパク質を摂る必要がある。
- 1食あたり20g〜30gのタンパク質を摂る。
- タンパク質20gは、100g相当の肉や魚に含まれている。
栄養とエネルギーバランスの取れた食事を摂り、適度に身体を動かすことが健康への近道です。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。