今週のお題「名作」
毎月季節の果物を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役果」。
私は健康なカラダづくりに役立つ果物を【役果やくか】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える果物が持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。5月の役果はアマナツです。
アマナツ
アマナツの旬は4月から5月頃です。5月下旬になると短期間限定で「完熟甘夏」が出てきます。
カワノナツダイダイ(川野夏橙)
ミカン科ミカン属の柑橘類の一つ。1935年(昭和10年)に大分県津久見市(当時は北海部郡津久見町)上青江の果樹園で川野豊によって選抜・育成された、ナツダイダイの枝変わり種である。甘夏橙、甘夏蜜柑、甘夏柑、略して甘夏などとも呼ばれる。
- カワノナツダイダイ
- 川野夏橙
- 甘夏橙
- 甘夏蜜柑
- 甘夏柑
- アマナツ
- 甘夏
これら全部同じ果物=アマナツの呼称だそうです。
アマナツと夏みかんとの違いとは?
4月の役果として紹介した「夏みかん」。
甘夏と夏みかんとの違いはどこでしょうか?
甘夏と夏みかんとの違いは?
夏みかんは、正式名称は「ナツダイダイ」でミカン科です。
4~5月に収穫されて、夏にかけて食べられるみかんです。山口県長門市仙崎に漂着した南方系の柑橘の種を育てたのが始まりで、明治初年に商品として栽培され、出荷されるようになりました。冬の温州みかんと区別して夏みかんと呼ばれました。甘夏は、正式名称を「川野ナツダイダイ」といい、夏みかんの変異品種で、突然変異の一種の枝変わりで、昭和10年に大分県津久見市の川野豊さんによって発見されました。夏みかんより酸味が少ないので甘夏と呼ばれました。そして、夏みかんより早く色づき、食べやすいので、現在、甘夏の方が多く生産されています。
夏みかんと甘夏の違いは? | 食のマメ知識 | 素材力だし®
夏みかんが変異したものが甘夏
次は甘夏について見てみよう。結論から言うと、甘夏は、同じ柑橘類ということ以上に夏みかんと大いに関係がある。甘夏は、夏みかんが変異した品種なのだ。夏みかんよりも酸味が少なく、甘みを強く感じられることから、名付けられたニックネームである。特徴
甘夏の正式名称は、「川野夏橙(かわのなつだいだい)」と言う。甘夏が大分県津久見市の川野さんの農園で発見されたので、この名称が登録された。甘夏も夏みかん同様、皮は厚く、表面に凸凹が見られる。酸味と苦味が強い夏みかんよりも食べやすいので、現在では甘夏の方が多く生産されている。ちなみに甘夏と言っても、「新甘夏」など品種改良したものがいくつも出てきていて、さらに枝分かれしているイメージだ。
なるほど。夏みかんが変異したものが甘夏、なんですね。
夏みかん
ナツミカン(夏蜜柑、盧橘、学名:Citrus natsudaidai)
日本の柑橘類の一種。別名でナツダイダイ(夏代々)、ナツカン(夏柑)ともよばれる。
甘夏(カワノナツダイダイ)の系統は、酸度が約1.5%と普通のナツミカンに比べて酸度が1 - 2%低くて、糖分は同程度、外観でナツミカンとの判別は困難である。日本の生産量では、甘夏がほとんどを占め、柑橘類の中では生産量の上位を占める。大部分は生食用であるが、一部は果汁にされ、ウンシュウミカン果汁の風味改善に利用されている。
こうして並べて見るとどちからも同じに見えますね。どうやってアマナツと夏みかんを見分ければいいのでしょうか。
甘夏と夏みかんの見分け方
甘夏と夏みかんの見分け方
見た目は非常に似ている
夏みかんも甘夏も、大きさはほとんどかわらない。どちらも直径が10~11センチほどであり、重さは300~500gほど。そしてどちらも、皮の表面が凸凹している。また、色に関しては、固体差があるものであるし、見た目で判断できるとは考えないほうがよいだろう。見分ける方法は?
夏みかんと甘夏は、どちらも収穫後にしばらく低温の場所で寝かせて、酸を減らしてから出荷する。甘夏は、酸が減るのが早いという特徴がある。
もっとも分かりやすい違いは、出荷の時期だろう。甘夏は2月から6月下旬が食べごろで、一年のなかで比較的長く楽しめる品種である。夏みかんが出回るのは、4月から7月にかけてである。そのことから、食べられる状態として手に入ったものが2月、3月であれば甘夏で、7月であれば夏みかんである可能性は高いだろう。
出荷時期
- アマナツ・・・・2月〜6月下旬
- 夏みかん・・・・4月〜7月
出荷時期が手がかりになりそうです。
3つのアマナツ
アマナツには大きく分けて3つの種類があります。
1)アマナツ
2)紅甘夏
紅甘夏 Beni amanatsu
「紅甘夏」は、甘夏と比べ果皮や果肉が赤味を帯びており、甘く酸味がまろやかで、ひと粒ひと粒に果汁がたっぷり含まれていることが特徴です。また、鹿児島県の「かごしまブランド」産地指定を受けている品目です。皮が厚いため、ナイフ等で切れ目を入れてから剥くと綺麗に剥くことができます。甘く酸味がまろやかな紅い甘夏
鹿児島県阿久根市で甘夏の枝代わりとして発見された品種の「紅甘夏」。名前の通り「甘夏」に比べて果皮・果肉が紅色をしています。そのまま食べることはもちろん、加工用として定番のジャムやはちみつ浸けやサラダやドレッシングの具材など幅広くお楽しみいただけます。ビタミンCを手軽に補給でき,身体の水分を補い,胃を和ませます。食欲がないときや酔いざましにも効果があります。酸っぱさのもと「クエン酸」は疲労回復や,かぜの予防・回復にも有効です。薄皮ごと食べると毛細血管を強くするルチンや食物繊維も取ることができます。
3)新甘夏
新甘夏(サンフルーツ)
サンフルーツ(新甘夏)は甘夏(あまなつ)と八朔(はっさく)の掛け合わせの柑橘です。甘夏のジューシーさと甘酸っぱさ、八朔のほのかな苦味と食感のいいとこどり柑橘です。果肉は甘酸っぱく、実離れが良いので剥きやすい、美味しいみかんです。甘夏ジュースもすっきりキリリとした味で美味しく頂けますよ!!
夏みかん系の系統図
何だか文字では判りにくいので系統図を見つけたので、リメイクしてみました。
うん、こうしてみると判りやすくなりました。アマナツと夏みかんが近しいのも判ります。
図の中にある「枝変わり」とは何の事でしょう。
枝変わり(えだがわり、bud sport)
植物のある枝だけに関して、新芽・葉・花・果実などが、成長点の突然変異などによって、その個体が持っている遺伝形質とは違うものを生じる現象である。動物であれば、体細胞の突然変異が新たな個体に反映することはまずあり得ないが、植物では成長点から先へ先へと体が作られてゆくため、変異しなかった部分と区別され、形質として固定する可能性がある。
野生植物に出れば、変わり物となる。この枝を挿し木等すれば、新しい品種となる可能性がある。園芸植物に出る場合は、多くの場合、斑入り葉が無地になったり、八重咲きの花が一重になるなど、親より劣ったものになるが、まれに親より優れたものや、新品種として残しておく価値のあるものが出現することもある。日本の伝統的な園芸種である皐月には、枝変わりによってできた品種がいくつかある。また、温州みかんでは枝変わりによる品種が多く登録されている。
なるほど!その枝だけ他とは違ったものが突然できることを枝変わりと言うんですね。
アマナツの栄養
アマナツ 100gあたり
- エネルギー・・・・・・・・・・42 kcal
- たんぱく質・・・・・・・・・・0.9 g
- 脂質・・・・・・・・・・・・・0.1 g
- 炭水化物・・・・・・・・・・・10.0 g
- 食物繊維・・・・・・・・・・・1.2 g
水溶性食物繊維・・・・・・・0.4 g
不溶性食物繊維・・・・・・・0.8 g- 糖質・・・・・・・・・・・・・8.8 g
- カリウム・・・・・・・・・・・190 mg
- カルシウム・・・・・・・・・・16 mg
- マグネシウム・・・・・・・・・10 mg
- 鉄・・・・・・・・・・・・・・0.2 mg
- ビタミンB1・・・・・・・・・・0.08 mg
- ビタミンB2・・・・・・・・・・0.03 mg
- ビタミンB6・・・・・・・・・・0.05 mg
- ビタミンC・・・・・・・・・・38 mg
ビタミンC
柑橘類にはビタミンCが多く含まれているのは有名だ。甘夏にはどれくらい含まれているかというと、甘夏100gあたりに38mgも含まれている(※1)。ちなみに、みかん(温州みかん)100gあたりに含まれるビタミンCの量は32mg(※2)なので、ほかの柑橘類と比べても遜色ないことが分かる。ビタミンCにはさまざまな効果があるが、ストレスや風邪などに対する抵抗力を高める働きがあることが知られており(※3)、季節の変わり目には摂っておきたい栄養素だ。甘夏は3~5月に旬を迎えるため、季節の変わり目にビタミンCを摂るには最適の果物だといえる。また、ビタミンCの持つ抗酸化作用も近年注目を集めている(※3)。クエン酸
クエン酸も柑橘類に含まれる栄養素として有名だ。クエン酸は柑橘類の酸味の素となる栄養素で(※4)、酸味の強い甘夏にも含まれている。クエン酸にもさまざまな効果があるが、もっとも有名なのは疲労回復作用だ(※4)。そのほかにも、新陳代謝の促進や、女性に嬉しい美肌作用といった効果もある(※4)。シネフィリン
シネフィリンはビタミンCやクエン酸と比べると知名度が低い栄養素だ。しかし、甘夏に含まれる栄養素として、ぜひ知っておいてほしい。シネフィリンは甘夏以外の柑橘類にも含まれており、気管支を拡張させる効果がある栄養素として知られている(※5)。そのため、のどの風邪に効果があるといわれている(※5)。また、ビタミンCと一緒に摂ることで風邪予防に効果があるとされている(※5)。ペクチン
ペクチンは野菜や果物に含まれており、当然ながら甘夏にも含まれている。ペクチンは食物繊維の1種で、水溶性食物繊維に位置づけられる。ペクチンを含む水溶性食物繊維は体内に入ると粘度の高い状態になるため、消化にかかる時間が長くなり少量でも満腹感を得やすくなる(※6)。また、吸収速度を遅らせるため血糖の上昇を緩やかにする効果が期待できる(※6)。そのほかに善玉菌のエサにもなるため、メリットの多い栄養素だといえる(※6)。
アマナツは美味しいだけではなく、カラダが喜ぶ栄養素が詰まっているんですね。
アマナツのそれぞれの部位の栄養
甘夏の皮の栄養
甘夏を含む柑橘類にはオーラプテンという栄養素が含まれている。まだ動物実験の段階だが、オーラプテンにはがん抑制効果があるといわれており(※7)、注目を集めている栄養素だ。オーラプテンは実よりも皮に多く含まれているため(※7)、皮ごと食べなくては摂取できない。また、皮の白い部分にはヘスペリジンという栄養素が含まれている(※8)。甘夏の薄皮の栄養
甘夏の薄皮にはヘスペリジンという栄養素が含まれている(※8)。甘夏以外の柑橘類にも含まれている栄養素だが、いずれも実より薄皮や皮に多く含まれているのが特徴だ(※8)。ヘスペリジンはフラボノイドと呼ばれる栄養素の1種で(※9)、抗アレルギー作用があるといわれている。そのため、免疫力を整える効果が期待できる(※9)。甘夏の種の栄養
甘夏には種がたくさん入っているが、大きく硬いため食べるのに向いていない。そのため、種に栄養が含まれているか否かにかかわらず、無理して食べないほうがよい。
皮にまで!ただ、無理して食べないようにしましょう。
★Grrrrrrrrrr!(グォーーー)ポイント★
栄養たっぷりなアマナツ。その名の通り、甘い初夏の柑橘類です。旬のこの時期にぜひお召し上がりください。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。