毎月季節の魚介を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役魚」。
私は健康なカラダづくりに役立つ海の幸・魚介類を【役魚やくぎょ】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える魚たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。11月の役魚はシシャモです。
シシャモ
シシャモの旬は10月から11月です。
シシャモ(ししゃも、柳葉魚、Spirinchus lanceolatus)
キュウリウオ目キュウリウオ科に属する魚で、川で産卵及び孵化し海で成長後に川に戻る(遡河回遊魚)。日本固有種。
シシャモは北海道だけ!?
シシャモは日本固有の種類の魚です。
世界中でも北海道太平洋側の内浦湾から厚岸湾の沿岸地域にのみ分布する。疋田豊治により記載された。産地としては胆振のむかわ町を流れる鵡川が有名である。かつて、渡島地方の長万部川や遊楽部川にも遡上したが現在では遡上していない。
北海道は広いと言っても、とても限られた海域でのみ棲息しています。
だからシシャモの語源はアイヌ語
「シシャモ」という名称は、アイヌ語のsusam(スサム、語源はsusu(スス(シュシュ))=楊、ham(ハム)=葉とされる)に由来する。また、語源として「スス=楊」、「ハム=葉」以外に、「シサク(美しいの意)」説や「シサム(日本人の意)」説など諸説ある。
アイヌ(アイヌ語: Aynu / アィヌ、ロシア語: Айны)
北は樺太から北東の千島列島・カムチャツカ(勘察加)半島、北海道を経て、南は本州北部にまたがる地域に居住している民族である。現在は日本国内に大部分が居住している。2019年5月に施行された「アイヌ施策推進法」では「日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族である」と明記されている。
ほかにもこのような解説を見つけました↓
ししゃもの名前の由来
ししゃもという名前はアイヌ語の「スサム」に由来し、「柳の葉からできた魚」を意味する「ススハム」が語源と言われています。天の上に住む雷神の妹は、ひまをもてあまし沙流川と鵡川の水源地におりたちました。ところが、川下のどの集落の家々からも、煙が立ち昇る様子はありません。人々は飢餓で食べるものがなかったのです。 そこで、雷神の妹は、天に向かって大声で助けを求めました。神の集落では、大いに驚き、フクロウの女神が柳の枝を杖にして、魂を背負い地上に舞い降りました。そして魂を入れた柳の葉を鵡川に流したところ、みるみるススハム(柳の葉からできた魚)になりました。
シシャモは漢字で「柳葉魚」と書きます。
確かに、似ていますね、ヤナギの葉とシシャモ。
シシャモの分布・生態
世界でも、むしろ日本でも限られた海域で棲息しているシシャモ。さらに詳しい分布や生態が書かれているサイトを見つけました↓
ししゃも漁業の大部分は、10月~11月を漁期とするししゃもこぎ網漁業で、河川へ遡上するため沿岸に集まってきたシシャモを漁獲します。シシャモの産地としては、胆振管内の鵡川町が有名ですが、実は十勝・釧路管内のシシャモ漁獲量は近年では全道の漁獲量の大半を占めており、主要な産地となっています。
シシャモの漁獲量
では具体的にどれくらいの水揚げがあるのでしょうか。
本物のししゃもは年々漁獲量が減っていて、それに伴い価格も高騰。今では高級魚として限られたお店や、水揚げされる土地でしか買い求めるのが難しくなっています。1970年代から徐々に減少した水揚げ量が1995年に一度盛り返したものの、2019年には約500tとなり今後も減少傾向になると予想されます。現在では資源保護の対象にもなっているため、今後も漁獲量を増やすのは難しいでしょう。
北海道におけるシシャモの漁獲量
具体的な数値を見つけました↓
北海道におけるシシャモの漁獲量
平成21〜25年の5ヶ年平均
- 釧路・・・・・・・・・471t(44%)
- 十勝・・・・・・・・・442t(42%)
- 日高・・・・・・・・・ 86t( 8%)
- 胆振・・・・・・・・・ 60t( 6%)
全道・・・・・・・・・・1,059t
年間1,000トンしか獲れないシシャモ。貴重です。
でも、スーパーで「シシャモ」って見かけますよね???
シシャモと呼ばれるシシャモの替わり
スーパーなどで見かけるシシャモの正体とは。
漁獲高の減少のため、キュウリウオや輸入品のカラフトシシャモ(カペリン)が「シシャモ」として食卓に上ることも多い。安価に販売されることから、今日では単に「シシャモ」と言う場合カラフトシシャモを指すことが一般的であり、寿司ネタなどに使われるシシャモ子もそちらの魚卵を使う。同じキュウリウオ科に属しているが、シシャモはシシャモ属、カラフトシシャモはカラフトシシャモ属である。干物に加工された状態でも鱗の面積および配列、吻長、胸鰭長、尾柄高、主鰓蓋骨の形状で本種とカラフトシシャモを識別することが可能である。
カラフトシシャモのことが多いらしいです。カラフト=樺太って北海道のさらに上の方ですよね???
カラフトシシャモとは
カラフトシシャモ(樺太柳葉魚、学名:Mallotus villosus)
キュウリウオ目キュウリウオ科の海水魚。英名はキャペリンまたはカペリン(capelin)。
カラフトシシャモの和名は、同じキュウリウオ科で一見したときの姿が似ているシシャモに由来し、古くから魚類学や水産学の現場で使われていた。 ただし、和名にカラフト(樺太)が冠されている理由は不明である。シシャモとカラフトシシャモの科内の系統的位置は近いとは言えず、色合いや食味も異なる。 最も確実な区別点は鱗の大きさで、側線沿いの鱗がシシャモは61-63枚、カラフトシシャモは170-220枚ある。
なんと、似た別物、ということのようです。でも今ではカラフトシシャモが「シシャモ」と呼ばれているようです。
では本物のシシャモはなんて呼んでいるんだろう
日本へは、ノルウェー、アイスランド、カナダから生干し加工後に冷凍したもの年間約3万トンが輸入され、スーパーや居酒屋などで「子持ちシシャモ」として販売されている。
1970年代以降、シシャモの代用魚として輸入が急増したが、資源量に大差があることから「シシャモ」といえば本種を指し、シシャモは「本シシャモ」などと呼ばれるようになった。 2003年の農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律改訂にともなう販売表示の厳格化を受けた行政指導[4]により、原材料名にはカラフトシシャモと表記される様になったが、商品名は対象外。 また、塩漬けの魚卵が「シシャモッコ」、「真砂子(まさご)」の名でとびこと同様に利用されている。
「本シシャモ」と呼ぶようです。
本シシャモとカラフトシシャモの比較
探してみました↓
確かにこうして比較してみれば違いは分かりますが、1種類だけならまず判らないくらいに似ていますね。
ちなみにより詳しく判りやすく比較しているサイトがありました↓
貴重な本シシャモを探し求めた記録
本シシャモを食べに北海道へ行った人のレポートブログ↓
シシャモの栄養
シシャモの栄養(生干し焼き100g)
- エネルギー・・・・・・・・・177.0 kcaL
- カルシウム・・・・・・・・・360 mg
- タンパク質・・・・・・・・・ 24.3 g
- 脂質・・・・・・・・・・・・ 7.8 g
- ビタミンD・・・・・・・・・ 2 µg
- ビタミンE・・・・・・・・・ 1.1mg
シシャモの注目したい栄養素
カルシウム:丈夫な骨を作るサポート・骨粗鬆症の予防
骨や歯の主な構成成分であるカルシウムは、ししゃも100gに350mgほど含まれています。日本人の食事摂取基準(2015年版)では18歳以上の女性の場合、1日の目安摂取量は650mg、18歳以上の男性は800mgを推奨しています。ししゃも1匹あたり20~30gのため、5匹を食べると、1日のうち必要なカルシウムを半分以上摂取できる計算です。とくに高齢になると骨粗鬆症のリスクが高まり、骨折やケガ、寝たきりなどの要因になります。現代人の食生活はカルシウムが不足しがちなので、ししゃもを食生活に取り入れましょう。タンパク質:筋肉・皮膚・髪を育てる
ししゃもはタンパク質が豊富な食材です。タンパク質は皮膚や筋肉、髪の構成成分で、不足すると肌荒れや毛髪の弱り、筋肉不足につながってしまいます。成人はもちろん、子供の成長にもタンパク質は欠かせません。ししゃもは頭から尻尾まで丸ごと食べやすく、良質なカルシウムとタンパク質の両方をしっかりとれるため、子供にも食べさせたい栄養満点の魚です。鉄分:貧血予防
ししゃも100gあたり1.4mgの鉄分が含まれています。鉄分は血液中の成分ヘモグロビンの生成に欠かせない栄養素で、全身に酸素を運搬する役割を担っています。ヘモグロビンのはたらきが低下してしまうと、貧血症状を引き起こしてめまいやだるさなどの原因につながります。とくに女性は鉄分の不足が起こりやすいため、ししゃもなどで積極的に鉄分をとりましょう。ビタミンB2:皮膚や粘膜の健康維持・肌トラブルのケア
ししゃもは代謝をサポートするビタミンB2が豊富で、100gあたり0.31mgを含有しています。ビタミンB2は18歳以上の男性で1日あたり1.6mg、女性で1.2mgが推奨されています。ししゃもを5匹食べると、1日のうち必要量の多くをカバーできます。ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持に欠かせないため、不足すると肌トラブルにつながってしまいます。細胞の再生を手助けしてエネルギー生成を促すため、日々の活力の元としても欠かせません。ビタミンD:カルシウムの吸収を促進する
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する働きをもっています。カルシウムが豊富なししゃもと相性の良い栄養素で、カルシウムを効率的に体にとどけてくれます。ビタミンD不足は子供の場合、骨や軟骨の強度が低く骨折や痛みを引き起こす「くる病」、大人は「骨軟化症」をひきおこす原因です。子供の身長が伸びない要因にもなるため、ビタミンDをしっかり摂ることが大切です。
★Grrrrrrrrrr!(グォーーー)ポイント★
シシャモって稀少になってきている、というのは知っていましたが、これほど獲れていないとは思ってはいませんでした。棲息海域が限られている以上、この先どんどん食べることができなくなってしまうのかも知れません。
そのうち本シシャモではなく、カラフトシシャモが「シシャモ」になるのかも知れません。シシャモを見かけたらパッケージの表記を確認してみましょう。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。