今週のお題「最近読んでるもの」
毎月季節の野菜を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役魚」。
私は健康なカラダづくりに役立つ海の幸・魚介類を【役魚やくぎょ】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える魚たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。11月の役魚はニシンです。
ニシン
ニシンには10月から12月と3月から5月の年2回の旬があります。俳句の世界ではニシンは春の季語になっています。
ニシン(鰊・鯟・鯡、学名:Clupea pallasii)
ニシン目ニシン科の海水魚。別名、春告魚(はるつげうお)。魚体は細長く、体長は30-35cmほど。背側は青黒色、腹側は銀白色。日本付近では春、産卵のために北海道沿岸に現れる。
英語で ヘリング (英、独: Herring、蘭: Haring)といえばニシンも含むが、普通はタイセイヨウニシン( C. harengus )のことをいう。2種を区別したいときは、ニシンを パシフィックヘリング Pacific herring、タイセイヨウニシンを アトランティックヘリング Atlantic herring という。繁殖特性や形態などが異なることから本種とタイセイヨウニシンは別種と考える研究者もいる。 種小名は、ドイツの生物学者ペーター・ジーモン・パラスにちなむ。
以前、北海道へ旅に出たときに、札幌から小樽に向かっていた時に「銭函駅」を通過しました↓
銭函の名前の由来
和名と思われ、いつもニシンが大量にとれたため、「銭函」となったとされる。このほか、ニシン漁により、当時はどの漁師の家にも銭箱が積まれていたから、とする説明などがある。
銭函が必要なぐらい小樽あたりの海でニシンはたくさん捕れていたようです。一時期「幻の魚」と呼ばれていたこともあるニシン。実は最近たくさん獲れるようになったそうです。
「きっかけは2001年です。この年には植物プランクトンの発生が多く、それに伴い動物プランクトンが増えました。おそらく餌の環境が良く、生まれたニシンの子どもが多く生き残った」
水産資源が順調に増えていくことは喜ばしいことです。
にしんそば
ニシンといえばにしんそば。
にしんそば(鰊蕎麦)
かけそばの上に身欠きニシンの甘露煮を載せたもの。種物そばの一種で、北海道の名物料理となっている。
概要
身欠きニシンを扱ったニシン料理の一つである。
江戸時代より、蝦夷地(現在の北海道)はニシンの漁で繁栄していた。冷凍・冷蔵技術や輸送技術が未発達だった当時、水揚げされたニシンは乾燥品の身欠きニシンに加工されたのち、北前船などの海路で本州に移出されて流通し、長期保存が可能な海産物として重宝されていた。
身欠きニシンとはどんなものでしょう?
身欠きニシン(みがきニシン、みかきニシン、身欠き鰊)
ニシンの干物のことである。
概要
水揚げされたニシンは、生の状態では日持ちがしない。冷蔵技術が発達していない時代では、内臓や頭を取り除いて乾燥させるのが一番合理的な保存法だった。大量のニシンを日本各地に流通させるために、干物として加工されたものが身欠きニシンである。すでに享保2年(1717年)の『松前蝦夷記』に、ニシンの加工品として「丸干鯡」(ニシンを内臓も取らずそのまま干し上げたもの)、「数の子」、「白子」などとともに「鯡身欠」が記載されている[1]。江戸時代中期の宝暦年間に描かれた「江差檜山屏風」にも、ニシンを指先でさばく女性と、さばいた鰊を干し棚にかける男性の姿が描かれている。名称由来
「身欠き」とは、戻した干物が筋ごとに欠き易くなることからついた俗称で、「磨きにしん」という表記は誤りである。また、脂の少ないものが上物とされ「上干」という。
ニシンの干物のことなんですね。
でも、にしんそばと言うと、私は京都をイメージします。以前、訪れた「本家尾張屋」の名物が「にしんそば」なのです(↓この時はにしんそばは頂きませんでした)。
ニシンは北海道で獲れるのに、京都の名物?となっているのは何故でしょう?
「ニシン蕎麦」は、ニシンの干物「身欠きニシン」を甘露煮にし、そばにのせた北海道の郷土料理。「ニシン蕎麦」といえば京都が有名だが、北海道でも昔から食べられてきた。京都の「ニシン蕎麦」は昆布と薄口醤油を使用した薄い味付けをする一方、北海道では濃口の味付けをするため、汁がほのかに甘いのが特徴。
江戸時代後期から明治ごろにかけて北海道沿岸部ではニシン漁が盛んだった。春になると、ニシンの大群が産卵のため沿岸に押し寄せると海が真っ白に染まる「群来(くき)」がみられた。冷凍技術が発達していなかった江戸時代、大量にとれたニシンは日持ちするよう干物に加工した身欠ニシンとして保存するようになった。タンパク源となる身欠ニシンは全国的にも貴重な保存食となり、北前船にのせて北海道から本州まで輸送されていた。そうして、京都をはじめとした各地に身欠ニシンは大量に運ばれ、北海道以外でもニシン料理が進化していった。
明治時代、ニシンの漁獲量はピークを迎えたが、昭和30年代ごろから、群来は急激に減り、ニシンはほとんどとれなくなった。しかし、全盛期の頃の名残から、現在でも北海道や京都など全国各地に「ニシン蕎麦」をはじめとした身欠きニシンを使用したニシン料理が存在している。
「ニシン蕎麦」は、京都が発祥といわれるが、北海道の「ニシン蕎麦」のルーツは、江差町でニシン漁が栄えたころの網元「横山家」に伝わるレシピだといわれている。
なるほど!ニシンを干物=身欠きニシンにすることで日持ちがするようになり、それが遙か西にある京都にも届けられ、それがにしんそばになった、という事であればとても納得できます!
親より人気な子ども?!
ニシンは魚の名前としては有名かも知れません。ただあまり食べる機会はそれほど多くない人の方が多いかも知れません。ただそのニシンの子ども?は親のニシンよりも人気かも知れません。そのニシンの子どもがこちら↓数の子です。
数の子(かずのこ、鯑、鯡子)
ニシンの魚卵および、ニシンの卵巣をそのまま塩漬けまたは乾燥させたもの。
ご存知「カズノコ」です。でもちょっとオカシイと思いませんか?タラの子はタラコなのに、ニシンの子はニシンコではなく「カズノコ」って変ですよね?
正月のおせち料理でも定番の「数の子(カズノコ)」は、魚のニシンの卵。でも、なぜ「ニシンコ」ではなく「カズノコ」と呼ばれるのかというと、もともとニシンのことをアイヌ語で「カド」または「カドイワシ」と呼んでいたことから。「カドの子」→「カズノコ」と変化したというわけです。
ニシンの腹部には稜鱗(りょうりん)と呼ばれるウロコがあり、これが角張っていることから「カドイワシ」と呼ばれた。
北海道アイヌの人たちの言葉から。やはりニシンと言えば「北海道」ということですね。
ニシンと子持ち昆布の関係
カズノコと言えばお正月、おせち料理ですね。おせちの中には子持ち昆布があります。ニシンと子持ち昆布には深い?関係があります。
おせち料理などで食べられる「子持ち昆布」というものがありますが、この「子」とはもちろん昆布の卵などではなく、これもニシンの卵。ニシンは昆布などの海藻に卵を産み付ける習性があり、その卵が産み付けられた昆布を調理したものが「子持ち昆布」です。つまり「子持ち昆布」に付いているものと「数の子」は同じもの(=ニシンの卵)なのです。
ニシンの卵が「数の子」と呼ばれるのはなぜ?/雑学うんちく図鑑(28) - レタスクラブ
子持昆布
語源は「かどの子」の訛りとされており、これは近世までニシンを「かど(カドイワシ)」と呼称していた名残である。基本的にはメスの腹から取り出した魚卵の塊そのものをそのまま食さず、一度「天日干し」または「塩漬け」にしたものの方を食用とする。ニシンの卵の一粒一粒は非常に細かいが、無数の卵が相互に結着しているので、全体としては長さ約10センチメートル、幅約2センチメートル前後の細長い塊となっている。
ニシンが昆布に卵を産みつけたものを「子持ち昆布」と呼び、こちらは珍味としてそのまま食用としたり、高級寿司店では寿司のネタとしても利用されているが基本的には価格が高い。また、その見た目が「黄金色(こがね色)」をしている様子から「黄色いダイヤ」の異称を持っている。
子持ちコンブとは昆布のタマゴという訳ではありません。もちろん昆布に卵はありませんし、まして昆布が昆布に卵を産み付けるという事は考えられません。この『子持こんぶ』は鰊(ニシン)が昆布に卵を産み付けた昆布で、その昆布を食べやすく味付けした珍品です!
ニシンは常に昆布に卵を産み付ける訳ではありません。『子持こんぶ』は産卵期を迎えたニシンに昆布をぶつける様にして追い込みます。そうするとぶつかって来たものに対して産卵行動をおこす性質を持つニシンが、昆布に卵を産み付けます。そしてニシンのタマゴは粘着性が強い為に、昆布に付着するのです。それに味付けをして、出来たのがこの『子持こんぶ』です。
言われてみれば、という感じですよねー。子持ち昆布は「ニシンの子=カズノコ付きの昆布」ということですねー。
身欠きニシンの栄養
前出した身欠きニシンの栄養についてみていきましょう。
身欠きにしんは100gあたり246kcal、タンパク質20.9g、脂質16.7g、炭水化物は0.2g、食物繊維は0gです。カルシウムの含有量が生の3倍の66㎎になり、ビタミンDは約2.5倍の50μgとなります。身欠きにしんの方が生よりも栄養価が高くなるということで、保存食として優秀な栄養源と言えます。
特にタンパク質やカルシウムを多く含んでいますね!
ニシンの栄養
では、生のニシンの栄養はどうでしょうか。
良質な脂質がたっぷり
ニシンには一価不飽和脂肪酸のオレイン酸やイコセン酸が多く含まれています。これらの脂肪酸は悪玉コレステロールを減らし動脈硬化や高血圧を予防する働きの他、心疾患の予防にも効果があるとされています。更に、DHA(ドコサヘキサエン酸)770mg/100gやEPA(エイコサペンタエン酸)880mg/100gなどオメガ3系と呼ばれる多価不飽和脂肪酸も豊富に含んでおり、血液をサラサラにし動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞など血液との関係が深い生活習慣病予防に役立つとされています。
ビタミン類
ニシンは比較的ビタミンB6を多く含んでいます。ビタミンB6はタンパク質、アミノ酸の代謝に深く関わって、エネルギーに変えたり、別のアミノ酸に合成する働きをする他、脂質の代謝にも関わり、大きなエネルギーを作り出します。また、野菜や果物からは接種できないビタミンB12も豊富に含んでいます。ビタミンB12はDNAの合成や調整に深く関わっており、正常な細胞の増殖を助ける働きがあります。また、脂肪酸の合成とエネルギー産生に関与しているほか、葉酸とともに、血液の赤血球やヘモグロビンの合成にも深く関わっています。
身体が喜ぶ栄養をニシンはしっかり含んでいます。
鰊と書いてニシン、鯡と書いてニシン。
ニシンを表す漢字はいくつかあり、それぞれに意味があるようです。
- 鰊・・・・・東の魚説。
- 鯡・・・・・ニシンは成魚ではない、だから「魚へんに非」と書く説。
- 二親・・・・両親の長寿を祝う説。
- 二身・・・・身を2つに割る説。
中でも「鯡」は、
この漢字にも諸説あり、「魚に非ず(あらず)」と書くため、「成熟しきっていないため魚ではない」と言う意味で当てられたという説と、江戸時代の松前藩では米が取れなかった唯一の地域だったため、年貢の米の代わりとしてニシンを収めさせていたということから、「魚ではなく海の米である」という意味で鯡と書いたという説が存在します。
鰊(にしん)ってどんな魚なの?由来から美味しく料理する方法までまるごと解説 | 贈り物・マナーの情報サイト | しきたり.net
魚ではなく海の米というのが面白いですね。
★ぴょん!ポイント★
まだ少し気が早いですが、2025年のお正月にはぜひカズノコや子持ち昆布を頂いて、しっかり栄養と縁起を頂いちゃいましょう。
もちろん今「も」旬なので見かけたらぜひニシンをお楽しみください。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。