今週のお題「ケチらないと決めているもの」

ビタミンにはどんなイメージがありますか?
ーーー野菜や果物に入ってる?
ーーー身体にいい
そ、何だか「健康によい」というイメージの強いビタミン。でも、ビタミンってどんなものなのか、詳しく知っている人は少ないかも知れません。
今回から「ビタミン」についてあれこれ調べてみたいと思います。

ビタミンとは?

ビタミン(ヴィタミン、ヸタミン; 英語: vitamin)
生物の生存・生育に微量に必要な栄養素のうち、その生物の体内で十分な量を合成できない炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物の総称である(なお栄養素のうち無機物はミネラルである)。

ビタミンって何なの?

私たちは食べることで命を繋いでいます。食べものからエネルギーと栄養を得ています。食べものはその成分から
- お米やパンなどに多く含まれている・・・・・・・・炭水化物
- 肉類やタマゴなどに多く含まれている・・・・・・・タンパク質
- オリーブオイルや肉類などに多く含まれている・・・脂質
の主に3つに分けることができます。これらは私たちの
- 身体の材料
- 身体を動かすためのエネルギー
になっています。
それでは「ビタミン」にはどんな役割や働きがあるのでしょうか。

ビタミンは調子を整えてくれる

ビタミンというと、まず“活力”とか“健康”をイメージする方も多いでしょう。実際に、ビタミンの「ビタ」(VITA)は、「生命」とか「活力」を意味する言葉で、生命に不可欠な物質という意味をこめて、名づけられました。
まさに、三大栄養素である脂肪、糖質、たんぱく質などとともに人間が生きていくうえで必要不可欠な栄養素の一つなのです。
体の中でビタミンは三大栄養素の代謝を助ける働きをしており、ミネラルと並んで微量栄養素といわれます。脂肪・糖質・たんぱく質のように、エネルギーになるものではありませんが、それがないと体という“機械”がスムーズに働かない、いわば“潤滑油”のような働きをしているのです。
ビタミンは身体の材料やエネルギーになるのではなく、他の栄養素が身体の一部になったり、エネルギーに変わるのを「助ける」働きを持っているのです。
ビタミンを摂ると元気になる、というのは本当で、適正なビタミンを摂り続けることで、身体の調子が整い、健康になる、つまり元気になるのです。

ビタミンが不足すると?!
ーーー元気になるだけ?
ーーーだとしたらビタミンは要らない?
本当にそうでしょうか。

ビタミンが不足すると、
- 疲労感
- 倦怠感
- 目まい
- 頭痛
- 動悸
- 息切れ
- 発汗異常
- 便秘
- 下痢
- 皮膚荒れ
- シミ
- 目の疲れや乾き
- 口内炎
- 口の周りの炎症
- 肩こり
- 腰痛
- 手足の冷え
- 筋肉減少
- 筋肉痛
- 貧血
- 骨粗鬆症
- 骨軟化症
などの不調が表れてくる場合があるのです。
ここに挙げた内容をクリアするのがビタミンだとしたら、身体の調子を整えてくれるという意味も伝わってくれるかと思います。

ビタミンというモノはない!?
とても重要な栄養素のビタミンですが、実は「ビタミン」という物質は存在しないのです。

ビタミンは機能で分類され、物質名ではない。たとえばビタミンAはレチナール、レチノールなどからなる。
言い換えると
体内で●●という機能や作用があるものをビタミン▲▲(=名前)
ということ。食べることである「効果」が期待できる成分を「ビタミン」▲▲と呼ぶのです。
しかも、

種によってビタミンは異なる!?
機能、作用、効果でビタミンは分類されています。ということは、ヒトと同じビタミンもあれば、そうではない動物もいるのです。

生物種によってビタミンとして働く物質は異なる。たとえばアスコルビン酸はヒトにはビタミン(ビタミンC)だが、多くの生物にはビタミンではない。
ビタミンはあくまでも私たちヒトにとっての効果であって、他の生物にとっては同様の効果を得られないこともある、ということですね。

私たちにとってのビタミンは13種類

ヒトのビタミンは13種が認められている。
- ビタミンA
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- ビタミンC
- ビタミンD
- ビタミンE
- ビタミンK
- ナイアシン
- ビオチン
- 葉酸
- パントテン酸
以上13種類です。ビタミンという名前でなくても「ビタミン群」として分類しています。
では、ビタミンが持つ特徴についてみていきましょう。

油に溶けるビタミンと水に溶けるビタミン
ビタミンには油に溶ける「脂溶性」と水に溶ける「水溶性」の2種類に分けることができます。

脂溶性
- ビタミンA
- ビタミンD
- ビタミンE
- ビタミンK
水溶性
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- ビタミンC
- ナイアシン
- パントテン酸
- 葉酸
- ビオチン
ビタミンによっては油に溶けやすかったり、水に溶けやすかったりします。溶けやすいという事は「逃がさない」ことになるので、調理法を工夫することで、しっかり目的のビタミンを摂ることができるのです。
脂溶性と水溶性のそれぞれの主な特徴をみていきましょう。

脂溶性ビタミンの特徴

脂溶性ビタミンは体内に入ると肝臓や脂肪組織に蓄えられるので、足りなくなる欠乏症にはなりにくいのですが逆に、過剰摂取が起きやすいとされています。

水溶性ビタミンの特徴

水溶性ビタミンは血液などの体液に溶け込み全身を巡ります。余分に摂取した場合は、尿として排出されます。脂溶性ビタミンとは異なり、体内に貯蓄されにくいので、定期的に摂取することが大切です。

各ビタミンの主な働き
それぞれのビタミンが持つ主な働きについてみていきましょう。

脂溶性ビタミン
- ビタミンA・・・眼の健康/粘膜や皮膚の免疫力維持/がんの予防
- ビタミンD・・・カルシウムの吸収促進/骨の強化
- ビタミンE・・・抗酸化作用/老化予防
- ビタミンK・・・骨の形成/血液凝固作用
水溶性ビタミン
- ビタミンB1・・疲労回復/食欲増進/神経機能を正常に保つ
- ビタミンB2・・皮膚や髪の健康を保つ/成長促進
- ナイアシン・・・糖質、脂質、タンパク質の代謝を助ける/アルコール分解
- パントテン酸・・糖質、脂質、タンパク質の耐代謝を助ける
- ビタミンB6・・タンパク質の代謝を助ける/神経物質の合成
- ビオチン・・・・皮膚、髪の健康を保つ
- 葉酸・・・・・・造血/胎児の先天性異常の予防
- ビタミンB12・造血作用/神経機能の維持
- ビタミンC・・・筋肉、血管、皮膚、骨の強化/抗酸化作用

ビタミンAから順番にある理由
Aから始まるビタミン。ヒトにとって13種類あるとされていますが、どうしてでしょうか。

生命に必要な成分はいくつか見つかり、その都度、正式な化学構造が判明し適切な名前を付けるまでの仮称として、D, E, F, … と順に名付けられた(ビタミン K を除く)。
また、ビタミンBに関しては、非常に似た性質を持つグループがあることが分かり、ビタミンB群として、B1, B2, B3, … と順に名付けられた。
さらにその後、ビタミンFなど、いくつかのビタミンは間違いであることや、ビタミンHなど、B群であることが判明し消滅した。その後、各ビタミンの構造が明らかになり、適切な名称が付けられたが、ビタミンB12(シアノコバラミン)やビタミンC(アスコルビン酸)など、ビタミンの方が知名度が高いものもある。また、化学構造の解読が早かったり、解読の結果B群に属することが明らかになった結果、仮称(「ビタミン~」)が一般的でないビタミンも存在する(葉酸(ビタミンMもしくはビタミンB9)、ナイアシン(ビタミンB3)など)。
「機能」が先に分かって、その後の研究により化学式が分かってその物質が何かが分かるまでの仮の名前として発見順で「A、B、C・・・」と名付けていったその名残のようです。

ビタミン様物質
ビタミン様物質(びたみんようぶっしつ)という言葉があります。これはまるで「ビタミンのよう」な振る舞いをすることから名付けられたもので、ビタミンではなく、ビタミンと似た働きや、ビタミンそのものを助ける働きをもつものです。

それらにも「ビタミン」の名が付いていることがありました。
以下には過去に誤ってビタミンと考えられた物質を挙げるが、俗にビタミン様物質と呼ばれているものはこれらに限らず、ビタミン様物質とすら呼ぶべきでない物質や同定できない物質も含まれている。
- ビタミンB4: アデニン
- ビタミンB8: エルガデニル酸(Ergadenylic acid、アデニル酸)
- ビタミンB10: 葉酸はじめ各種ビタミンB群の混合物。ビタミンRともいった。
- ビタミンB11: 葉酸類似化合物。ビタミンSともいった。
- ビタミンB13: オロト酸
- ビタミンB14: 葉酸またはリポ酸などの混合物。
- ビタミンB15: パンガミン酸(ジメチルグリシンやトリメチルグリシンなどの誘導体とされる)
- ビタミンB16: ジメチルグリシン
- ビタミンB17: アミグダリン
- ビタミンBH: イノシトール
- ビタミンBP: コリン
- ビタミンBT: カルニチン
- ビタミンBX: パラアミノ安息香酸(葉酸の部分構造、別名:PABA)
- ビタミンF: リノール酸などの必須脂肪酸
- ビタミンI: 米糠の抽出物。かつてはビタミンB7とも呼ばれた。
- ビタミンJ: カテコール、フラビンまたはコリン
- ビタミンL1: アントラニル酸
- ビタミンL2: アデニルチオメチルペントース
- ビタミンN: チオクト酸(α-リポ酸)
- ビタミンO: カルニチン
- ビタミンP: クエルセチン、ヘスペリジン、ルチン、エリオシトリンなどのフラボノイド
- ビタミンQ: ユビキノン
- ビタミンS: サリチル酸(上記のビタミンB11とは全く別の物質)
- ビタミンT: テゴチン
- ビタミンU: 塩化メチルメチオニンスルホニウム(キャベジンとも呼ばれる)
- ビタミンV: ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
上記のリストをよく見るととても「曖昧」な部分があることが分かります。それは「ビタミン」とはヒトにとっての「効果」によって分類される名称だからです。
ビタミン様物質は、体内で合成されるため、欠乏症は起こらないそうです。働きとしては、疾病予防、美容、健康維持のためとされていて、医薬品として利用されているものもあるようです。また、サプリメントとしてもよく目にするかと思います。が、ビタミン様物質は「体内で合成できる」ものなので過剰にならないように注意する必要がでてくる場合もありそうです。

★にょろにょろポイント★
「ビタミン」。よく聞き、よく使う言葉ですが、少し調べただけでもこれだけの事がわかりました。正直、複雑で難解でとても纏められないぐらいの情報があります。気になる人はぜひ、調べてみてください。

基本的に、身体に必要なビタミンは「普通」に飲食をしていれば不足することはないとされています。しかし偏った食材ばかりだと「ビタミン不足」となり身体に不調となってしまいます。食事の基本は「栄養バランス」と「適したエネルギー」。自分の生活、身体に合った食事を摂ることで健康的な毎日を過ごすことができます。そしてビタミン類は「身体の調子を整える」役割を持つ栄養素。元気なカラダに必要な栄養素なのです。
これからはヒトに必要とされる13種類のビタミンについてひとつひとつ見ていきたいと思います。
次回「ビタミンA」。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級

*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。