今週のお題「体力」

毎月季節の魚介を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役魚」。
私は健康なカラダづくりに役立つ海の幸・魚介類を【役魚やくぎょ】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える魚たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。9月の役魚はカンパチです。

カンパチ
カンパチの旬は6月から9月頃ですが、世界中で水揚げされているので年間を通じて楽しむことができます。

カンパチ(間八、勘八、学名 Seriola dumerili )
スズキ目アジ科に分類される海水魚の一種。全世界の暖海域に分布する大型肉食魚で、日本では食用高級魚として扱われる。
カンパチは結構有名な魚ですね。鮮魚売り場ではよく見かける魚です。

カンパチの由来
「カンパチ」って言うと何だか人名「勘八」か、それとも東京の環状8号線=通称「環8」という感じのイメージでしょうか。

カンパチは口から背ビレまで黒い線が左右対称にあり、顔を正面から見ると「八の字」に見えることからカンパチと呼ばれています。また、カンパチを漢字で書くと「間八」または「勘八」です。
なんと顔に「八の字」が書いてあるそうです!書いてあるのが分かりますか?↓


カンパチはたくさんの名前を持っている
カンパチは地域毎に呼び名があり、それが結構たくさんあるのです。

標準和名「カンパチ」は東京での呼び名で、正面から見た際に目の上の斜め帯が漢字の「八」の字に見えることに由来する。日本での地方名は数多く、カンパ(東京)、ヒヨ(神奈川県)、アカイオ(北陸地方)、シオ(東海地方~関西での若魚の呼称)、チギリキ(和歌山県)、アカハナ(和歌山・高知県)、アカバネ(香川県)、アカバナ(関西~九州)、ニリ(宮崎県)、アカバラ、ネリ、ニノコ(鹿児島県)、ネイゴ(鹿児島県での若魚の呼称)ネリゴ(長崎県での若魚の呼称)等がある。また本種は、日本各地で大きさによって呼び名が変わる「出世魚」でもある。
関東ではショッコ(35cm以下)-シオゴ(60cmまで)-アカハナ(80cmまで)-カンパチ(80cm以上)
関西ではシオ(60cmまで)-カンパチ(60cm以上)
鹿児島県ではネイゴ-アカバラ
稚魚はブリと同様に流れ藻に付くことから「モジャコ」(藻雑魚)と呼ばれる。
学名の種名"dumerili"は、フランスの動物学者アンドレ・デュメリル(André Marie Constant Duméril)への献名である。英名にある"Amberjack"はブリ属に共通する呼称で、体側の黄色の縦帯をコハクに見立て、アジ科魚類の総称"Jack"をつけたものである。本種はブリ属内でも大型になること、または成魚の背中が紫色を帯びることから"Greater amberjack"や"Purplish amberjack"と呼ばれる。
文章中なので分かりにくいと思うので、以下に整理してみました。
地方により呼び名が変わるカンパチ
- カンパチ(東京)
- カンパ(東京)
- ヒヨ(神奈川県)
- アカブリ(伊豆)
- ショゴ(東日本:40センチ未満の若魚)
- アカイオ(北陸地方)
- シオ(東海地方~関西での若魚の呼称)
- チギリキ(和歌山県)
- アカハナ(和歌山・高知県)
- アカバネ(香川県)
- アカバナ(関西~九州)
- ニリ(宮崎県)
- アカバラ(鹿児島県)
- ネリ(鹿児島県)
- ニノコ(鹿児島県)
- ネイゴ(鹿児島県での若魚の呼称)
- ネリゴ(長崎県での若魚の呼称)
- オクムラガーラ(沖縄)
カンパチという呼び名は主に「東京」のようです。

カンパチは「出世魚」
カンパチは出世魚と呼ばれ縁起物とされています。
出世魚(しゅっせうお)
稚魚から成魚までの成長段階において異なる名称を持つ魚。江戸時代までは武士や学者には元服および出世などに際し改名する慣習があった。その慣習になぞらえ「成長に伴って出世するように名称が変わる魚」を出世魚と呼ぶ。「縁起が良い魚」と解釈されて門出を祝う席など祝宴の料理に好んで使われる。ブリ・スズキ・ボラなどが代表的。

関東
ショッコ(35cm以下)→シオゴ(60cmまで)→アカハナ(80cmまで)→カンパチ(80cm以上)
関西
シオ(60cmまで)→カンパチ(60cm以上)
鹿児島県
モジャコ(藻雑魚)→ネイゴ→アカバラ

カンパチの寿命

カンパチはアジ科ブリ属で、ブリ・ハマチ・ヒラマサの仲間です。大型魚で大きいものでは2メートルを超える個体もいます。カンパチの寿命は15年程度と言われています。また、成長が早い魚で一年で40センチ程度まで成長します。
ということは「カンパチ」と呼ばれるものは2歳以上、ということになりますね。

カンパチの見た目の特徴
なかなか一尾丸ごとを見る機会はありませんが、ぱっと見ても、目から尾びれに向かって黄色い線=イエローラインが引かれているのが分かります。

通だけが分かる2種類のカンパチ

現在、国内には 第二背鰭(だいにせびれ)が鎌状に伸びるヒレナガカンパチと鎌状に伸びないカンパチの2種類が生息していますが、流通の際に区別されることはほとんどありません。
↑これは「カンパチ」?!なかなか分からないですね。

カンパチの日
カンパチの日があるそうです。

鹿児島県垂水市に本社を置き、カンパチの養殖を30年以上にわたり行っている株式会社小浜水産グループが制定。
日付はカンパチの頭部には漢数字の「八」のように見える模様があることから「八」が並ぶ8月8日に。また、カンパチ養殖の一年の出荷スタートが8月であることもこの日を記念日にした理由の一つ。カンパチという魚とその美味しさを広く全国に知ってもらうことが目的。記念日は2019年(令和元年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。
8月8日はカンパチの日、だそうです。

カンパチはブリ属3種の1つ
日本でメジャーな「ブリ属」と言えば、ヒレナガカンパチを除いた、ブリ、ヒラマサ、カンパチの「ブリ属3種」のこと。
カンパチとブリの違い
見た目の違い
青みがかった色をしたブリと比べるとカンパチはやや黄色がかっています。頭の形はカンパチが丸みをおびて体高が高いのに比べると、ブリは直線的で細身。よく見ると胸ビレの形も違います。大きさの違い
市場に出回るサイズだとそこまで大きな違いはないのですが、最大サイズになってくるとブリは40kgほど、カンパチは80kgとかなり大きくなります。カンパチはなんと100kgを超える大物になるとか……。注目すべきは口元!
ブリは口元の角がとがっていて、カンパチは角が丸くなっています。
↓画像付きで説明を見たい場合は参照元サイトへ
カンパチとブリとヒラマサの特徴
カンパチ(ブリ属)
- 黄色っぽい体色、口先が赤い。
- 最大190cmほど
- 脂がほどよく、コリコリとした歯ごたえ。
- クセが少なく上品
ブリ(ブリ属)
- 丸みのある体型、背中は青緑色。
- 100cm以上に成長
- 脂が多く濃厚
- 冬の寒ブリは特に人気
ヒラマサ(ブリ属)
- 体高が低くスマート、背が青みが強い
- あっさりしていて上品な味わい。
- 刺身や塩焼き向き

カンパチは赤身魚!?

カンパチを含めた「スズキ目アジ科」のブリ属は、全ての種が赤身の魚です。つまり、カンパチは赤身の魚。しかし、身の質や見た目で白身魚と間違われることも多く、ブリ属は白身の魚、あるいは白身でも赤身でもなく「中間の魚」という意見の人も昔はいました。科学が発達した現在では、体を構成する成分から「赤身魚」に分類されます。
カンパチの身を見るとほとんど白いのですが「赤身」なんですね。

南国のカンパチには毒がある!?

カンパチは世界中の温帯、熱帯域に広く分布する魚です。ハワイなどの諸外国でも釣れることだってあります。しかしながら、南方の大きく育ったカンパチは肝臓や筋肉中にシガテラという毒をもっていることがあります。
この毒は暖かい海域に生息する植物プランクトン(渦鞭毛藻)に由来する毒なのですが、中毒症状が非常に多彩で、中でも「ドライアイスセンセーション」と呼ばれる知覚症状が特徴的です。この症状は水などに触れるとドライアイスに触れた、もしくは電気で痺れてしまうような感覚に陥ってしまうというものです。他にも関節痛や筋肉痛、痒みなどの症状がおこりますが、死亡率は低めです。…ですが、世界的に見ても中毒患者が絶えない毒なので南方の旅先で釣り上げたカンパチや他の魚は食べる前には現地の方に確認をすることをお勧めします。
国内のカンパチはまず問題ないようですが、もし海外、特に熱帯に行くことがあれば、注意してください、というお話。覚えておいて損はないですね。

養殖カンパチの全国水揚げ量ランキング
養殖が盛んな国内の県名のランキング

養殖カンパチの全国水揚げ量ランキング
– 全国計 28,494 (t) 100% –
- 鹿児島 15,096t|53.0%
- 愛媛 3,965t|13.9%
- 宮崎 1,958t|6.9%
- 大分 1,946t|6.8%
- 香川 1,903t|6.7%
- 熊本 710t|2.5%
- 長崎 220t|0.8%
- 徳島 196t|0.7%
- 京都 10t|0.0%
都道府県別のカンパチ養殖生産量と全国シェア(2019年)
なんとぶっちぎりで「鹿児島」でカンパチは養殖されているようです!
では「天然カンパチ」は?というと、東京都中央卸売市場(2024年)に入荷した天然カンパチのランキングですが↓
天然カンパチ水揚げ量
取扱総量約438t
福岡 139.0t|32%
長崎 90.3t|21%
鹿児島 71.9t|16%
なんと「福岡」が断トツでした。

カンパチの栄養

カンパチ生(100gあたり)
- 水分・・・・・・・・・・・・・76.1 g
- 熱量・・・・・・・・・・・・・95 kcal
- たんぱく質・・・・・・・・・・22.2 g
- 脂質・・・・・・・・・・・・・1.2 g
- 炭水化物・・・・・・・・・・・0.1 g
- 食塩相当量・・・・・・・・・・0.1 g
- 飽和脂肪酸・・・・・・・・・・0.3 g
- n-3系脂肪酸・・・・・・・・・・0.26 g
- n-6系脂肪酸・・・・・・・・・・0.05 g
- 糖質・・・・・・・・・・・・・0.1 g
- ビタミンA・・・・・・・・・・・4 µg
- ビタミンD・・・・・・・・・・・1.4 µg
- ビタミンE・・・・・・・・・・・1.1 mg
- ビタミンB1・・・・・・・・・・0.15 mg
- ビタミンB2・・・・・・・・・・0.08 mg
- ナイアシン・・・・・・・・・・10 mg
- ビタミンB6・・・・・・・・・・0.56 mg
- ビタミンB12・・・・・・・・・・1 µg
- 葉酸・・・・・・・・・・・・・4 µg
- パントテン酸・・・・・・・・・0.28 mg
- ビオチン・・・・・・・・・・・1.6 µg
- ビタミンC・・・・・・・・・・・1 mg
- ナトリウム・・・・・・・・・・54 mg
- カリウム・・・・・・・・・・・470 mg
- カルシウム・・・・・・・・・・6 mg
- マグネシウム・・・・・・・・・29 mg
- リン・・・・・・・・・・・・・250 mg
- 鉄・・・・・・・・・・・・・・0.4 mg
- 亜鉛・・・・・・・・・・・・・0.4 mg
- 銅・・・・・・・・・・・・・・0.04 mg
- ヨウ素・・・・・・・・・・・・53 µg
- セレン・・・・・・・・・・・・63 µg
- 灰分・・・・・・・・・・・・・1.3 g

カンパチの注目したい栄養素

体を構成する「タンパク質」
カンパチ1切れ(80g)には約21gのタンパク質が含まれています。タンパク質は、筋肉や臓器など体を構成するのに必要な栄養素で、1回の食事で15~20gの摂取が望ましいとされています。カンパチだと1食分で理想的なタンパク質の量を摂取できるのです。タンパク質を構成する約20種類のアミノ酸のうち、必須アミノ酸は体内で生成できず食品からの摂取が必要です。カンパチはじめ、魚類は必須アミノ酸を豊富に含んでいます。記憶力がアップする「DHA」
カンパチはDHAも豊富に含んでいます。DHA(ドコサヘキサエン酸)は、体内で生成できない不飽和脂肪酸の一つです。血管壁の収縮や血小板の凝集、脂肪燃焼の促進、体内の免疫反応を調整するなどさまざまな働きをします。神経細胞を活性化させ、記憶力や学習能力が向上する効果も。DHAの働きにより、高血圧や動脈硬化、脂質異常症、アレルギー疾患の予防・改善できると言われています。血栓症予防効果のある「EPA」
カンパチはEPAも豊富。EPA(エイコサペンタ塩酸)も体内で生成できない不飽和脂肪酸の一つです。EPAは血管や血液の健康維持に重要な栄養素です。血液の凝固を抑える働きがあることから、血栓症の予防効果がみられることも。また、中性脂肪値を下げる効果もあり、動脈硬化や脂質異常などの予防・改善も望めます。塩分の摂り過ぎを調整する「カリウム」
カンパチは青魚の中でもカリウムの含有量が多い魚です。カリウムはナトリウムを排出し、塩分の摂り過ぎを調整します。それにより、血圧を下げる効果もあります。エネルギー関連の補酵素や肌の健康を保つ「ビタミンB群」
カンパチはビタミンB12が豊富です。他にもビタミンB1・B2・ナイアシンが含まれています。ビタミンB12はタンパク質の合成やアミノ酸の代謝に関わる栄養素です。また、正常な赤血球の生成にも欠かせません。ビタミンB1は糖質からエネルギーを作る補酵素です。ビタミンB1が不足するとエネルギーを作り出せずに疲労の原因に。ビタミンB2は、脂質をエネルギーとして使うために必要です。肌や髪の毛、爪の健康維持や成長促進の働きもあります。ナイアシンには血行を促進し、肌の健康を保つ働きがあります。カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」
カンパチにはビタミンDも豊富に含まれています。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、体づくりをサポートする栄養素です。骨を丈夫にしたり、免疫機能を調整したりする働きがあります。魚に多く含まれ、カンパチ1食分で1日の目安量を満たせます。

★にょろにょろポイント★
美味しい天然カンパチとは

関東以南から九州にかけて分布しているが、外房産のものの評価が高い。カンパチは小ぶりのものが旨く、3kg前後のものがベスト。3.5kgを超えると大サイズとなり、5kg以上になると大味となる。市場でも養殖ものが多いが、天然の上物は、海水の中で泳がせ、トラック便で活けの状態で市場に輸送されてくることが多い。しかし本当に旨いのは、上手に活け締めしたものを、1~2日間熟成させたものである。
こぶりの方が美味しい!これはメモメモ・・・。
美味しいカンパチのたべかた

カンパチを食べるなら、刺身が一番である。血合いが美しく、脂に甘みがある。新鮮なものはシコッとした食感のある白身である。締めたばかりのものは歯ごたえがいいが、締めた後に1~2日間熟成させたものが旨みがある。関東では秋のシオッコが好まれる。昆布出汁で身を泳がせるカンパチのしゃぶしゃぶや、甘辛く煮つけたものも美味。ブリと同様、大根と煮てもいい。程良く脂が乗っているので、照り焼きや幽庵焼き、西京焼きにしてもよく、カマの部分は塩焼きが旨い。身を卸した後の頭や骨はアラ煮にしてもよく、また刺身で残った身は唐揚げや南蛮漬けにしてもよい。房総では1kgサイズのものを開き干しにしたカンパチの干物がつくられている。

さ、今、カンパチは旬を迎えています!ぜひ、見かけたら迷わず味わってください!
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級

*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。

