私はNRサプリメントアドバイザーの資格を持っています。今回資格更新の講習を受けたので、備忘録として内容の一部を残したいと思います。
食事・栄養とメンタルヘルス事・栄養とメンタルヘルス 帝京大学医学部精神神経科学講座 功刀 浩くぬぎひろし 先生
精神疾患の治療として、
- 心の休息、環境調整:過度のストレスを受けない環境に
- 精神療法:支持的精神療法、認知行動療法など
- 薬物療法:抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬など
- 通電療法(重症の場合)
- リハビリテーション:作業療法、職業訓練
- 栄養・運動療法:栄養指導、栄養補充療法、食生活
- 運動など生活習慣改善←自分でできる治療と予防=21世紀に入って注目
食事・運動・睡眠が現代乱れがち→正すことが大事
飽食、食の西洋化、運動不足、夜型生活などがストレスの影響を増幅させてしまう
20人にひとりがうつ病
うつ病患者の特徴
- 肥満または体重不足の方が多い(普通体重が少ない)
- 糖尿病や脂質異常症の人が多い
- 朝食欠食、間食や夜食摂取が多い
- 朝食欠食 欧米で10-30%
- 朝食をとる習慣がある人一般的に栄養状態が良好。
- エネルギー摂取量が多いが、肥満にはなりにくい
- 知的機能が高く、記憶力、テスト成績、学校の出席率が高い
- 朝食としては食物繊維や栄養素の豊富な全粒穀物、果物の乳製品をとるとよい。
国民健康栄養調査によると(日本)
日本で男性の20-30代 3-4割朝食欠食
女性の20-30代 2割程度朝食欠食
朝食を食べることが心の病気の予防につながる
朝食を食べればよいというだけでなく、それは、早寝早起きをし、十分な睡眠をとっていることにもつながっている。朝食を食べることで体内時計のスイッチを入れることができる。朝の光をあびることも脳のスイッチを入れることができる。=活動状態となる。=仕事の能力向上、活発な身体活動につながる→【ストレスに強い生活習慣】
一方
【ストレスに弱い生活習慣】
朝食欠食=体の体内時計のスイッチが入らない
光をあびない=脳のスイッチも入らない
→仕事の能率低下。長時間労働
↓
運動もできず。孤食=カウンセリング機能なし
ゲーム、睡眠不足このような生活を20-30代の人が多く送っている
何を食べるかも大事だが、「生活全体」が大事。
現代の食事の問題
- 飽食 食べ過ぎになりがち
- 精製され加工された食品 食物繊維、ビタミン、ミネラル、n3系不飽和脂肪酸、ポリフェノールなどの成分喪失
- 人の遺伝子は変化しない:西洋式食事や文明化した生活習慣に適応できない。
- 認知症やうつ病も生活習慣病といわれるようになった
- 女性や高齢者のやせの問題
- 食物繊維が1951年→2000年で約半分に減った=脂質異異常症、腸内細菌が劣悪になる(40代以下で食物繊維13g程度しか摂取できていない)
- カルシウム 先進国の中でもかなり少ない(乳製品の摂取が少ない+土壌にカルシウムが少ない→野菜や水にカルシウムが少ない)
- マグネシウム不足
- 野菜不足
※これらは、うつとも関連している
【うつ病と関連する栄養/食生活】
- 総エネルギー、糖尿病、メタボリックシンドローム
- 運動の予防・治療効果
- 地中海式食事vs西欧式食事
- 健康日本食の効果・脂肪酸:n3系脂肪酸(EPA、DHA)不足・アミノ酸:トリプトファンなどの必須アミノ酸
- ビタミン:ビタミンB1、B6、B12、葉酸、ビタミンD不足
- ミネラル:鉄、亜鉛、マグネシウム不足・嗜好品:緑茶やコーヒーの予防効果
- ヨーグルトなどのプロバイオ手クス(善玉菌)の有効性
- サプリメントによる治療
【認知症と食生活・栄養】
- 総カロリー、糖尿病、メタボリックシンドローム
- 運動の効果・地中海式食事vs西洋式食事
- 脂肪酸:n3系脂肪酸不足
- アミノ酸:トリプトファンなど必須アミノ酸不足
- ビタミン:ビタミンB12、葉酸、ビタミンD、ビタミンE不足
- ミネラル:鉄過剰、銅過剰、アルミニウム
- 嗜好品:緑茶、赤ワインの予防効果
- サプリメントによる治療
※うつ病と関連する食生活・栄養との重なりが多い
肥満やメタボリックシンドロームとうつ病
- 肥満はうつ病のリスクを1.5倍に高め、うつ病は肥満のリスクを1.5倍高める
- メタボリックシンドロームはうつ病のリスクを1.5倍に高め、うつ病はメタボリックシンドロームのリスクを1.5倍高める
- うつ病でBMI30以上の人は認知機能が低下していることが分かった。これらの人は肥満が解消すると、頭の働きが良くなることがある。
魚の摂取とn3系不飽和脂肪酸もうつと関連あり
- 魚をよく食べる人のほうがうつ病の罹患率が低かった(0.6倍)
- うつ病ではEPAやDHAの血中濃度が軽度低下したことから、EPAやDHAを薬で投与すれば改善することもあった。
- EPA血中濃度が高いほどストレスが少ない=魚をよく食べる人ほどストレス症状が低いことがわかった(2019年、日本東日本大震災にて)
- アメリカでは、2-3回/週魚を摂取することを推奨。
- 双極性障害患者では、n3系(EPA、DHA)の血漿中濃度が低く、n6系(アラキドン酸)の濃度が高かった。
★魚をとると心の病気になりにくいことがわかった。
葉酸:血清中の葉酸濃度が低いとうつ病のリスク増
ドーパミン、ノルアドレナリンなどを作っているので不足するとうつ病になりやすい葉物野菜、レバー、大豆製品をしっかりとる
ビタミンD:少ないとうつ病のリスク1.3倍
増皮膚で紫外線照射にて作られるため、冬から春にかけて紫外線が少ないので、季節性のうつ病と関連するかもしれない→適度に日光に当たったほうがよい
鉄:うつ病患者は非うつ病者と比較して鉄欠乏性貧血の割合が高い
ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの合成に関わる酵素に鉄が必要なものがある豚・鶏・牛レバー、かつお、まぐろなど
亜鉛:味覚障害のほか、うつ病状態や気分変調症が生じる
うつ病患者の亜鉛濃度は健常者と比較して有意に低かったかき、うなぎ、牛肉など
腸内細菌:うつ病患者は健常者と比較して善玉菌が少ない
うつ病にならないメニュー
- 全粒穀物(量は少なめ)
- 豊富な野菜+タンパク質
- 塩分控えめな具沢山味噌汁またはスープ
- 果物、乳製品
- お茶、コーヒー
統合失調症
- 心臓病などを早期に発症し、寿命が短い
- 抗精神薬の副作用、不健康な食生活習慣、ストレス太り、運動不足のため
- 食物繊維や果物の摂取が少ない
- 飽和脂肪酸の摂取が多く、不飽和脂肪酸の摂取が少ない
- 1/3の統合失調症患者がメタボリックシンドローム
- 脂質異常症をもつ患者の88%、高血圧患者の62%、糖尿病の38%が未治療。
- 統合失調症患者は健常者に比べBMIが有意に高い
- BMI30以上の肥満は統合失調症患者が有意に高い
- 統合失調症はHDLコレステロールが有意に低値
- 統合失調症肥満者の飲食行動はコーラ・ジュースを飲む頻度、パン・菓子パンの摂取頻度が高い
- 統合失調症患者は健常者に比べて食べ方が早いが肥満とは有意な関連なし
- 統合失調症患者は身体活動量が有意に少なく、肥満と関連する傾向がある
- BMIと陰性症状との間に相関はあるが、抗精神病薬服薬量との関連はなかった→食生活・運動に介入することが大事
★モゥー!ポイント★
様々な食材から色々な栄養を、というのにはしっかり根拠があるんです。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。