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2367食目「おばあちゃんの味が消える!?」食品衛生法改正2024年6月1日より全面実施

今週のお題「外でしたいこと」

「おばあちゃんの味が消える!?」食品衛生法改正2024年6月1日より全面実施【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門二田哲博クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

2024年6月1日より食品衛生法改正が全面実施となります。

食品衛生法(しょくひんえいせいほう)

日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止するための日本の法律。食品と添加物などの基準、表示、検査などの原則を定める。食器、割ぽう具、容器、包装、乳児用おもちゃについても規制の対象となっている。法令番号は昭和22年法律第233号、1947年(昭和22年)12月24日に公布された。

食品衛生法 - Wikipedia

現在は移行前の猶予期間とされていますが、2ヶ月後には改正後の対応を取らなければならなくなります。

しかし、この改正により「おばあちゃんの味が消える!」と騒がれているようです。どういうことなのでしょうか。以下、記事を紹介します。

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「いったいどうすればいいのか」困惑する生産者たちの声 道の駅から「おばあちゃんの味」が消える深刻事情

各地の道の駅や産直市などで売られる手作りの漬物が、存続の危機に瀕している。食品衛生法の改正に伴い、2024年6月以降は、専用の加工場など衛生的な施設で製造した漬物しか販売できなくなるからだ。各地の道の駅や直売所によると、やめる人はかなりの割合にのぼると思われ、地域で長年愛された味が危機を迎えている。実態を追った(全2回。今回は前編です)。

いったいどうすればいいのか…
 「いったいどうすればいいのか困っています。長年喜んでもらってきた味を、できるだけ守り続けたいが……」
高知県高知市で、毎週開かれる日曜市。300年以上の歴史を持つ街路市で、全長約1kmにわたり、新鮮な野菜や果物、水産加工物や菓子など、地域の味がずらりと並ぶ。農家が作る大根やキュウリ、白菜などの漬物も人気で、それぞれの馴染みの味を求めて、地元の常連客や観光客が多く訪れる。その中の1つ、大根やカブの自家製「古漬け」を販売する野村慎一さん(72)は、祖父の代の60年以上前から、日曜市で漬物を販売する。食欲を刺激する昔ながらの古漬けの香りに誘われ、多くの客が足を止める。野村さんが作る古漬けは、1年物から6年物まであり、年数を重ねた漬物ほど味がまろやかになる。店先には、野村さんが「この木樽で漬けないと、この味にならない」という年季の入った木製の大きな漬物樽がずらり。植物性乳酸菌たっぷりの、昔ながらの製法にこだわった漬物だ。

岐路に立つ手作り漬物の販売
季節の無農薬野菜を使った漬物作りを父親から継承し、日曜市で販売し始めて40年近く。誇りを持って続けてきた漬物作りが、岐路に立たされている。理由は、食品衛生法の改正だ。漬物はこれまで、多くの都道府県で条例に基づく届け出をすれば販売できた。ところが、2021年に改正された食品衛生法の施行によって、今年6月以降は、専用の加工場など国が定める衛生基準をクリアする設備で製造した漬物しか販売できなくなる。加工場と生活場所を明確に区分けすることや、水回り設備の設置、水が染み込まない壁や床などの設備など、衛生基準を満たした施設を整備して営業許可を取得することが必要になった。改正前からの製造者は、今年5月末までは経過措置で販売を継続できるが、それ以降は営業許可がないと販売できなくなる。現在、全国各地の道の駅や産直市などで、地域の味として売られる漬物の多くが、農家をはじめとした個人による少量生産で、自宅の台所や納戸などで作られている。さらに、漬物の作り手の多くは高齢者だ。そのため「営業許可に必要となる設備投資をしてまでは続けられない」として、製造や販売をやめる動きが全国的に広がっている。言わずもがな、設備を整備するとなると多額の費用がかかる。前述の野村さんも、「後継ぎもいないなかで、新しい加工場を建ててまで続けるのは無理」「これまで通り作るのがダメになるなら、やめざるを得ないかもしれない」と険しい表情を見せる。「昔の家庭では、1年分以上の保存食として、みそ、しょうゆ、梅干し、漬物などを作って、家庭ごとの味があったけど、今はほとんど作られなくなった。だからこそ、“あの味が食べたい”と、うちの漬物を求めてくれる人も多い。零細で続けている高齢者は、多額の設備投資をするのは難しく、このままではやめざるを得ない」(野村さん)

すでに影響が出ている道の駅
全国の道の駅では、すでに影響が出始めている。愛媛県の「いしづち山麓マルシェ」では、約30人の漬物の生産者のうち、25~26人が製造販売をやめる決断をした。生産者の多くが農家で、余った野菜などを自宅で漬け込んで同店などに納品していた高齢者。自家製漬物は、入荷したらすぐに売り切れる人気商品だったが、大多数が「設備投資をしてまでは続けられない」とやめる決断をし、継続するのは3~4人ほどの見込みだという。同店の統括マネージャーは、「これだけ規制を強めると製造できない。保健所にかなり抗議したが、ダメだった」と落胆する。「個人で作る自家製漬物は、おいしくて安いと人気商品だっただけに、“なぜあの漬物が買えないのか”と、お客さんから文句が出ています。量産品にはない昔ながらの地域の味で、地元の人も愛着がある。それがなくなってしまうのは、店としても大きな痛手。何より、このままでは、地域の伝統の味が消えてしまうことに危機感を抱いています」(統括マネージャー) JA高知県が運営する「JAファーマーズマーケットとさのさと」の担当者も、法改正によって「今後、個人で作っている人は、作り続けるのがどうしても難しくなる」とため息をつく。同店は、農家が作ったものを委託販売する直販所。商品には生産者名も明記されるため、「あの人の漬物が好き」と名指しで買いにくる客も多い。「昔からずっと作り続けているお年寄りのなかには、作ることが生きがいになっている人もいる。製造のハードルを上げたら、作りたくても作れない人が出てくるし、古くから続く味が消えてしまうのも寂しい」(担当者)

「作り続けたい」は1割未満
燻製干しのたくあん漬け「いぶりがっこ」の産地としても知られる、秋田県横手市が2021年、漬物生産者158人を対象にアンケートを行ったところ、法改正の完全施行後も漬物を作り続けたい人は10人と、全体の1割未満にとどまった。市は、このままでは産業としてはもちろんのこと、地域で受け継がれてきた大切な食文化が途絶えてしまうと、強い危機感を抱いたという。「いぶりがっこの作り手は、60代が若手といわれるほど高齢者が多い。そのため設備投資をしてまで続けられないというのはもちろん、営業許可制に伴う細かい書類の申請もハードルが高い。漬物作りをやめる人の半分は、お金云々の問題だけではなく、年齢としての潮時と考えて“これを機にやめる”という選択をしている印象です」(秋田県横手市食農推進課) 燻製干しのたくあん漬けとして知られる「いぶりがっこ」が、雪深い秋田の風土が生み出した知恵の産物でもあるように、漬物は、各地の気候風土と密接に関わっており、地域ごとに特色が異なる。食品工場で作られた均一的な味とは違う魅力と個性があり、その地域ならではの味を求めて客がやってくる。長年、漬物を作り続けてきた人は、漬物作りが生きがいや楽しみになっている人も多いはずだ。
それが奪われかねない事態になっているのは、なぜなのか。次回で背景を掘り下げる。
【後編:80歳女性の「生きがい」を奪う“食品衛生法の問題”】

記事を読んでどう感じたでしょうか。感想や考察をする前に今回の改正についてみてみましょう。

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食品衛生法改正

厚生労働省のサイトにまとめられていました↓

食品衛生法 改正の概要

趣旨
「食品衛生法」は飲食による健康被害の発生を防止するための法律です。前回の法改正から15年が経過しており、食を取り巻く環境の変化や国際化等に対応して食品の安全を確保するため、改正を行いました。

概要
(1)大規模又は広域におよぶ「食中毒」への対策を強化
大規模又は広域的な食中毒の発生・拡大防止のため、国や都道府県等が相互に連携・協力を行います。また、新たに「広域連携協議会」を設置し、大規模又は広域食中毒発生時にはこの協議会を活用して迅速に対応します。

(2)「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」を制度化
原則として、すべての食品等事業者に、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施を求めます。小規模営業者等は、厚生労働省ホームページで公表している手引書を参考に、簡略化したアプローチで取り組むことができます。

(3)特定の食品による「健康被害情報の届出」を義務化
厚生労働大臣が定める特別の注意を必要とする成分等を含む食品との関連が疑われる健康被害が発生した場合、事業者から行政へ、その情報を届け出ることを義務化しました。

(4)「食品用器具・容器包装」にポジティブリスト制度を導入
食品用器具と容器包装について、安全性を評価した物質のみを使用可能とするポジティブリスト制度を導入しました。

(5)「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設
HACCPに沿った衛生管理の制度化に伴い、食品等事業者を把握できるよう、営業の届出制度を創設しました。また、食中毒等のリスクや、食品産業の実態を踏まえ、営業許可が必要な業種の見直しを行いました。

(6)食品等の「自主回収(リコール)情報」は行政への報告を義務化
営業者が食品等の自主回収(リコール)を行う場合に、自治体を通じて国へ報告する仕組みを作り、リコール情報の報告を義務化しました。届出された情報は一覧化してホームページ等で公表されます。

(7)「輸出入」食品の安全証明の充実
輸入食品の安全性確保のため、輸入される食肉のHACCPに基づく衛生管理や、乳・乳製品及び水産食品の衛生証明書の添付を輸入要件としました。
 ▶ 輸入食肉のHACCPに基づく衛生管理について
 ▶ 乳及び乳製品の衛生証明書について
 ▶ ふぐ及び生食用かきの衛生証明書について
また、食品の輸出のための衛生証明書発行に関する事務については、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律(令和元年法律第57号)に定めることとなりました。

*さらに詳細な情報についてはこちら↓

改正食品衛生法に関する情報提供(PDF)

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★Grrrrrrrrrr!(グォーーー)ポイント★

「おばあちゃんの味が消える!?」食品衛生法改正2024年6月1日より全面実施【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門二田哲博クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

確かに今回の改正内容では、おばあちゃんが昔から作ってきたやりかたではクリアはかなり難しくなるでしょう。結果、おばあちゃんの味は失われることになる。
ーーー本当にそうでしょうか?

改正のポイントを見てみるとどれも「飲食による健康被害の発生を防止するため」に必要とされる条件ではないでしょうか。

もちろん今までも衛生状態に気を付けて製作販売してきたからこそ、集団食中毒などが起きてこなかったのだと思います。しかし、商売として、利益を上げるのであれば、それはより「安全」なやりかた、ルールに沿った方法でやるべきではないでしょうか。

食品衛生法は商売として行う以上、それが生命にかかわることなので、しっかりしたルールでやりましょう!と言っているのではないでしょうか。お孫さんや友人にまで言及していません。つまり、そういう事ではないでしょうか。

もちろん、改善の余地はあるとは思います。ひとりの高齢者が生き甲斐のために、昔ながらのものを手作りして提供する、それを実現するための方法はあるかも知れません。

しかし、最近話題となっている大手製薬会社の例があるように、ルールを定め、それを厳しく守ることで日々の食生活、食の安全は守られるのではないでしょうか。

道の駅からおばあちゃんの味がなくなってしまうのはとても残念です。でも、今回の改正ルールに沿った形で「おばあちゃんの味」を実現することはできるのかも知れません。何か方法はないのか、模索していくのは大変かも知れませんが、何よりも優先されるべきは食の安全だと私は考えます。

あなたはどう考えますか?

ー 適 材 適 食 てきざいてきしょく

小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級

【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

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*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。