あなたは生活習慣病、糖尿病の治療をしていますか?
それくらいの期間、治療をしていますか?
なんのために治療しているのか判らなくなってはいませんか?
糖尿病のある人に向けてのこんなアンケート結果があります。
糖尿病の通院・治療をやめたいと考えたことはありますか?
n=376
よくある ・・・・・・ 8%
ある ・・・・・・・・36%
ない ・・・・・・・・56%
参照元:
なんと44%の人が糖尿病の治療をやめたい、と考えているのです。 もし今あなたが糖尿病治療を中断しようと考えているとしても、それはあなただけではなく多くの糖尿病の患者さんが考えていることなのです。
糖尿病は現時点で完治の難しい病気です。ですから、治療を続けなくてはいけません。
でも糖尿病があっても、風邪をひいた時のように咳が出たり、熱があったり、というような症状はありません。糖尿病の治療をしていても実感はなかなか沸きにくいものです。
そこで定期的な検査が必要です。今、体の状態がどうなのかを採血や検尿などの検査を行うことで、見えにくい体の様子を診ています。
ーーー特に症状もないし、面倒だし、忙しいし、お金もたくさんかかるし。だから、治療をやめようかな。
糖尿病は、進行し、悪化すると糖尿病合併症となります。糖尿病が原因となり引き起こす合併症には、主なものとして
大血管症:体の中の太い血管が動脈硬化となる
- 脳卒中:脳の血管が詰まったり破れたりする
- 狭心症:心臓の血管が詰まったり狭くなり心筋が栄養・酸素不足になる
- 心筋梗塞:心筋が酸素不足になり壊死する
- 足の壊疽えそ:血液が充分でなく栄養と酸素が不足し細胞組織が腐ってしまう
細小血管症:体の中の比較的細い血管が動脈硬化となる
- 糖尿病性神経障害:しびれや痛みが続いたり、逆に感覚がなくなってしまう
- 糖尿病網膜症:目の網膜が障害を受け視力が低下する
- 糖尿病腎症:老廃物をろ過し尿をつくる腎臓の組織が障害を受け機能が落ちたり、尿が出にくくなる
などがあるほか、歯周病・認知症などの病気も糖尿病と深い関係があることが判ってきました。
つまり糖尿病をしっかり治療を行うことで自覚症状があるさらに重い病気を未然に防ぐことになるのです。そして糖尿病治療で大切な血糖と体重のコントロールが上手くできればこれらの病気を遠ざけることができるのです。
ですから糖尿病の治療は合併症にならないために行うのです。
糖尿病の治療には「薬物療法」「食事療法」「運動療法」の3つがあります。中でも「食事」や「運動」は治療以前に健康なカラダづくりには決して欠かすことのできないものです。
と、今さら私が説明する必要もなく、知っているし、判っているのだと思います。
弊院、二田哲博クリニックは糖尿病専門クリニックです。毎日たくさんの糖尿病を治療している患者さんに会います。みなさん定期的に治療のために通院して、検査を受け、診察やカウンセリングを受け、薬のある人は医師の指示の通りに服用しています。それを長い間、中には弊院が開院した頃からずっと通院している人もいます。
冒頭に紹介した「糖尿病の通院・治療をやめたいと考えたことはありますか?」というアンケートはやめたいと考えたことのある人にその理由を尋ねていました。
糖尿病の通院・治療をやめたい理由はなんですか?
複数回答
- 医療費の負担・・・・・・・・・・・・・・・62%
- 血糖コントロールがうまくいかない・・・・・40%
- 時間をとるのが難しい・仕事を休めない・・・26%
- 主治医や医療スタッフとの相性・・・・・・・25%
- 診察の待ち時間が長い・・・・・・・・・・・22%
- 治療が嫌になった・・・・・・・・・・・・・21%
- 治療をやめてもさほど変わらないと思う・・・18%
参照元:
あなたと同じ想いはありますか?続けていこうと考えている人の中にも共感するものはありますか?
***ここから特に私の個人的な考えを書かせて頂きます***
私は医療従事者です。糖尿病専門クリニックで栄養指導を行う管理栄養士です。ですが私も「患者」になります。風邪をひいたり、歯の治療を受けたり、皮膚科に行ったりと白衣を脱げば、私もみなさんと同じ患者です。ですからこのアンケートの内容について共感すると同時に何とかできないか!とも考えています。
弊院で実際に取り組んでいることを紹介します。(ただし、私は管理栄養士なのでその範囲内でのことしかお話できません。)
医療費の負担
私が担当する「栄養指導」、弊院では「食事カウンセリング」と呼んでいますが、私は必ず患者さんに「何か持ち帰ってもらえるように」と意識しています。持ち帰るのは「新しいなにか」です。食事の話をしていく中で、今まで知らなかったこと、間違っていたこと、聞きたかったことなど、患者さんが「今日は話ができてよかった!」と言ってもらえるように、必ず何かをお渡しできるようにしています。資料やパンフレットのようなモノだけでなく、新しい食に関する考え方をお渡ししています。
血糖コントロールがうまくいかない
なかなか血糖がコントロールできない。多くの人の悩みでもあります。血糖値の変化は食事内容や回数、量によって大きく変わります、がそれだけではありません。毎日繰り返している何気ない生活の中にも血糖を乱す原因がある場合もあるのです。血糖値をコントロールするきっかけとして薬を使い、その効果と併せて食事や運動をしっかりやっていくと、慣れたころにはよくなっていく、そんな傾向が多くみられます。血糖値が安定すれば薬を減らしたり、やめることもできるようになります。食事だけでなく運動や普段の生活の話を管理栄養士や医師、看護師に相談してみてはいかがでしょうか。
時間をとるのが難しい・仕事を休めない
特に働き盛りの男性だけでなく、パートで働く主婦や子育てに忙しかったりとなかなか通院する時間が取れない、というのはみなさん共通した大きな悩みです。弊院の場合は予約して頂いた時間から2〜3時間で終わることが多いです。大切な時間、貴重な時間を治療のために通院しているみなさんのためにも、スタッフは「時短」を合い言葉に無駄を極力無くすために日々改善しています。
主治医や医療スタッフとの相性
あると思います。実際に「あの先生とは合わない」と相談を受けたことがあります。弊院の場合は糖尿病専門医が常に2名以上いますので、希望があれば主治医を変えることができます。また姪浜本院以外にも天神分院がありますのでそちらへ移ることもできます。相性が合わないと感じているのに、それをずっと我慢していると、そのうち通院するのが嫌になってしまうものです。相性の合う医師に診てもらうことは大切です。
診察の待ち時間が長い
「時短」を合い言葉に常に無駄がないように努力を続けています。しかし、糖尿病を専門的に高い精度で確実な診断を行うためにはどうしても検査が必要になります。それも今の身体の状態に合わせたよりベターな治療を行うためには、毎回来院時に検査を行わなければなりません。弊院の各種検査機器は最新なもので結果がより速く正確にでるものを揃えていますが、それでも最短40〜50分はかかってしまいます。その待ち時間の間に「食事カウンセリング」を行ったり、ゆっくりリラックスしてもらえるような待合室を用意しています。また、どうしても外さなければならない急用の場合は受付に相談してみてください。
治療が嫌になった
もしあなたがそう感じているのであれば、弊院のスタッフに相談してみませんか。あなたを嫌にさせてしまっている問題を解決できるかもしれません。弊院は糖尿病専門クリニックです。通院している人はみんな糖尿病を悪化させないように頑張っています。あなたが今抱えている問題は、あなただけではなく他の人も抱えているかもしれません。弊院では「じぶんみがきグランプリ」という企画をやっています。通院している人の中から3名を選び出し、看護師や管理栄養士がその人のどこが素晴らしいのかを表彰しています。院内にも貼り出ししていますが、ウェブサイトでも公開しています。
http://meinohama.futata-cl.jp/karadamigaki/jibunmigaki.html
もしかするとなにかのヒントを得られるかもしれません。
治療をやめてもさほど変わらないと思う
確かにしばらくは変わってないと感じるかも知れません。そして治療に行かなくてよいことで悩みがひとつ消えるかも知れません。でもそれは今だけかも知れません。糖尿病の治療をやめてしまうことは定期的な検査を行わなくなることでもあり、検査を行わないことで、自身の体の状態が判らなくなってしまいます。それでも、しばらくの間は何も変わらないように感じるかも知れません。治療のことをすっかり忘れてしまった時、突然変化が起きるかも知れません。それが糖尿病が悪化し、糖尿病合併症になってしまっていたら・・・。糖尿病の特徴として、自覚症状が少ない点が挙げられます。糖尿病はゆっくりゆっくり、本当にゆっくり進行していきます。だから治療もしっかりしっかりやっていくのです。食事も運動も一度にたくさんやるのではなく、しっかりしっかりコツコツとひとつずつ積み上げていくのです。自分の身体に起きた病気を治療するかしないかはあなたが決めます。もししっかりと治療していきたい!と願うのであれば私たちは全力でサポートします。
★ぶー!ポイント★
治療に疲れてしまう。
それは誰にでも起きることだと思います。そんな時、相談してもらえるような管理栄養士でありたい、と私は考えています。
糖尿病の治療、食事や運動、薬も含めてどれも「あなた自身」が行うことばかりです。でも、決してあなたはひとりではありません。私たち糖尿病治療を専門とするスタッフが傍にいます。それを忘れないでください。お願いします。
ー適材適食ー
小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。