2022年8月、弊院二田哲博クリニック[ 福岡姪浜 ]院長 下野大が企画、編集した月刊 糖尿病が発刊されました。
題 名:月刊糖尿病145号(Vol.14 No.5 2022)
特 集:糖尿病治療 次の一手を考える
企画編集/下野 大
サイズ:A4変型判/96頁/全ページカラー印刷
価 格:定価4,400円(本体4,000円+税10%)
コード:ISBNコード:978-4-287-82142-8
発行元:医学出版
タイトルの通り、糖尿病治療に関わる医療従事者向けの内容となっています。
糖尿病治療 次の一手を考える
「次の一手を考える」.日々の糖尿病診療のなかで,患者のおかれている状況を少しでもよくするために,新たなストラテジーを考える必要性に迫られることはよくあるのではないだろうか.たとえば,目の前の患者について血糖コントロールをよくするためにどうしたらよいだろうか,何か続けやすい食事の工夫や運動はないだろうか,きちんとコミュニケーションをはかれているだろうか,使用している薬剤は適切だろうか,患者のQOLを向上するために何か工夫ができないだろうか,私たちは日ごろからたびたび自問している.そしてその際に,次の一手が遅れてしまうClinical Inertiaを避ける努力も必要である.
昨今,新型コロナウイルス感染症対策のため,生活をとりまく環境は大きく変化した.これまでの食事療法や運動療法が継続できなくなったり,生活における糖尿病治療のプライオリティ(優先順位)や心理的背景が変わってしまったりしている場合も多く見受けられる.このような変化をとらえるためには,診療のなかでしっかりと傾聴すること,対話をすることが大事である.生活環境が変わったとしても,その状況にあった治療法を提案できるかもしれない.本特集では,継続できる食事療法や運動療法,そして患者とのコミュニケーションにおいて大事なコーチングについてエクスパートの先生方に解説いただいている.
また,糖尿病の薬物療法(薬剤の種類やデバイスなど)が進歩したことによって,目標とする血糖コントロールを達成することは以前よりやりやすくなったと考えられる.しかし,薬物療法をうまく活用するためには,適切なタイミングで適切な治療を行うことも重要である.薬物療法のなかでも比較的新しい知見が得られている,または薬剤や投与方法に工夫がなされ臨床的有用性が期待される,DPP-4阻害薬,SGLT2阻害薬,GLP-1受容体作動薬,そしてインスリン治療について詳しく解説いただいた.これから薬物療法を選択する際,ぜひ参考にしていただきたい.
『糖尿病治療ガイド2022-2023』(日本糖尿病学会編著)において,糖尿病治療の目標は「糖尿病のない人と変わらない寿命とQOL」の達成であるとされている.この目標を達成するためには,高齢化などで増加する併存症の予防・管理を行い,社会的不利益がないような取り組みを行うことも重要である.
本特集では糖尿病診療における地域医療やアドボカシー活動について経験豊かな先生方に解説いただいている.診察室や一医療機関を超え,糖尿病治療の目標を達成するための活動につなげていただければと思う.
本特集を日常の糖尿病診療における「次の一手を考える」際の一助にしていただけると幸いである.下野 大(二田哲博クリニック姪浜 院長)
院長の下野曰く『企画編集の立場として、信頼のおけるメンバーに執筆いただきました』の言葉通り大変密度が濃い内容となっています。
▼月刊糖尿病 #145 目次
1)糖尿病治療におけるClinical inertiaとReverse Clinical Inertiaを考える
佐藤 秀一 先生(二田哲博クリニック[福岡天神] 院長)
2)コロナが生活を変えた.管理栄養士が今すべきこと,とはなにか
小園 亜由美(二田哲博クリニック 栄養部士長 管理栄養士)
3)実践できる,継続できる,運動療法
松田 拓朗 先生(福岡大学病院 リハビリテーション部 健康運動指導士)
4)コーチングで目標を達成する
松本 一成 先生(松本メディカルコミュニケーションズ 代表)
5)広がった,糖尿病薬物療法の選択肢
下野 大 先生(二田哲博クリニック[福岡姪浜] 院長)
6)DPP-4阻害薬の臨床的有用性
寺脇 悠一 先生(二田哲博クリニック[福岡姪浜] 副院長)
7)SGLT2阻害薬の臨床的有用性
髙橋 佳大 先生(岐阜大学大学院 医学系研究科 糖尿病・内分泌代謝内科学/膠原病・免疫内科学 医長)
藤澤 太郎 先生(岐阜大学大学院 医学系研究科 糖尿病・内分泌代謝内科学/膠原病・免疫内科学)
矢部 大介 先生(岐阜大学大学院 医学系研究科 糖尿病・内分泌代謝内科学/膠原病・免疫内科学 科長)
8)GLP-1受容体作動薬の臨床的有用性
窪田 紗希 先生(岐阜市民病院 糖尿病・内分泌内科)
丸山 貴子 先生(岐阜市民病院 糖尿病・内分泌内科 総合内科部長/健康管理センター長)
山田 浩司 先生(岐阜市民病院 糖尿病・内分泌内科)
矢部 大介 先生(岐阜大学大学院 医学系研究科 糖尿病・内分泌代謝内科学/膠原病・免疫内科学 科長)
9)インスリン治療の進歩
澤木 秀明 先生(澤木内科・糖尿病クリニック 院長)
10)次の一手としての病診連携
赤司 朋之 先生(社会医療法人シマダ 嶋田病院 内科部長(糖尿病))
11)ハッピーライフ with 糖尿病〜スティグマとアドボカシーを考える〜
野見山 崇 先生(順天堂大学医学部付属静岡病院 教授)
時代の大きな潮流の中、私たちの生活もまた大きく変化しつつあります。そして私たちが日々向き合っている糖尿病は生活の変化が大きく影響してきます。変化と共に医療も変化していかなければなりません。何をしたらいいのか。そんな疑問の答えが見つかるかも知れない、そんな一冊だと私は考えています。
▼詳細・購入
二田哲博クリニック[ 福岡・姪浜 ]院長 下野大は以下の書籍にも寄稿しています。
Question 4 インスリン治療に移行するタイミングは?
『クリニカルクエスチョンで学ぶ糖尿病治療薬 糖尿病治療の新しい潮流 現場の疑問を解決 薬物治療編』medicina Vol.59 No.1 2022-1 96-97
Question 5 外来インスリン導入の設計図:基礎補充から?摂食時補充から?
『クリニカルクエスチョンで学ぶ糖尿病治療薬 糖尿病治療の新しい潮流 現場の疑問を解決 薬物治療編』medicina Vol.59 No.1 2022-1 98-100
Question 8 SGLT2阻害薬:使用する優先順位は?
『クリニカルクエスチョンで学ぶ糖尿病治療薬 糖尿病治療の新しい潮流 現場の疑問を解決 薬物治療編』medicina Vol.59 No.1 2022-1 108-110
Question 9 SGLT2阻害薬は心不全併存例では必須なのか?
『クリニカルクエスチョンで学ぶ糖尿病治療薬 糖尿病治療の新しい潮流 現場の疑問を解決 薬物治療編』medicina Vol.59 No.1 2022-1 111-113
Q 70代女性で、「やせたい」と希望する糖尿病患者の運動指導はどのようにしたらよいでしょうか。
必読・ハイリスク者への運動指導79 月刊『健康づくり』2022.2
Q 著しい視覚障害がある高齢等患者の運動指導はどのようにしたらよいのでしょうか。
必読・ハイリスク者への運動指導80 月刊『健康づくり』2022.3
アドボカシー活動って何?具体的にはどんなこと?
糖尿病ケアプラス 2022 Vol.19 no.4 23-25
★がぉー!ポイント★
蒼々たるメンバーの中、管理栄養士としてコロナ禍に於ける食事療法についてをテーマに私も寄稿させて頂きました。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。