毎月季節の野菜を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役菜」。
私は健康なカラダづくりに役立つ野菜を【役菜やくさい】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える野菜たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。12月の役菜はダイコンです。
ダイコンと言えば東京農業大学の応援歌『大根踊り』が有名(!?)ですが、とても馴染み深いダイコンについて観ていきたいと思います。
緑黄色野菜で淡色野菜。
ダイコンは葉の部分は緑黄色野菜、白い根の部分は淡色野菜で、食べる部分によって得られる栄養が違う野菜です。葉にはβ―カロテン、ビタミンC、ビタミンE、カリウムやカルシウムなど多くの栄養素を含んでいます。一方、淡色野菜の白い根の部分は主に水分と食物繊維なのです。
ダイコンの主な「役菜」栄養成分
β―カロテン 抗酸化作用、免疫力強化。
ビタミンC 抗酸化作用、風邪予防、美肌効果。
アミラーゼ 消化を助ける、胃酸過多、胃もたれ解消。
イソチオシアネート 発がん予防、腫瘍化予防。
食物繊維 腸内環境を整える。
β―カロテン(葉:抗酸化作用、免疫力強化)
100gあたりカロテンが600µg以上含まれていると緑黄色野菜になります。ダイコンの葉には4400µgとカボチャよりも多く含まれています。β-カロテンは体内で【ビタミンA】に変わり、体内で異常な活性酸素の働きを抑える「抗酸化作用」を持っていて、同時に「免疫力を高め」健康を維持してくれます。
同じくβーカロテンは11月の旬の役菜として紹介したニンジンにも多く含まれています。
ビタミンC(葉:抗酸化作用、風邪予防、美肌効果)
意外にもビタミンCが多いのが葉の部分。100gあたり53mgとブロッコリーとほぼ同じだけ含まれています。
胃薬の成分となる物質。
根の部分には膵液や唾液にも含まれている消化酵素の「アミラーゼ」などを含んでいるので揚げ物など胃に負担のかかる料理とも相性がとてもよく、その効果は胃薬の成分にもなるほどです。
ダイコンはすり下ろした方がいい。
ニンジンはすり下ろすとアスコルビナーゼという酵素が活性化してビタミンCを壊してしまうのですが、ダイコンの根の部分をすり下ろすと化学反応を起こして【イソチオシアネート】という酵素が生まれます。すり下ろしたダイコンの「辛みの原因」でもあるこのイソチオシアネートは発がんや腫瘍になるのを防ぐ効果があり、抗がん剤としても使われている成分です。熱に弱いのでおろしたダイコンは生で食べるようにしましょう。揮発性が高くすぐに空気中に逃げてしまうので作り置きはオススメできません。またダイコンとニンジンを使った「もみじおろし」は食い合わせがよくありません。
大根おろしの5つのコツ。
①葉に比べ根の先端の方が約10倍多く含んでいる
②より若い大根の方が多く含んでいる
③冬場より夏に採れる大根の方が多く含んでいる
④切り口をおろし金に直角にあてて円を描くようにおろす
⑤時間が経つと栄養価が下がるので食べる直前にすり下ろす。
以上5つのポイントでイソチオシアネートをより効果的に増やすことができます。
ダイコンの上手な選び方。
①色白
②触れた時に硬く張りがある
③みずみずしい
④ずっしりと重い
⑤葉付きのものは葉がしゃきっと活き活きしたもの。
*注意*二股になっているもの等は栄養状態が悪いものも多いので避けましょう。
オススメは切り干し大根。
天日干しした切り干し大根は生のダイコンに比べてカルシウム15倍、鉄32倍、ビタミンB1とB2は10倍まで増加。水分が抜け栄養価がぎゅっと凝縮されていますのでオススメ!ただ消化酵素のアミラーゼはなくなります。
いかがでしたか?旬のダイコン。最近では大根おろしを使ったかわいいアート!?が密かなブーム?!です。
実は私も挑戦しています↓
★ぶー!ポイント★
煮物におでんに鍋にとこれから寒さが厳しくなる季節にぴったり!のダイコン。ぜひ、旬のダイコンを色色とアレンジして楽しんでください。
ー適材適食ー
小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。