今週のお題「感動するほどおいしかったもの」

毎月季節の魚介を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役魚」。
私は健康なカラダづくりに役立つ海の幸・魚介類を【役魚やくぎょ】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える魚たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。4月の役魚はホタルイカです。

ホタルイカ
ホタルイカの旬は3月から5月です。

ホタルイカ(螢烏賊/蛍烏賊、学名Watasenia scintillans (Berry, 1911))
ツツイカ目(開眼目)ホタルイカモドキ科に属するイカの一種である。軟体動物類の深海性発光動物。「コイカ」あるいは「マツイカ」ともよばれ、胴長は雄4cm・雌6cm、重さ10gと小さい[要出典]。後述のように食用とされる。富山県滑川市の『滑川市のさかな』に指定されている(1991年7月30日より)。

ホタルイカの名前の由来
ホタルイカという名前は「ホタルのように光るイカ」というのは何となくわかりますね。

さて、皆さんに馴染みのある「ホタルイカ」という呼び名ですが、これは明治38年(1905)5月、ホタルなどの発光生物の研究者だった東京帝国大学教授・渡瀬庄三郎が、研究のため滑川を訪れたときに命名したと言われています。しかし、明治20年頃の完成と推定される「越中遊覧志」という史料に「土地ニテ小烏賊ト云ヒ、蛍烏賊トモ呼フ」との記載があり、ほかにも明治34年の新聞に「蛍烏賊」と書かれた記事も見られます。このことは、渡瀬が滑川を訪れる以前から、地元では「ホタルイカ」という呼び名が存在していたことを示しており、研究者・渡瀬の影響力によってこの呼び名が定着して広まったと考えられそうです。
元々地元でホタルイカと呼ばれていたが、それが研究者が訪れた際にホタルイカという呼び名が定着、有名となった、ということのようです。

ホタルイカが光る理由

ホタルイカの語源?となったホタル。

ホタル(蛍、螢)
コウチュウ目(鞘翅目)・ホタル科 Lampyridae に分類される昆虫の総称。発光することで知られる昆虫であり、ホタルという名もその様から「火(ホ)を垂(ル)」として呼ばれるようになったが、ほとんど光らない種が多い。
ホタルが光る理由は「仲間同士のコミュニケーション」「外敵からの警告」「交尾相手へのアピール」などらしいですが、ホタルイカはなぜ光るのでしょうか。
ホタルイカが光る理由
ホタルイカが発光する理由は、外敵に対する威嚇・幻惑・仲間とのコミュニケーション・餌寄せのためなどとされている。発光器は3種類、すべて腹側に付いている。いちばん大きくて強く光る発行器は、一対の腕の先に3個ずつあって青白く光る。皮膚にある発光器は、 ひれを除く全身に700~1,000個あって青と緑の光を満天の星のように放つ。そして両眼の周りに5個ずつある。
触手の先には、それぞれ3個の発光器が付いている。何かに触れると発光するため、敵を脅すものではないかと考えられているが、光によって敵を誘導し、ただちに消灯してその場から逃げるという、いわば囮としての機能があるともされている。体表の海底側(腹側)には細かい発光器があり、これは海底側にいる敵が海面側にいるホタルイカを見ると、海面からの光に溶け込み姿が見えなくなるカウンターイルミネーション効果の役割を果たしている。海面側から海底に向かって見た場合はこの効果が働かないため、体表の海面側(背中側)には発光器はほとんど存在しない。
本家の「ホタル」と光る理由は似ているようです。
こちらがホタルイカの光る様子の動画です↓
とても幻想的、ですね。

ホタルイカが光る仕組み
ホタルイカはどうやって光っているのでしょうか。

ホタルイカの発光物質
発光反応の全容は未解明である。しかし、仕組みは 発光素(ルシフェリン)・発光酵素(ルシフェラーゼ)などが化学反応を起こすことによる。「セレンテラジンジサルファイト化合物(coelenterazine disulfate、二硫化セレンテラジン化合物、ルシフェリンの一種)によると考えられており、アデノシン三リン酸(ATP)とマグネシウム(Mg)が大きく関与している」。また、「発光反応の最適温度は、5℃でホタルイカの生息適温と対応している」などが判明している。

ホタルイカの光は冷たい光
ホタルイカは蒼い神秘的な光を放ちますが、その光は普通の光と違うようです。

発光物質=ルシフェリンで発光するホタルイカ。普通発光する場合、例えばLEDじゃない電球は光っている時に触ると場合によりやけどをするほど熱を持っていますが、ホタルイカの光は「冷光」と呼ばれ、熱を伴わないそうです。

ホタルイカの一生はたったの「1年」

ホタルイカは春に生まれ、翌年の春に一生を終えるそうです。
ヒトからしたらとても短い時間のように思いますが、こんなことが起きるそうです↓

ホタルイカの身投げ

ホタルイカの身投げとは、富山湾で春に発生する自然現象で、産卵のために浅瀬に上がったホタルイカがそのまま浜辺に打ち寄せられる様子のことらしく4月から5月末まで行われるそうです。
こちらがその様子、だそうです。
波打ち際に沿ってどこまでも続く光る蒼い道のようで、とても幻想的ですね。

糖尿病(ダイアベティス)とホタルイカ!?
ホタルイカと糖尿病(=ダイアベティス)。まったく関係ないようですが、今、研究が進んでいるという記事を見つけました。

発光物質 「糖尿病腎症」早期診断に利用可
富山県特産のホタルイカの光が医療に役立つのでは−。富山大の石本哲也助教(51)らの研究グループは、糖尿病の合併症「糖尿病腎症」の早期診断に、ホタルイカの発光物質「ルシフェリン」が利用できることを発見した。分子神経科学が専門の石本助教は「医療分野での実用化に向けた研究を続けたい」と力を込める。
体長五センチ前後のホタルイカは、刺激を与えると、ルシフェリンとタンパク質「ルシフェラーゼ」が体内で反応し、腕などの発光器が青白く光る。富山湾では毎年三月に漁が解禁され、海面で光り輝く幻想的な風景が春の風物詩としても知られる。
石本助教は浜辺に打ち上げられたホタルイカが強く光るのを見て「発光の仕組みを何かに役立てられないか」と思い、三年ほど前、研究に取りかかった。「夏休みの自由研究のような気持ちで始めた」と振り返る。
糖尿病腎症は糖尿病によって腎臓の機能が低下し、体内の余計な水分や老廃物を尿として排せつする機能が弱まる。初期は無症状で進行するため、気付きにくく、重くなると、人工透析が必要になることもあり、早期診断が重要とされる。
進行の検知には、患者の尿に混ざるタンパク質「アルブミン」の濃度を調べる手法がある。グループはホタルイカのルシフェリンがアルブミンと反応し、緑色に発光することを発見。実験を重ね、アルブミンの濃度が高いほど、発光も強くなることを確かめた。「予想外の発見に驚いた」という成果をまとめた論文は今年七月、スイスの科学誌に掲載された。
従来の検査方法に比べ、作業工程が長くなるなど、実用化に課題もある。「ホタルイカが医療に役立つという報告例はない。医療技術の向上につながれば」と話す。
まだまだ研究途中とのことですが、糖尿病腎症の早期発見にホタルイカの持つ機能が役立つということであれば、これは期待が高まります!

ホタルイカの発光器の数
蒼く光るホタルイカ。光るための「発光器官」があるのですが、どれくらいあるのでしょうか。

ホタルイカには体全体で約700〜1000個ほどの発光器があるとされています。
腕発光器
長径1.4mm、短径1mmで、新鮮な標本の発光器内部には、淡いコバルトにエメラルドグリーンを加えたような色彩の美しい物体がある。その表面には2~3 層の相重なる大型の濃褐色色素体があり、絶えず収縮や拡張をしている。その光はプルッシアン・ブリューに僅かのバープルを加えた美しい色で、光力は強く他の発光器を幻惑するに足る。眼発光器
眼蓋を破り露出させた眼球の腹側に、縦に5個が1列で並んでいる。両端の2個が間の3個より少し大きい。発光器の色は白く真珠のようだが、発光は弱く、色も皮膚発光器と類似している。皮膚発光器
胴部と頭部の腹面及び漏斗の腹側両面、さらに第3、第4 の両脚に微小な発光器が多数散在している。大きさには多少の差があるが、いずれも形状や構造が等しく同一と見なせる。外套膜(がいとうまく)にあるものは腹側半分に限られ、配列は不規則だが各間隔はほとんど等しく、側方と後方へ行くにしたがい多少粗となる。新鮮な発光器の中央にある美しい発光体は、初めは藤紫あるいは紺青だが、しだいに変色して緑色を帯びる。発光器の周りを濃褐色或いは暗紫色の色素体が覆っており、中央部が目の瞳孔のように開いており、これは多少伸縮する。発光は腕発光器に比べ色白く、光力は甚だ劣る。
体全体が光るのかと思いきや、全身各部位にある発光器官がそれぞれが光を放つという感じなんですね。

ホタルイカの専用ミュージアムがある!?

ほたるいかミュージアムは、豊かな自然に囲まれた滑川市の文化・観光拠点、地域のシンボルとしてつくられた、世界にひとつの施設です。海と空、そして立山連峰の雄大な景色を望めるガラス張りのマーケットホール、レストランのゾーンと、ほたるいかの不思議な世界と深海を思い起こさせる、幻想的な光で演出されたミュージアムゾーンから成り立っています。ほたるいかの発光ショーが見られる「ライブシアター」や、深層水で飼育している富山湾の生きものとふれあえる「深海不思議の海」をはじめ、ほたるいかの生態や棲息する富山湾の神秘について楽しく学べる、体験型のミュージアムです。
さすがホタルイカで有名な富山!ですが、実は富山県はホタルイカ水揚げ量としては全国1位ではないそうです!?

ホタルイカ水揚げ量第1位は富山県じゃない?!

富山湾といえばホタルイカ!
富山県で有名な海の幸として、最初にホタルイカを挙げる人はかなり多いでしょう。しかし、これだけ有名でありながら、ホタルイカの漁獲量1位は富山県ではありません。2009~2017年の9年間において、8回も漁獲量全国一となったのは兵庫県です。ホタルイカを漁獲しているのは主に、兵庫、鳥取、京都、福井、石川、富山、新潟の7府県。しかし、兵庫県すら押しのけて富山のホタルイカがずば抜けて有名であることには、いくつかの理由があります。富山湾でホタルイカがとれる理由
ホタルイカは、富山湾や山陰沖で孵化した後、対馬暖流に乗って北上し、日本海の大和堆と呼ばれる場所へと辿り着きます。そこで成長し、産卵期には再び山陰沖へ南下するのが主流ですが、そこから分かれてまた富山湾へ入ってくるものがあるといわれています。富山湾のホタルイカの特徴
富山湾のホタルイカが普段生息するのは、水深約200~600mの深海。それが夜になると、産卵のために浅い海へ浮上してきます。夜中から未明にかけて産卵した後、夜明けとともに再び深海へ降下して岸を離れるという行動を群れごとに繰り返します。海底地形が急に深くなっているという富山湾の特徴は、ホタルイカにとって岸に寄りやすい理由でもあるのです。オスはメスに精子を渡すとそのまま死んでしまうため、夜に浮上してくるのはメスだけです。富山湾のホタルイカがおいしい理由
富山県の主な漁法は定置網漁で、県の漁獲量の70%以上を占めています。これは沿岸に敷設されている定置漁場へ行き、網に入った魚を水揚げする漁法です。富山県で考案されて各地に伝わったといわれ、定置網によるホタルイカ漁は全国でも富山でしかおこなわれていません。そして沿岸に設置されたこの網にかかるのは、産卵期の丸々太ったメスだけです。
なんと、ホタルイカ水揚げ量第1位は兵庫県、なんですね。

天然記念物のホタルイカを食べていいの?
ホタルイカが国の天然記念物に指定されているって知っていましたか?天然記念物なのに食べてしまって大丈夫なのでしょうか。

天然記念物のホタルイカを食べていいの?
天然記念物に指定されているのは「富山県のホタルイカ群遊海面」で、ホタルイカそのものが天然記念物指定でないため、食べてもよいということのようです。
ちなみに指定「海域」は、富山湾の常願寺川河口左岸から東へ魚津港に至る15kmの間の満潮時の沖合1,260mまでが範囲が、国指定の特別天然記念物となっているそうです。富山市から魚津市にかけて、ホタルイカ群遊海面が国の天然記念物になっています。「えっ?ホタルイカ群遊海面が天然記念物?すると、滑川の海岸でホタルイカをとって食べると、罰せられるの?」ご安心下さい。ホタルイカの種を指定しているのではなく、海面の指定ですので、とって食べても大丈夫です。しかし、ホタルイカが来なくなるような環境汚染には目を光らせましょう。当然、自分たちもマナーは守って。
んーーー、なんだかスッキリしませんが、食べてしまっても大丈夫、のようです。

ホタルイカがホタルイカモドキ科であるナゾ
ホタルイカは「ホタルイカモドキ」科に分類されているのは何故なのでしょうか。

実はこのホタルイカ、分類が非常にややこしいんです。正式な分類は、「ツツイカ目ホタルイカモドキ科ホタルイカ属」となっています。「えっ、ホタルイカの上位にホタルイカモドキがあるっておかしくない?」と思いますよね。でも、これで合ってるんです。
ホタルイカは元々富山では「マツイカ」と呼ばれていましたが、1905年に蛍のように光るということで「ホタルイカ」と正式に名付けられました。その後1914年にホタルイカによく似たイカが発見され、それが「ホタルイカモドキ」と名付けられたんです。
ここまではよくある話ですが、ここからがややこしいんです。
実はそれよりもずっと前、ヨーロッパでも光るイカが発見されていました。そしてそのイカがホタルイカモドキに近い種類だったことから、生物の分類はヨーロッパを基準とするというルールに従って、ホタルイカモドキの方が上位に位置づけられることになってしまったんです。そしてその後1987年にまた新たに光るイカが発見されましたが、そのイカは従来の2種類とは違うということから、「ニセホタルイカ」と命名されたんです。ホタルイカが「ホタルイカモドキ科」ってなぜ!? 実は「ニセ」もいる謎ファミリー | AERA dot. (アエラドット)

ホタルイカの主な栄養素

ホタルイカ(生)の主な栄養素 100 gあたり
- エネルギー・・・・・・・・・・・・・・74 kcaL
- 水分・・・・・・・・・・・・・・・・・83.0 g
- タンパク質・・・・・・・・・・・・・・11.8 g
- 脂質・・・・・・・・・・・・・・・・・3.5 g
コレステロール・・・・・・・・・・・240 mg- 炭水化物・・・・・・・・・・・・・・・0.2 g
- ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・270 mg
- カリウム・・・・・・・・・・・・・・・290 mg
- カルシウム・・・・・・・・・・・・・・14 mg
- マグネシウム・・・・・・・・・・・・・39 mg
- 鉄・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.8 mg
- 亜鉛・・・・・・・・・・・・・・・・・1.3 mg
- 銅・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.42 mg
- ナイアシン・・・・・・・・・・・・・・2.6 mg
- ビタミンB&・・・・・・・・・・・・・・0.15 mg
- ビタミンB!2・・・・・・・・・・・・・・14.0 µg
- ビタミンC・・・・・・・・・・・・・・・5 mg

ホタルイカの注目したい栄養素

タンパク質
ホタルイカには、100gあたり11.8gのたんぱく質が含まれています。たんぱく質は肉類、卵類、豆類などの食品に含まれ、主に筋肉や臓器、皮膚など、体を構成する重要な栄養素です。不足すると、体力、免疫力が低下するおそれがあるため、積極的に摂取するようにしましょう。毎食、片手のひらの量を食べることが理想ですよ。ビタミンA
ホタルイカには、100gあたり1,500μgのビタミンAが含まれています。ビタミンAには、目や皮膚の粘膜を健康に保つはたらきがあります。ホタルイカのほかに、レバーやうなぎ、チーズ類に多く含まれていますよ。不足すると、薄暗い場所でものが見えにくくなったり、目の角膜や皮膚が硬くなるおそれがあるので注意が必要です。ビタミンB2
ホタルイカには、100gあたり0.27mgのビタミンB2が含まれています。ビタミンB2はリボフラビンのことをいい、体内に吸収されたリボフラビンは糖質、たんぱく質、脂質の代謝に関わります。「発育のビタミン」とも呼ばれ、発育に重要な役割もありますよ。エネルギーを消費する人ほどビタミンB2は必要なので、活動量が多い人は積極的に取り入れましょう。ビタミンB12
ホタルイカには、100gあたり14.0μgのビタミンB12が含まれています。ビタミンB12は血液細胞を良好に保ったり、DNAの生成を助けたりする栄養素。ホタルイカのほかに、レバーや二枚貝などに多く含まれますよ。十分に摂らないと疲れやすくなったり、食欲が出なかったりします。鉄
ホタルイカには、100gあたり0.8mgの鉄が含まれています。鉄は、赤血球のヘモグロビンに多く存在する栄養素です。鉄が不足するとヘモグロビンが減り、さらに赤血球の数が減ってしまいます。そうすると酸素が十分に供給できなくなり、頭痛や食欲不振を引き起こしやすくなります。とくに女性は月経で血液が減りやすいので、積極的に摂るようにしましょう。タウリン
貝類やイカ、タコに多く含まれるタウリン。タウリンは、生きていく上で必要な栄養素だと考えられています。消化管でコレステロールの吸収を抑えたり、心臓や肝臓の機能を高めたりするといった作用がありますよ。体内で作ることができますが、量が少ないので食品から摂取するようにしましょう。

★にょろにょろポイント★

小さな小さな、手の平にすっぽり収まるホタルイカ。でも蒼く光ったり、寿命が1年だったりと、今回意外なホタルイカの素顔を知ることができました。今が旬のホタルイカ、見かけたらぜひお楽しみください★
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級

*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。

