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1つの話題を追いかけていったら、次の話になって、それも追いかけていったら、また別の話が出てきて。今回の話はそんな次の話に続く話です。
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前回は
- 植物の色素=アントシアニン。
- アントシアニンが赤や紫や青などの色となっている。
- アントシアニンは抗酸化物質。
- 抗酸化物質とは身体が錆びないように抵抗する働きのこと。
- アントシアニンは色々な果物や野菜に含まれている。
という話でした。今回は色のところから始めます。
前回お話したアントシアニンは植物を赤、紫、青色にする色素でした。でも、それは一部で、植物の色、葉っぱを描く時には誰もがミドリ色を使いますよね。
ところで、なぜ葉っぱは緑色なんでしょう。
その謎を解くためには色について観ていかなければなりません。
福岡・博多の名産品のひとつに、めんたいこがあります。
めんたいこ、何色に見えますか? そう赤とかピンクとかオレンジとか、赤系の色に見えますよね。なぜ赤系の色に見えるのかと言うと、めんたいこが赤系の色を反射しているからです。
図で説明します。
太陽の光って白く感じると思います。(太陽を直接見ると目を痛めることになりますので絶対に避けてください)白く感じる光の中に様々な色が隠されています。虹を見たことがあるでしょうか。虹が7色に見えるのは、空中に漂っている水分がレンズの代わりとなって白い光を分割しているからです。その白い光が葉っぱに当たると、葉っぱは緑色に見える光だけを反射して、残りの色は全て吸収します。その反射した光が私たちの目には緑色に見えるのです。ハッキリくっきり鮮やかな緑に見える時はその分多くの緑色の光を反射し、ボンヤリくすんだ緑に見えるものはその分反射する緑色の光が少ないためなのです。今は葉っぱを例に挙げましたが、リンゴは赤色、レモンは黄色の光を反射しているのです。(ちなみに信号機のように自らが光源となっている場合は違います)
そして植物の緑色の素となっているものが葉緑体です。
葉緑体(ようりょくたい、英: Chloroplast)
光合成をおこなう、半自律性の細胞小器官のこと。カタカナでクロロプラストとも表記する。
葉緑体は、光合成を行います。水と二酸化炭素を光を使って糖に変える仕組みです。この葉緑体が画像を見ての通り緑色をしているのです。
ここでちょっと不思議な事に気がつきます。
「緑」をイメージする時、多くの人が森林など木々や葉っぱ=植物を連想すると思います。グリーンはとても清らかでナチュラルで穏やかで心が落ち着くそんな色に対するイメージまでも木々が連想の素となっているはずです。
でも「色」を考えると真逆なのです。葉っぱは緑色の光を反射している、つまり避けているのです。不思議に思いませんか?
実は最近の研究(筑波大学 2016年発表)で判ったことがあります。それは
晴れた日に最も強く降り注ぐ光は「緑」である
という事です。正確には波長域 550nm(=肉眼で緑色)なんだそうです。
ということは、植物は最も強く降り注ぐ緑色の光をわざわざ避けるために葉っぱを緑色にして反射している、ということになります。
でも植物は光合成をすることで生きています。光合成にはもちろん光が必要です。それなのに、最も効率良く手に入る緑色の光を避けるのってなんだかおかしな気がしませんか?
ここで白い光に含まれている色についてみていきます。図で説明します↓
色を決めるのは波長、つまり波です。波には山と谷があって山から山の間の距離=幅をnm=ナノメートルという単位で表します。 上の図で言うと、紫色は380nm、赤色は780nmとなっていて780よりも380の方が短い=波がたくさん細かくあるという事になります。ちなみにだいたい380nm〜750nmの間を可視光線と言って人の目で認識できる光の波長です。ちなみに380nmより短い波長に紫外線、830nmより長い波長を赤外線と言います。
葉っぱの色はというと、だいたい500nm〜570nmあたりの緑色に当たる光を反射していることになります。太陽光の最も強い光が550nmという事でしたからまさに狙って避けていることになります。
ではどの波長(=色)の光を植物たちは好むのでしょう。記事から転載すると
葉緑体が緑色である理由が解明される! 光合成には最適な色の光があると判明 | ナゾロジー
上記の3つの図うち1番左の図「緑色植物」に注目してください。ちょっと判りにくいのでこの図をもとに作図すると、
↑こんな感じになると思います。多くの葉っぱは青色や橙色の波長の光を使って光合成をしているようなのです。
なぜ青色と橙色なのか。なぜ光合成が活発になる波長のピークが2種類あるのか。ここで疑問がまた増えてしまいました。
その答えは記事から引用します。
なぜ最も強い緑色の波長を避けているのか。
植物は太陽の光から逃げることができないため、晴れの日には一日中降り注ぐ光を受け続けなければなりません。動物で例えれば、閉じることのできない口に延々と食べ物を放り込まれるに等しい状態です。そのため、最も強く注がれる光をあえてスルーすることで、食べ過ぎても不調に陥らないダイエット食のような光を吸収していたのです。
確かに植物は素早く動くことはできません。なので光が強すぎるからと言って、日陰に隠れることも、日焼け止めを塗ることもできません。かと言って光が当たらないところだと光合成ができません。そのため、ちょうどいい光を得るために敢えて1番強い波長の緑色を避けている、ということのようです。
なぜ2種類の波長を取りこむようになったのか。
上の図のようにピークの間が短すぎるとき、外的な要因がない場合は常に中央の最適値とほぼ同じエネルギーが得られるのですが、外部的な光の増減(ゆらぎ)がある場合、適性値から遠ざかってしまいます。逆にピークの間が長すぎても、エネルギー変動幅が増加して、やはり最適値かた離れてしまいました。生物たちは長い時間をかけて、飲み込む光(の波長)の食べ合わせを調節して、出力されるノイズを減らした最適な吸収パターンを手に入れていたのです。
2つの波長を選ぶ時、赤と橙のように隣り合った波長よりも適度に離れた波長の方が効率がよく安定する、ということのようです。
日中の光の中にも青色や橙色の波長は含まれているのですが、なんとなく、青色は青空=晴れた日の光、橙色は朝夕=陽が昇り沈む時の光のようなイメージで、天気のいい日や実は朝夕に光合成してるのかなーとか思ってしまいます。
なんで葉っぱは緑色なんだと思う? の答えは
植物が自分のペースで効率よく安定して光合成をするためなんですね。
今回参考にした記事はこちら↓
(つづく)次回、大好評!葉っぱしか食べないゴリラがムキムキな理由のお話。
★ちゅー!ポイント★
果物が赤や黄、紫や桃色の色鮮やかなのは果実だから。野菜はその殆どが緑色。色で野菜や果物を考えてみるのも面白いです。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。