前回は「肥満」についての記事を紹介しました。
今回は「糖尿病」についてです。
厚生労働省は2017年の調査結果として、日本全国で
男性 184万8000人
女性 144万2000人
合計 328万9000人が糖尿病である、と発表しました。そしてその数は年年増える傾向にあるとしています。残念ながら糖尿病は特別ではなく身近な疾患になりつつあります。
そんな中、糖尿病のある人を住む場所=都道府県別に分け、地域なものを集計した記事を見つけましたので紹介します。
都道府県「糖尿病」ランキング
…最も患者の少ない健康な県は?
日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点を当てるのは、生活習慣病のひとつに数えられる「糖尿病」。
「糖尿病患者」が多い都道府県は?
昨年から世界を混乱に陥れている新型コロナウイルス。当初から基礎疾患がある人は重症化リスクが高くなるといわれてきました。また日本でも近いうちにスタートすることを目指しているワクチン接種においても、基礎疾患のある人を優先するとしています。厚生労働省が「基礎疾患」としているのは、以下の9つです。
1.慢性呼吸器疾患
2.慢性心疾患 (高血圧を除く)
3.慢性腎疾患
4.慢性肝疾患 (慢性肝炎を除く)
5.神経疾患・神経筋疾患
6.血液疾患 (鉄欠乏性貧血と、免疫抑制療法を 受けていない特発性血小板減少性 紫斑病・溶血性貧血を除く)
7.糖尿病
8.疾患や治療に伴う免疫抑制状態
8-1 悪性腫瘍
8-2 関節リウマチ・膠原病
8-3 内分泌疾患(肥満含む)
8-4 消化器疾患
8-5 HIV感染症・その他の疾患や治療に伴う免疫抑制状態
9.小児科領域の慢性疾患
上記の中で「糖尿病」は血液中の血糖値が慢性的に高い値を持続する疾患で、大きく1型糖尿病と2型糖尿病に分けられます。よく「糖尿病=生活習慣病」と言われますが、それは2型糖尿病のこと。食べ過ぎ・飲み過ぎや運動不足、ストレスなどが原因などといわれています。都道府県「糖尿病」ランキング…最も患者の少ない健康な県は? | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン
ということで早速見ていきましょう。
厚生労働省「令和元年国民生活基礎調査」によると、総人口に対して
「糖尿病」で通院する人の割合が最も少ないのが
「滋賀県」。対人口比で3.96%。
「沖縄県」4.13%、
「東京都」4.25%、
「神奈川県」4.27%、
「愛知県」4.34%
と続きます(図表1)。
一方で「糖尿病」の割合が高いのが
「青森県」6.18%。
「香川県」5.96%、
「岩手県」5.95%、
「北海道」5.76%、
「秋田県」5.69%
と続きます。47位の「青森県」は1位の「滋賀県」の約1.5倍強の糖尿病患者がいる計算です。また男女で比較すると、全国的には男性のほうが女性よりも1.5倍、糖尿病患者が多い計算になります。
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まず糖尿病で通院、治療を行っている人が少ない都道府県はいわゆる「大都市圏」を持っている印象です、逆に多い都道府県は「地方都市」という感じがします。
同調査で、ほかの生活習慣との関係もみていきましょう。
まず「飲酒」について。「毎日お酒を飲む」という人の割合は、全国平均16.44%。量は人それぞれ、日によってまちまちでしょうが、6人に1人は毎日晩酌を楽しんでいるという結果に。
一方で「飲まない(飲めない)」という人の割合は、全国平均34.94%。3人に1人はお酒を一滴も飲まない、または飲めないという状況です。このことからも、お酒の席で無理に飲ませようとするのはご法度だといえるでしょう。
都道府県別にみていきます。「毎日飲む」と豪語する人が最も多いのが「新潟県」で20.46%と、5人に1人の割合。
続くのが「秋田県」で20.30%。
「広島県」18.94%、
「宮崎県」18.81%、
「島根県」18.66%
と続きます。上位は清酒や焼酎などの生産地として名の知れたところが多く、住民もよく飲酒するという構図がみえてきます(図表3)。
一方、
「毎日飲む」という割合が少ないのが「沖縄県」で11.87%と意外な結果に。
「静岡県」14.67%、
「徳島県」14.89%、
「愛知県」14.95%、
「岐阜県」15.02%
と続きます。
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飲酒をする人が多い場所は銘酒の里、と書かれていますが、その通りかも知れません。
続いて「喫煙」について。
「毎日吸っている」という人の割合は、全国平均16.90%。
一方で「吸わない」人は74.47%。
喫煙者にとってはかなり肩身の狭い世の中だということが、この結果からも分かります。
都道府県別にみていきます。
「毎日吸っている」というヘビースモーカーが多いのが「北海道」で20.88%。
「福島県」20.54%、
「青森県」20.52%、
「佐賀県」19.59%、
「岩手県」19.46%
と続きます(図表4)。
一方、「毎日吸っている」という割合が少ないのが「奈良県」で13.68%。
「兵庫県」
「愛媛県」
「島根県」
「京都府」
と続きます。
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佐賀県が喫煙率の高い都道府県3位に・・・。喫煙する/しないの結果には、飲酒と違い都市的なものは見られませんね。強いて言えば西日本が非喫煙者が少ない、という感じでしょうか。
「糖尿病による通院者数」と
「お酒を毎日飲むという人の総数」
「煙草を毎日吸っているという人の総数」
の関係性をみていくと、相関係数はともに「0.99」。
極めて強い相関関係にあることがわかります。
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つまり、糖尿病の治療をしている人のほぼ全員が毎日お酒を飲むか、タバコを吸っているということです。
また糖尿病患者が一番少ない「滋賀県」は、
毎日飲酒する人の割合では34位、
毎日喫煙する人の割合では42位と、
糖尿病のリスクを高めるライフスタイルとは距離があるようです。
さらに総務省の「社会生活基本調査」でスポーツ行動者率(男女別や年齢別などの属性ごとの人口のうち、1年間の間に、スポーツを行った人の割合)をみていくと、「滋賀県」は全国5位。糖尿病の予防にもつながっていると推測されます(図表5)。
新型コロナウイルスの重症化リスクもありますので、糖尿病をはじめとする生活習慣病には気を使っていきたいものです。
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糖尿病は生活習慣病のひとつと言われています。飲酒や喫煙などの生活習慣がある人が少ない人が多い滋賀県は、糖尿病のある人も少ない。しかも、スポーツにも積極的で、結果、糖尿病のある人も少ないということです。
★モゥー!ポイント★
ここで紹介したのは〇〇県がエライ!〇〇県はダメだ!と言うためではありません。糖尿病に限らず、身体のためによい事をする習慣が地域的に根付いている、もしくは積極的な所では統計上「糖尿病になる人が少ない」ということが判ったという点に注目したいのです。
ーーー滋賀県じゃないからダメだ・・・
ではありません。思い立ったらいつでもできるのが生活習慣の見直し。今からでもできるんです!あなたにもできるんです!
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。