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適材適食 -てきざいてきしょく-

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2377食目「口に入れるものの安全性」注意したいポイントを再確認

今週のお題「名作」

今週のお題「お弁当」

「口に入れるものの安全性」注意したいポイントを再確認【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門二田哲博クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

紅麹サプリ事件。大きなインパクトと共に食の安全性について再度問われるきっかけとなりました。

紅麹サプリ事件(べにこうじサプリじけん)

2024年(令和6年)3月22日に発覚した、日本の製薬会社である小林製薬の製造した紅麹を原料とするサプリメントが原因と疑われる健康被害を多数出した事件である。

紅麹サプリ事件 - Wikipedia

すでに今回の事件は紅麹を口にしたことが原因ではないことは多くの人が知っていることだと思います。

「口に入れるものの安全性」注意したいポイントを再確認【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門二田哲博クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

ベニコウジカビ(紅麹黴、学名:Monascus purpureus)

糸状菌の一種である。

ベニコウジカビ - Wikipedia

先日ネットで食べものに安全性についての記事を見つけましたので、その内容を見ていきたいと思います。

なお、記事は筆者の個人的な意見が含まれていますので、予め理解の上読み進めてください。

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じつは「紅麹」よりも圧倒的にヤバい…大事故が起きていないのが不思議な「最近、増えている身近な食べ物」

小林製薬の紅麹サプリメント事件。原因が本当に紅麹なのかがわからない中で、マスコミ報道が過熱、紅麹という言葉だけが広まり、まったく関係のない麹味噌などの不買まで起きてしまった。

実際の犯人が判明するにはまだ時間はかかりそうだが、これを機会に、発酵=健康という単純な風潮も見直されると良いかと思う。「発酵生活」と呼び合い、非常にラフに自宅で発酵食品を作るし人が増えているからだ。自宅で作る発酵食品は、今まで大事故が起きていないのが不思議なくらい、管理が雑だ。

 

紅麹に罪はない

小林製薬の紅麹サプリメントが腎臓病を悪化させたという話が、なかなか収束しない。紅麹自体に問題はなく、小林製薬社製の紅麹原料を入手している企業173社に対して、厚生労働省が聞き取り調査を行い、過去に健康被害が起きた例は皆無であることが判明した。

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紅麹は昔から味噌や醤油、酒などに広く使われてきた。健康被害があるのであれば、とっくに出ているはずで、問題は紅麹ではなく該当するサプリメントの何らかの成分か、あるいは被害そのものがなかった可能性がある。小林製薬によれば、サプリメントにより死亡したとされる5人のうち3人にはガンなどの既往症があったという。

単なる風評被害であれば、真偽の検証もせずに情報を流したマスコミや厚労省の責任は非常に重大になる。

もしかしたらサプリメントの製造過程で何らかの雑菌が混入、今回の事件を起こしたとも考えられる。そうだとしたら、製薬会社の厳密な衛生管理体制下でさえ、そうした事故が起きるということだ。発酵食品ブームで、自家製のみそやヨーグルトにハマる人が増えている個人が行う発酵食品の自作は危険を伴う自覚が必要だろう。

 

天然酵母の譲り合いは禁止すべし

自家製パンに天然酵母を使う作り方がある。果物や野菜には、種類ごとに特有の酵母(発酵菌)が繁殖している。レーズンが有名だが、りんごやイチゴといった果物、ナスやトマトなどの野菜にもそれぞれ性質の違う酵母が生息している。こうした酵母菌を単体で培養するのではなく、複数の菌株が混在した状態で培養したものを一般に天然酵母と呼ぶ。

「口に入れるものの安全性」注意したいポイントを再確認【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門二田哲博クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

天然酵母で生地を発酵させるとパンに独特の香りやもっちり感が出ておいしいが、問題は天然酵母を増やす時に雑菌が入る、もしくは他人から分けてもらった天然酵母、あるいは天然酵母ジュースだ。

天然酵母は殺菌した瓶に果物等の発酵させる材料と砂糖を入れ、数日、発酵させる。炭酸ガスが発生するため、密閉すると瓶が破裂することがある。そこで通気性を確保するのに瓶のふたをゆるめておくのだが、ここから雑菌の入ることがある。

大抵の場合、酵母菌の方が強いので、雑菌は死滅するが、毒素はそのまま残る。天然酵母自体は問題なくても、パン生地に混ぜてこねる時に手をよく洗っていない、こね台や台所が汚れていた、などで雑菌が混入することもある。

パンは焼くから大丈夫と思っても、食中毒菌は毒素を作り出し、それは熱でも分解しない。この毒素で食中毒が起きる。

天然酵母の食中毒で多いのが、他人からもらった酵母液を使って事故が起きるケースだ。発酵食品を自作する人たちは横つながりでサークルのように活動することがあり、酵母を分け合うことがある。この時、器を移す際に雑菌が入るのだ。

もらった酵母液でパンを焼いたら、その日の夜に腹痛と下痢が激しく寝込んだというネットの書き込みは、いくらでもある。酵母液をあげる方は善意かもしれないが、極めて危険なのでやめるべきだ。

 

食べ物を手で混ぜたらいけません

「口に入れるものの安全性」注意したいポイントを再確認【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門二田哲博クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

2023年4月、静岡県沼津市のホテル「AWA西伊豆」が保健所の立ち入り検査を受けた。「手の常在菌を使って発酵させたシロップ」のジュースを出していたせいだ。テレビ番組で、ホテル店員がシロップを手でかき混ぜるシーンが放映され、保健所に通報されたという。

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健康な人の手は乳酸菌が生息し弱酸性で雑菌を殺す、あるいはぬか漬けが各家庭で味が違うのも、かき回す人の手の乳酸菌のおかげと言われるが、間違いだ※。皮膚に乳酸菌はいない。

皮膚にいる菌の大半は殺菌力は高いが、増えると食中毒の原因菌となるブドウ球菌や黄色ブドウ球菌、ニキビの原因のアクネ菌であり、乳酸菌は手から剥離する。皮膚が弱酸性なのはブドウ球菌たちのおかげであり、食品に付着して増殖すれば食中毒を引き起こす。発酵に皮膚常在菌を使うなんて、食中毒になろうと言っていることと同じだ。

赤ちゃんの手は乳酸菌でいっぱいで、赤ちゃんの手で牛乳を混ぜたら赤ちゃんヨーグルトができるという記事があり、知り合いの赤ちゃんの手を借りて実験したことがある。1週間後、牛乳は見事に腐った。一応、なめてみたが、吐いた。当たり前だ。

赤ちゃんだろうが、手には腐敗菌のブドウ球菌しかいないのに、牛乳がヨーグルトになるわけがない。

天然酵母の食品を食べてお腹を壊しても、それは「好転反応」で、体の悪いものが外に出ていく「デトックス(排毒作用)」で、その後は健康になるとまことしやかに書かれたサイトや記事があるので要注意。

好転反応などと言う生理反応は、漢方医学にも西洋医学にも学術にもない。詐欺まがいの商法の都合のいい言い訳だ。好転反応と書いてあったら、詐欺もしくは無知と思って間違いない、

自家製の発酵食品を食べて腹痛になったら、それはデトックスではなく食中毒。すぐに医者へ行きましょう。

※「Direct contact of fermented rice bran beds promotes food-to-hand transmission of lactic acid bacteria」(FEMS Microbiology Letters)

 

謎の発酵ジュースやヨーグルトは避けて

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手でかき混ぜるのは極端だとしても、発酵ジュース、天然酵母の要領で発酵させた果物の溶液を水で薄めるかそのまま飲むジュースは、食中毒も危険だが、アルコールも危ない。天然酵母の発酵とはアルコール発酵だからだ。知らずに子供に飲ませたら大変だ。

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発酵ジュースの一種に酵素ドリンクがあり、材料が複数で発酵期間が長いものをそう呼ぶらしい。時間が長ければ長いほど腐敗の可能性は高まるし、腐敗しない場合はアルコール分が上昇している。酒は腐りにくいのだ。

天然酵母にしても発酵ジュースにしても、おいしいことと体にいいかどうかは別問題。発酵食品に体のいいものは見つかっているが、必ずしも体に良いかと言えば、あくまで量や作り方、含まれる菌種によって変わる。

納豆は体によく、多く含まれる水溶性食物繊維は腸内環境を整えるが、だからといって食べ過ぎると水溶性食物繊維をエサにする酪酸菌が増え過ぎる。酪酸菌は腸の粘膜を分厚くし、大腸がんの抑制や抗炎症作用などもある良い菌だが、増え過ぎると反対に大腸がんを誘発する※。

 

納豆はプリン体も多いので、痛風の方はご用心。何事もほどほどに。

手作りも度を超すと工業製品よりもはるかにひどい健康被害を引き起こす。くれぐれも健康とおいしい味をごっちゃ混ぜにしないようにして欲しい。

※「Gut bacteria identified in colorectal cancer patients promote tumourigenesis via butyrate secretion(結腸直腸がん患者で確認された腸内細菌は酪酸分泌を介して腫瘍形成を促進する)」(nature communications 2021年9月28日)

いかがだったでしょうか。

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★Grrrrrrrrrr!(グォーーー)ポイント★

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口に入れるものは、あなた自身の身体を作る材料、あなた自身になるものです。食べてカラダに良い効果があるものを「食べもの」や「薬」と呼び、食べてカラダに害のあるものを「毒」と呼びます。そして食べてカラダに良い効果のあるものも、食べ過ぎると「毒」となります。

食べるものは、あなたが決めています。それは明日の自分自身を決めることでもあるのです。

しっかり見極めることがとても大切だと私は考えています。

ー 適 材 適 食 てきざいてきしょく

小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級

【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

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*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。