健康診断など血液検査をすると脂質と書かれた項目があると思います。
ーーーコレステロールが高めなんだよな。。。
なんて話、よく訊きますよね。では脂質異常症という言葉は訊いたことありますか?コレステロールとどんな関係があるのでしょう。今回は脂質異常症についてお話していきたいと思います。
でも「脂質」という言葉を訊いてふと思いませんか?
ーーー脂質って三大栄養素にもあるよね?
その通りです!
- タンパク質
- 糖質
- 脂質
は三大栄養素と呼ばれていてヒトが生きていく上で決して欠かすことのできない重要な栄養素です。そんな重要な栄養素の1つである脂質が異常になるってどういうことでしょうか。
まずは「脂質異常症」という言葉について。脂質異常症というのはどういう症状の事でしょう。
脂質異常症(ししついじょうしょう、英: dyslipidemia)
血液中に含まれる脂質が過剰、もしくは不足している状態を指す。2007年7月に高脂血症(英: hyperlipidemia)から脂質異常症に改名された。
昔は高脂血症と呼んでいた症状を現在では脂質異常症と呼んでいます。では脂質異常症とはどんな体の状態でどんなことが起きるのでしょうか。以下の文章を参考にみていきましょう。
「脂質異常症」という症状をご存知ですか?
脂質異常症の約9割は、動物性脂肪に偏った食生活や運動不足、喫煙などの生活習慣によるものと言われています。「脂質」に関する項目として「LDLコレステロール」「HDLコレステロール」「中性脂肪」があるのですが、どの数値が高いかによって生活習慣の何を見直すべきかが異なります。
まずは「LDLコレステロール」
→食生活を見直す。コレステロールや飽和脂肪酸が多く含まれる食品を控えることが大切です。(バターや生クリームなどの乳製品など)
そして「HDLコレステロール」
→運動不足、肥満、喫煙から起こる。運動が効果的で1日30分ほどの軽いジョギングなど有酸素運動を日課にすることを心がけるといいそうです。
最後に「中性脂肪」
→アルコールや糖質の取り過ぎが原因。糖質の多いお菓子やジュース、アルコールを控える。
イワシやサバなどEPAやDHAの多く含まれるものを食べ運動することが効果的となっています。日々の生活習慣の中で、なにを変えるべきかを理解し意識して取り入れ、少しずつ健康的な生活習慣に変えいくことで、無理なく健康改革を始めましょう!
こちらは厚生労働省のサイトからの引用です↓
脂質異常症
脂質の異常には、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度の異常があります。これらはいずれも、動脈硬化の促進と関連します。脂質異常症とは
血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を、脂質異常症と言います。
LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドのうち、メタボリックシンドロームの診断基準に用いられる脂質の指標は、HDLコレステロールとトリグリセライドです。しかし、LDLコレステロールは単独でも強力に動脈硬化を進行させるため、メタボリックシンドロームの有無に関係なく、LDLコレステロールの値にも注意する必要があります。
脂質異常症とは血液の中に含まれる脂質の量が基準値から外れている状態のこと、なんですね。そして血液中の脂質と言っても多くの種類があって中でも
- LDLコレステロール
- HDLコレステロール
- トリグリセライド
の3つは検査項目にも挙げられる注目する脂質、ということなのです。これらの脂質が基準値を外れ、多かったり少なかったりすること=異常な状態が続くと動脈硬化などの病気に繋がっていく原因となり得るのです。
よく「善玉」「悪玉」という言葉を訊きませんか?それって意味、間違っていませんか?よく間違えてしまうことのある「善玉・悪玉」の話。以前お話した原稿を再構成しながらお話したいと思います↓
健康診断や血液検査を行った際、『善玉、悪玉』と聞いてあなたは何を思い浮かべますか?食事カウンセリングの時にこんな会話がありました。
ーーーLDLが高かったので、善玉菌を増やそうと思って毎日ヨーグルトを食べています。
『うんうん』とうなずいている人も多いと思います。ちょっと待って!それって別の話ですよ?!さてどこが違うのでしょう?わかりますか?(ヒント)2つの話が1つになっています。では説明していきます。
血液検査の結果にLDLやHDLと言った項目に数値が記入されていることがあります。
このLDLやHDLは、
- LDL・・・LDLコレステロール
- HDL・・・HDLコレステロール
の略で、
- LDLを「悪玉コレステロール」
- HDLを「善玉コレステロール」
と言うことがあります。
ところで「コレステロール」とはなんでしょう?コレステロールとは「脂質」の仲間のことです。ちなみに脂質にはコレステロールのほかに
・中性脂肪 :トリグリセライド いわゆる「脂肪」のこと
・リン脂肪 :レシチンなど
・脂肪酸 :リノール酸やEPAなど
などがあります。コレステロールは
・細胞膜
・ホルモン
・ビタミンD
・胆汁酸
などの材料となります。そしてコレステロールは脂質ですがエネルギー源として使われることはないのです。ところで悪玉のLDLと善玉のHDLはどんな差があるのでしょう。
コレステロールは脂質のため、血液に溶けることができません。そのため「リポ蛋白」という細かい粒子に混ざって血液の中を流れて全身に届けられます。この「リポ蛋白(たんぱく)」の名前が「LDL」と「HDL」なのです。
LDLは「低密度リポ蛋白」と呼ばれ、肝臓から出てきたリポ蛋白が「小さく」なったもので、血液の中で最も数が多い粒子です。このLDLに含まれるコレステロールを「LDLコレステロール」と呼びます。全身の細胞は主にこのLDLからコレステロールを取り込み、材料として使います。LDLは血管の壁に入り込み、動脈硬化の原因になります。だからLDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ぶことがあるのです。
HDLは「高密度リポ蛋白」と呼ばれ、細胞が使わなくなったコレステロールを肝臓に運ぶための粒子です。このHDLに含まれるコレステロールを「HDLコレステロール」と呼びます。HDLは動脈硬化となった血管からもコレステロールを剥がすことができます。だからHDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ぶことがあるのです。
でも、LDLは使う材料としてのコレステロールを運んでいて、HDLは使わない材料のコレステロールを運んでいるので、どちらも適量必要なのです。
さて、もうひとつの「善玉」と「悪玉」の話に移ります。「善玉菌」と「悪玉菌」です。先程は「血液」や「細胞」でしたが、今度はどちらも「腸内」の話です。腸内には大きく分けて
- 善玉菌
- 悪玉菌
- 日和見ひよりみ菌
という細菌がいます。それぞれ代表的なものとして
・善玉菌 :ビフィズス菌、乳酸菌など
・悪玉菌 :ブドウ菌、ウェルシュ菌、大腸菌など
・日和見菌:バクテロイデス、連鎖球菌など
などです。それぞれ良いモノ悪いモノも含め働きが違います。■善玉菌(=健康維持)
・ビタミン合成
・消化吸収の補助
・感染防御
・免疫刺激
■悪玉菌(=病気のきっかけ)
・腸内腐敗
・細菌毒素の産生
・発がん物質の産生
・ガス発生
です。
日和見菌はと言うとカラダが元気で健康な時は大人しくしていますが弱ってきたりすると腸内で悪い働きをし出します。だから「日和見=形勢を見て有利な方へ付く」と呼ばれています。
もうお判りですね、「善玉悪玉」と言う言葉を使うのは、「コレステロール」と「腸内細菌」の2つあり、それぞれ別の話なのです。
★わん!ポイント★
LDLコレステロールが高い場合、食物繊維を多く摂る事が大切です。食物繊維は腸内環境を整える上でも有効です。野菜は食物繊維を含むものが多い食材です。野菜を食べましょう!毎回の食事の一番最初に食べる「ベジ・ファースト」をオススメします。
*なおコレステロール値によっては薬による治療も有効です。医師に相談しましょう。
ということなのです。
タンパク質、糖質、脂質の三大栄養素。それぞれの主な役割については動画を創ってありますのでよかったら↓
★モゥー!ポイント★
タンパク質を摂り過ぎると内臓疲労、カロリーオーバー、尿路結石、腸内環境を乱しますし、糖質を摂り過ぎると様々な不具合が出てきますが、中でも糖尿病になったり、老化を進めてしまったり、脂質を摂り過ぎると動脈硬化などを引き起こす原因になりかねません。必要な栄養素とは言え、適量とバランスが大事なのです。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。