今週のお題「あんこ」
あなたは自宅に血圧計を持っていますか?
ーーー特定健診の時ぐらいしか測る機会がない
という人も多いのかも知れません。
特定健診・特定保健指導(とくていけんしん・とくていほけんしどう)
2008年4月より始まった、40歳〜74歳までの公的医療保険(国民健康保険や後期高齢者医療制度)加入者全員を対象とした保健制度である(高齢者の医療の確保に関する法律第18条、国民健康保険法第82条)。正式には「特定健康診査・特定保健指導」という。一般にはメタボ健診といわれており、健診の項目は、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(平成19年厚生労働省令第157号第1条)に規定されている。
なお、労働安全衛生法による健康診断(事業者検診)は特定健診に優先して実施義務があり、事業者検診の結果を提出することで特定健診を実施したとみなされる。その場合は扶養家族などが特定健診を受けることとなる。特定健診とは
生活習慣病の予防のために、対象者(40歳~74歳)の方にメタボリックシンドロームに着目した健診を行います。特定保健指導とは
生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く 期待できる方に対して、専門スタッフ(保健師、管理栄養士など)が生活習慣を見直すサポートをします。
特定健診の内容
特定健診には決まった検査項目があります。
特定健康診査の項目
- 既往歴の調査(服薬歴及び喫煙習慣の状況に係る調査を含む。)
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重及び腹囲の検査
- BMIの測定
- 血圧の測定
- GOT、GPT、γ-GTPの検査(肝機能検査)
- 血清トリグリセライド(中性脂肪)、HDL(いわゆる善玉)コレステロール及びLDL(いわゆる悪玉)コレステロールの量の検査(血中脂質検査)
- 血糖検査
- 尿中の糖及び蛋白の有無の検査(尿検査)
なので、日本全国の医療機関でどこでも特定健診を受ける場合、これらの項目を検査することになります。
特定健診と健康診断の違い
特定健診のほかに「健康診断」というのがあります。両者の違いは、
- 40歳〜74歳が対象・・・同じ
- メタボリックシンドロームに注目・・・・特定健診(特定健康診査)
- 病気の発見を目的・・・・・・・・・・・健診(健康診断)
というように「目的が違う」のです。ですから特定健診だけでは判らない潜んだ病気が気になる人は「健康診断」を受けることを強くお勧めします。
実際に健康診断を受けた人は判ると思いますが、MRIやCT、大腸検査などなど「確認したい部位」によって検査の内容も大きく変わります。
2024年4月より変わること
2024年4月から、特定健診における高血圧での受診勧奨と判定する基準(mmHg)が、現在の「収縮期140/拡張期90」から「収縮期160/拡張期100」へと変更されることになりました。
なぜ上方修正になったのか、の話の前に血圧について確認します。
血圧とは?
血圧(けつあつ、英語: blood pressure)
血管内の血液の有する圧力のことである。一般には動脈の血圧のことで、心臓の収縮期と拡張期の血圧をいい、それぞれ収縮期血圧(または最高血圧、英: systolic blood pressure)、拡張期血圧(または最低血圧、英: diastolic blood pressure)と呼ぶ。
単位は永年の慣行からSI単位のパスカル(Pa)ではなく、水銀柱ミリメートル(mmHg)を使用することがほとんどである。
とても簡単に説明すると、
血圧とは心臓から送られてきた血液が血管を通る時に血管の内側にかかる圧力
のことです。
高血圧とは、
- 血管の中を流れる血液の量が多くなる
- 血管の内側が細くなってしまう
などによって血液が流れるのにより高い圧力がかかっている状態
のことです。なので、
- 収縮期血圧:心臓が収縮する=血液を押し出している=血圧は高くなる
- 拡張期血圧:心臓が拡張する=血液を取り込んでいる=血圧は低くなる
ということ。
基準血圧が引きあげられた理由
調べてみました。ひとつの意見としてお読みください↓
一つ目は国際的な潮流です。少し前には医療の世界で論文や薬の治験の不正が横行し、治療指針(ガイドライン)も製薬企業により歪められていた時期がありました。この影響による無駄で危険な医療が問題になりました。2004年に医師と製薬企業の経済的な癒着(利益相反)を解消しようという動きが起こり、コレステロールや血圧の治療ガイドラインが科学的に作られるようになりました。2019年の英国政府のガイドライン(NICE)で、高血圧に対する医療介入は収縮期160/拡張期100mmHg以上となったのです。日本は、この世界の潮流から取り残されていました。
二つ目は日本人を対象とする研究です。同じ2004年に、私たちが総合健診医学会で70万人の健診結果から統計的な方法で「男女別年齢別基準範囲」を作りました。詳しくは上記著書に記載してありますが、加齢に伴って血圧が上昇するのは正常な変化で自立度を高めるなどの効果があるのです。55歳以上では男女とも収縮期160/拡張期100mmHgまでは正常なのです。これを裏付けた住民追跡研究の結果を2008年に発表しました。60歳以上の男女とも、死亡率の上昇が見られたのは収縮期160/拡張期100mmHg以上でした。
「高血圧」の判定基準が2024年4月改訂へ! 「副作用もある降圧剤を飲むべきか否か」問題に迫る【大櫛陽一】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)
★Grrrrrrrrrr!(グォーーー)ポイント★
数値が何故変わったのか、ということよりも、どうしたら健康な身体を作り維持できるかの方がより大切ではないか、と私は捉えています。
特定健診はメタボリックシンドロームを防ぐためのもの。そしてメタボリックシンドロームは糖尿病へと繋がりかねません。
体重やウエストなんかは自分で測ることもできますが、身体の中身は医療機関の検査でしか判りません。健康のお守りとして特定健診を、少しでも心配なことがあれば健康診断を受けることをお勧めします。
なお、血圧に異常がある場合は、治療を受けましょう。薬だけでなく、食事や運動などによっても改善することがあります。管理栄養士に相談してください。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。