第一回目の前回はなぜ食物繊維は身体によいとされているのかについて見ていきました。
ーーー身体にいいのなら食べようと思うけど、じゃあどれくらい食べたらいいの?
ということで、食物繊維を多く含む野菜を1日にどれくらいの量を食べたらよいのかについて見ていこうと思います。
健康な身体で過ごすために必要なこと。実は厚生労働省が目安を掲げています。その名も健康日本21です。訊いたことありますか?この健康日本21というのは通称で正式名称は21世紀における国民健康づくり運動と言います。
21世紀における国民健康づくり運動(にじゅういっせいきにおけるこくみんけんこうづくりうんどう)
健康寿命の延伸などを実現するため、2000年(平成12年)に厚生省(現・厚生労働省)によって始められた第3次、第4次の国民健康づくり運動の事。通称「健康日本21」(けんこうにっぽんにじゅういち)である。
2000年度から2012年度までは「健康日本21」(21世紀における国民健康づくり運動)が行われ、2013年から2022年までは「健康日本21(第2次)」(二十一世紀における第二次国民健康づくり運動)が行われている。
2001年から親子の健康を目的とした「健やか親子21」が開始され、2015年度から2024年度までは「健やか親子21(第2次)」が行われている。
厚生労働省のサイト内の頁↓
しかも専用のサイトもあります↓
↑このリンク先ちゃんとクリックしましたか?リンク先の右側の緑色のバナーに気づきましたか?そ、公益財団法人 健康・体力づくり事業財団とあります、こちらのサイトです↓
数日前にブログでお話した↓
健康運動指導士の資格発行を行っている団体なんです。
ーーー食べ物の話をしてたのに、運動の話になってる???
それだけ健康と食事・運動は密接に関係している、ということなんです。話が逸れたので戻しましょう。
健康日本21は健康な身体を手に入れてそれを維持するために必要とされることがまとめられています。中には食事の話もあって栄養別に何をどれくらいの量を摂るのがいいよと目標を掲げています。
では早速食物繊維について見ていきましょう。
健康日本21では実際に行うことが最大の目的ですので、食物繊維をそれを多く含む「野菜」の摂取量として表現しています。
1.4 野菜の摂取量の増加
指標の目安
[1日当たりの平均摂取量] 現状* 2010年
1.4a 成人 292g 350g以上
*:平成9年国民栄養調査
なんだかちょっと判りにくいですね、解説すると、
成人1日当たりの野菜の平均摂取量は、
1997年(平成9年)の調査では292gだったので、
350g以上を目標にしましょう。
ということになります。この調査というのは厚生労働省が中心に行っている国民栄養調査というものです。
国民栄養調査【こくみんえいようちょうさ】
栄養改善法(1952年施行)に基づいて,国民の健康状態と栄養摂取の実態などを明らかにするために,年1回国が行っている調査。厚生省が企画立案し,無作為に抽出された約300地区(約6000世帯,約2万1000人)を対象として行う。身長・体重・血圧等の身体状況調査については,集団検診方式で医師や保健婦が行い,食物摂取状況調査については栄養士が戸別訪問をして聞き取りを行う。これにより国民1人1日当りのエネルギー摂取量や,各栄養素や塩分の摂取量などがわかる。また朝食抜きの傾向の増加なども浮き彫りにされ,栄養計画の資料として国民の食生活の向上に貢献してきた。
というように結構大がかりな調査を通常毎年行っていて公表されています↓
この調査結果の野菜の摂取量についてを見てみましょう。データを図にしたのがこちらです↓
279食目「どれくらい【野菜】を食べているの?」厚生労働省[ 国民健康・栄養調査(平成29年)]のデータからその⑤ - 適材適食 -てきざいてきしょく-
詳しい解説はこちら↓にあります。
20代〜70代以上の男女すべてが「350gに届いていない」=野菜が足りないということが見てとれます。
面白いのは野菜と言えばダイエットなど若い女性のイメージがありますが、調査結果によると350g以上摂取している層はなんと60代男性となっています。逆に20代女性は全世代で最も摂取していないことが判りました。
ーーーそっか、野菜が足りないのか。でも350gって具体的にどれくらい?
大事なことは350g以上という量を1日で摂るという点です。前回お話した通り、食物繊維を多く含む野菜を食事の最初に食べる=ベジ・ファーストは血糖値の急上昇を抑えてくれる働きがあります。私たちは1日に朝・昼・夕と3回食事をします。ですから、野菜を摂るのであれば、1日に1回にどかっ!と食べるのではなく、朝食・昼食・夕食の3回の食事にそれぞれ食べることが効果的なのです。という点から考えると、
1日の目標350g÷朝昼夕の3回=116g 1回の食事に摂取したい野菜の量は約120gとなります。
と、1日に350g以上、1回に120g以上と判ってもなかなかイメージしにくいと思うので近所のスーパーで普段よく使う野菜を買ってきましたので、コレで説明したいと思います。
▼350gの野菜 例①
キュウリ、ミニトマト、シイタケ、ナス、コマツナ、ピーマン
▼350gの野菜 例②
ブロッコリー、スナップエンドウ、ミニトマト、レタス
▼350gの野菜 例③
ニラ、タマネギ、ピーマン、ニンジン、キャベツ、モヤシ
買ってきたよくスーパーで見かける野菜を単に350gという重さで3つの組み合わせを作ってみました。なのでカットしているものも入っています。だいたいこれぐらいが350gです。
次に1回分=約120gを見ていきましょう。
▼120gの野菜
ブロッコリー、ミニトマト、スナップエンドウ、レタス
さらにイメージしやすくするために手の上に乗せてみると、
私の拡げた両手でちょうどという感じで120gという事、です。
キノコ類だけで120gにしようとしたら、シイタケ、エノキ、シメジでやっぱり両手一杯ぐらい、です。
各野菜単品で120gはどれくらいかというのもやってみました。中には120gではないのもありますが、野菜の重さの大体のイメージなのでご了承ください。
▼ピーマン約120g
▼ミニトマト約120g分
▼モヤシ約120g分
▼タマネギ約120g分(これはかなりオーバーしてますね)
▼ニンジン約120g分
▼ブロッコリー約120g分
▼キャベツ約120g分
▼コマツナ約120g分
▼ブナシメジ約120g分
という感じです。
その野菜がどれくらいの水分を含んでいるかで量が決まるという感じですね。
折角なので実践編として、今回買ってきた野菜でおかずを1品作ってみようと思います。材料はこちら↓
▼1回分120gの野菜
キャベツ、ニラ、ニンジン、タマネギ
これを料理で「加熱」してみると、
▼1回分120gの野菜を使った野菜炒め
私の手と比べてみてください。生に比べると加熱することで野菜のかさが減ります。熱が入ることでしなっとする分、量が減った感じがします。ちなみにキノコを加熱するとこんな感じ↓
このしなったキノコも生で120gありました。
単品おかずとしては少ない感じがしますよね?これくらいで120gの野菜を食べている、ということになります。
加熱をすることで、野菜のかさが減るので、その分多くの量の野菜を摂ることができるようになるのです。
ただし、 栄養素によっては熱が苦手なものもあります。加熱することで栄養素が壊れてしまったり著しく減ってしまうものもあります。なんでも火にかければいい!ということではなく、蒸す、煮るなどの方が適している野菜もあります。
(特に栄養価を引きだす調理方法は機会を観てお話しようと思っています。)
今回選んだ野菜の中に
- ジャガイモ・サツマイモなどのイモ類
- トウモロコシなどの穀物
を選ばなかったのは何故でしょう。
★モゥー!ポイント★
大事なのは
- 1日に350g以上の野菜を摂ること
- 3食毎回約120g程度の野菜を摂ること
です。
次回は「食品にはどれくらい食物繊維が入ってるの?」です。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。